【新NISA】S&P500&オルカンの年初一括vs積立(毎月1日vs毎月15日) 実際投資した成績発表
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、以前の動画でも予告していた、S&P500とオルカンの、新NISAの成長投資枠で年初一括投資をしていたものと、積立投資枠で毎月1日と毎月15日に実際に積立投資していた、合計6本の投資信託の成績発表です。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
年初一括vs積立(毎月1日vs毎月15日)
こんなご質問をいただきました。
「取り崩し投資の報告を毎月ありがとうございます。
新NISAの積立投資のほうもやっているとのことですが、年末ということで、パフォーマンスにどれだけ違いが出たのかの報告と考察もしていただければと思います。
私は年初一括派なので、今年は年初一括が大勝利の結果になりました。一方で、積立投資は複利が効きにくいのではないかという疑問も湧いてきました。
毎年4%でまわせば、複利で18年で2倍になるとよく言われますが、これは「年初一括投資」を18年続けた場合であり、「毎月の積立投資」だともっとパフォーマンスは落ちるのではないでしょうか。このあたりについても解説してください」
とのことです。
今回、新NISAの成長投資枠でeMaxis slimのS&P500とオルカンを一括投資したぶんと、積立投資枠で毎月1日にeMaxis slimのS&P500とオルカン、毎月15日に楽天S&P500と楽天オルカンを積立投資しています。これの成績を見ていきましょう。
まず成長投資枠で取り崩し投資用に年初一括したeMaxis slimのS&P500とオルカンですが、
eMaxis slimS&P500
60万円→73万9,103円(+39.0%)
eMaxis slimオルカン
60万円→76万2,748円(+31.8%)
となりました。オルカンはだいたい+30%、S&P500は+40%近くと、かなりいいパフォーマンスですね。一年でこれだけ良いパフォーマンスが出るのもめずらしいとは思います。
次に積立投資枠で毎月1日に積立していったeMaxis slimのS&P500とオルカンですが、
eMaxis slimS&P500
30万円→35万2,816円(+17.6%)
eMaxis slimオルカン
60万円→33万9,398円(+13.1%)
と、どちらも一括に比べて20%もパフォーマンスが落ちてしまっています。右肩上がりのときは平均をとっていくので、やはり分割投資は弱いですね。これが毎年続いた場合、毎年20%パフォーマンスが落ちることになります。ここで質問者様の「毎年4%でまわせば、複利で18年で2倍になるとよく言われますが、これは「年初一括投資」を18年続けた場合であり、「毎月の積立投資」だともっとパフォーマンスは落ちるのではないでしょうか。」という疑問がわいてくるとは思います。これについては後で解説します。
次に毎月15日に積み立てた場合、さらにどうなってしまうかというと、
楽天S&P500
30万円→34万4,237円(+14.7 %)
楽天オルカン
30万円→33万3,636円(+11.2 %)
とかなりパフォーマンスが落ちてしまいます。ここでは楽天のS&P500とオルカンを使っていますが、パフォーマンス的にeMAXIS Slimと同等と仮定しておきます。
そんなわけで投資が遅れれば遅れるほどパフォーマンスが落ちていくというのが実際の数字で理解できるとは思います。
いちおう比較してみると、
S&P500(括弧内は一括との差)
一括:+39.0%
毎月1日積立:+17.6%(-21.4%)
毎月15日積立:+14.7%(-24.3%)
となり、一括と毎月1日では21.4%、毎月15日積立では24.3%もパフォーマンスが変わってきます。だいたいパフォーマンスが倍ぐらい違うので、けっこうでかいのがわかるかと思います。100万円投資した場合、一括だったら39万円もらえますが、毎月1日積立だったら17.6万円しかもらえません。毎月15日なら14.7万円ですね。これぐらいパフォーマンスが違ってくるので、Q太郎としてはできるだけ一括でやっているというのがあります。
もちろん今年調子が良すぎたというのもありますが、最終的には右肩上がりのものであれば早めに投資をした方が良いというのが実際の数字で理解できるとは思います。
ついでにオルカンも見ていきましょう。
オルカン(括弧内は一括との差)
一括:+31.8%
毎月1日積立:+13.1%(-18.7%)
毎月15日積立:+11.2 %(-20.6%)
一括と毎月1日では18.7%、毎月15日積立では20.6%もパフォーマンスが変わってきます。倍どころか3倍ぐらいパフォーマンスが違いますね。これはかなり大きいです。100万円投資した場合、一括なら31.8万円もらえるところを、毎月1日積立なら13.1万円、毎月15日積立なら11.2万円まで減ってしまいます。20万円ぐらいがっつり利益が減るのですね。
年初一括じゃないと十分なパフォーマンスは出せない?
ここで質問者様の「毎年4%でまわせば、複利で18年で2倍になるとよく言われますが、これは「年初一括投資」を18年続けた場合であり、「毎月の積立投資」だともっとパフォーマンスは落ちるのではないでしょうか。」という話ですが、これもちょっと勘違いで、長期的にはそんなに大きくはパフォーマンスは落ちなかったりします。少なくとも2倍パフォーマンスが違うということはありません。
実際に今回のS&P500のパフォーマンスが毎年続いた場合の、10年間を計算してみましょう。年初一括で100万円と、毎月1日積立で年間合計100万円の場合ですね。
年初一括のほうは単に「(前年分+100万円)*1.39」の複利計算をすればいいですが、毎月積立のほうの計算は、前年分の結果は翌年の年初一括投資になるので、複利計算は「前年分*1.39+100万円*1.176」になります。毎月積立でも前年分の結果が翌年の年初一括投資になることに注意しておきましょう。
それで計算した結果がこちらです。今回のすさまじいパフォーマンスが続けば10年後には年初一括の方は9240万円ほどになります。一方で毎月積立のほうは7817万円と、その差は1423万円ほどになります。
「差はあるけど、+39.0%と+17.6%と2倍ぐらい違うのに思ったほどではない」と思われる方は多いかもしれませんが、これは先ほども言ったように積立投資でも、投資1年目の結果は翌年にはそれを年初一括投資(+39.0%)しているのと同じことになるからです。単純な複利ではないのです。
積立投資の一年目の結果が117万円だったら、翌年はその117万円を年初一括投資しているのとおなじことになりますしね。けっきょくのところ、積立投資でも前年の分は年初一括投資しているようなものなのですね。
「けっきょく毎月積立でも翌年には前年分が年初一括投資になってしまうんだから、シンプルに毎年年初一括のほうがよくね?」と思うかもしれませんが、まあその通りと言えばその通りとは思います。ただ気分的に一括が怖いというのもありますし、年の真ん中ぐらいで暴落したら何となく損した気分になるかもしれませんので、リスク許容度が低い人には毎月積立を強くお勧めします。
重要なのは投資を続けることなので、投資に恐怖を感じるようなら、そもそも投資のやり方が自分に合っていない可能性が高いです。恐怖を感じるというのは投資しすぎている場合がほとんどですね。十分な現金が手元にないというカツカツの状態での投資です。これだと株価の値動きに一喜一憂してしまいますので、ズドンしたときにろうばい売りをしかねません。
そのため、十分な現金がないのに年初一括投資をするのはあまりおすすめしません。あくまで投資は余裕資金でやるもので、必要な貯金や生活費までかけてやっていたらただのギャンブルに成り下がってしまいます。長期的にほったらかしておいてよい待機資金でやることですね。
現金を長期的にほったらかしておくとインフレ負けしてしまいますので、投資はそのヘッジとしての役割ぐらいにとらえておいたほうがいいとは思います。一気にもうけようとか、完全にギャンブラーの発想なのでQ太郎的にはあまりおすすめしません。
とにかく投資してドキドキしていたら、リスク許容度を超えているサインだと思ったほうがいいでしょう。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・今年のS&P500のパフォーマンスは、
S&P500(括弧内は一括との差)
一括:+39.0%
毎月1日積立:+17.6%(-21.4%)
毎月15日積立:+14.7%(-24.3%)
・今年のオルカンのパフォーマンスは、
オルカン(括弧内は一括との差)
一括:+31.8%
毎月1日積立:+13.1%(-18.7%)
毎月15日積立:+11.2 %(-20.6%)
・S&P500を年初一括(+39.0%)と毎月1日積立(+17.6%)で、毎年100万円の投資を10年間続けた場合、年初一括の方は9240万円ほどになる。一方で毎月積立のほうは7817万円と、その差は1423万円。
・思ったより大きな差が出ないのは、毎月積立でも、翌年は前年の金額を年初一括投資(+39.0%)しているのと同じだから(単純な複利計算にはならない)。
・ただしリスク許容度が低い人には毎月積立をおすすめ。投資は長く続けることが重要。
・手元の現金が少ないなど、無理な投資はろうばい売りを招き、投資を長続きさせられない。
・投資はあくまで余剰資金で。長期間使わない現金のインフレ対策ぐらいの気持ちでやるのがよい。無理な投資はギャンブル化してしまう。
・投資でドキドキしていたら、リスク許容度を超えているサイン。
となります。
そんなわけで年初一括のほうがパフォーマンスはよくなりますが、毎月積立していようと、翌年には前年分を年初一括投資するのとおなじことになるという点にも注意しておいてください。
投資に慣れていないとか、手元の現金が少ない状態で無理な一括投資は厳禁です(現金だけに)。あくまで余剰資金をつかって、
ちなみに今回の計算は10年目まででしたが、30年続けたらどうなるかというと、年初一括は695.6億円、毎月積立は588.5億円と、その差は107億円ほどになります。アインシュタインが言うように、複利の力は偉大ですね。まあ、この金額までくればお金とかどうでもよくなってきそうな気はします。毎年1億つかっても、生きている間に使いきれませんしね。
そんなわけで、年初一括積立でも毎月積立でもよいですが、とにかく無理なく余裕資金をコツコツと積み上げていき、自分が苦しまなくていい投資をするのがいいでしょう。投資してドキドキしていたら、それはリスク許容度を超えているサインだと思ったほうがいいです。「えいやー」で投資しないように、無理なく続けていくのがいいでしょう。