岸田総理の目指す「新しい資本主義」は「新しい社会主義」なのか

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kishida

QYLD全力太郎ことQ太郎です。

先週の週末に目を疑うようなニュースが舞い込んできました。

ブルームバーグの2月18日のニュースですが、

岸田首相が見直し目指す四半期開示、廃止賛成ゼロ-金融審作業部会

というタイトルからしてすごいですね。

簡単にいうと、企業は四半期ごとに決算を出すじゃないですか。それの義務化を廃止しろという話です。

Q太郎は素直に日本すげー!」って思いました。

皆さんもわかるかと思いますが、四半期決算が出たあと、その結果によって株価が上下しますよね。

以前にマイクロソフトやメタの決算記事もアップしましたが、これら四半期決算というのは企業の株価を決めるのに非常に重要な要素です。

それをやらなくていいという話です。四半期開示の義務化を廃止するということです。すごくないですか、これ。

しかもこれを「新しい資本主義」の重要施策の一つにしているのです。

今回は岸田総理の「新しい資本主義」とは何かについて述べていきます。

 

四半期開示の義務化廃止

岸田総理の考えでは、「企業が短期の利益にとらわれてはいけない」ということです。

しかし四半期開示を無くしたら、そもそもの企業の業績がブラックボックスになるわけです。

そんな状態の企業の株を買うとか、博打をやっているようなものです。インサイダーが有利すぎてやりたい放題です。

しかもアメリカと違って、日本は日銀によるETFの買い支えがあります。

どうしようもない企業が、だめすぎて見せたくない四半期決算を開示しなくなります。そんな状況でも、日銀によるETF買いの資金注入がおこなわれるわけです。

既得権益が一方的にもうかる構造になるのですね。

国民に重税を強いて、絞り取ってきたお金は既得権益のゾンビ企業にガンガン注入される。

そしてゾンビ企業は四半期決算を開示をしなくていいという、既得権益大勝利状態です。

社会主義国の国営企業みたいな状況になるのは目に見えています。

Q太郎的には、日本の金融市場はすでに市場としてまともに機能していないと思っていますが、それに拍車をかけるような状況になるわけです。

岸田総理としては、株主重視の状況がよくないと思っているのでしょう。

「四半期開示無くしたよくね? 決算気にしなくていいから、人件費とか設備投資とかでお金を使うじゃん

という短絡的な考えはどうなのかと思います。

「人件費が上がらない理由は、企業が決算を悪くしたくないから」

みたいな発想なのかもしれません。

それでこの四半期開示見直しについてですが、当然、金融審議会作業部会では反対が相次ぎ、最終的に賛成ゼロという状態になりました。

当たり前ですね。というか、作業部会がまともでよかったです

これ以上、日本の市場にとどめを刺さないでもらいたいです。

決算短信と四半期報告を一本化する」とか「四半期報告の内容を簡素化・効率化する」とかだったらまだ話はわかるのですが、廃止までいくとさすがにいろいろとすごいことになります。

短期の業績や利益を重視することを「ショートターミズム(短期主義)」と言いますが、それを恐れての廃止案という話なのだとしても、そもそも四半期開示を廃止することで、ショートターミズムを防げるという根拠がまったくありません

つまるところ、完全に思いつきなのです。

昔、橋本治氏の「上司は思い付きで物を言う」という本がベストセラーになったことがありますが、まさにこんな感じになっています。

 

社会主義の指導者による「思いつき」

過去の社会主義国家の問題点というは、指導者が思い付きで行動を起こしたことで、国民が大被害を被るということがありました。

毛沢東の例

有名な例では毛沢東ですね。

スズメが穀物を食べるので、害鳥として駆除する運動を全国規模でおこないました。

結果どうなったかと言えば、スズメがいなくなったことで害虫が増え、コメの収穫量は激減しました。

さらに毛沢東は、生産性をあげるため、中国全土で開墾をおこないました。

結果どうなったかといえば、砂漠化して使えない土地になってしまいました。しかも砂漠化が広がっていくというありさまです。

さらに毛沢東は鉄の生産量を上げるため、家庭のフライパンやら鍋やらの提供を人民に呼びかけました。

結果どうなったかといえば、適当に集めた鉄を炉で溶かしても屑鉄にしかなりません。けっきょく使い物にならなかったということです。

ポルポトの例

ポルポトもそうですね。共産主義を実現するために通貨を廃止したり、医者など知識階級を農地に送って農作業をさせたり、学校も教育も廃止したりとむちゃくちゃです。

最終的には知識階級と言うだけで殺されたり、眼鏡をかけているだけで殺されたりと、もはやわけがわからない状態になっていました。

海外に出ていった留学生たちには「国を助けるために帰国してくれ」といい、戻ってきたら「はい、知識階級は死刑」という状況です。

思い付きで理想の政治をやった結果というやつですね。

 

思いつきの政策

「思いつきの政策」の根底にあるものは、圧倒的な知識不足なのです。

岸田総理も経済に対しては圧倒的な知識不足なのかもしれません。

まさに思いつきで「こうやったらよくなるんじゃね?」っていうのを、なんの裏付けもなく実現させようとしているのです。社会主義の怖さはここにあります。

金融所得課税の増税

これまで岸田総理は、金融所得課税の増税や、自社株買いの規制を唱えてきました。

しかも金融所得課税は累進課税ではなくて、一律30%とかいう話です。

あきらかに一億円以下の人から搾り取る気まんまんですね。一律だと、大多数の日本人にとっては増税になるのです。

累進課税なら百歩譲って理解できますけど、一般市民にまで被害のおよぶ一律30%はどうなのかとQ太郎は思います。

NISA利用の問題点

NISAを使え」って話はありますが、正直120万円ぐらいだと少ないですしね。しかも新NISAだと自由に変える金額が100万円に減額されますし。

それにNISAは損出しできませんので、メリットばかりじゃないのですね。

NISAで下手に高配当株を買うと、ずっと塩漬け状態になります。損失の相殺ができないのは、けっこう怖いものもあります。

それで「配当なくなりました」みたいな話になったら、損失を出すこともできず、ただ含み損株を抱える続けるだけになります。NISAは万能ではないのですね。

株主還元の見直し

話は四半期開示の廃止だけで終わらず、まさに今日、岸田総理が衆院予算委員会でこんな発言をしてしまいました。

株主還元という形で成長の果実等が流出しているということについてはしっかりと受け止め、この現状について考えていくことは重要」

つまりこれ、「配当を出すな。自社株買いするな。そのぶん社員の給料を上げろ」という話でしょうか。

一見まともに聞こえるかもしれませんが、それで株価が落ちた場合、そもそもの会社が存続の危機に立たされるのです。社員に給料を払っているばあいじゃなくなります。

「日銀がETFでお金を注入してくれるから大丈夫」

とでも考えているのでしょうか。社会主義国家のごとく、国営企業を育てたいのでしょうか。

だめな企業はさっさと株価が安くなって、それをまともな企業が買い取るという構造ができないと、日本全体で少ないパイを食い合うだけの状態になるかと思います。

そしてパイはどんどんどんどん縮小していきます。

食えるものがないと、国の予算もどんどん減っていきます。

政治家も公務員も自分の給料を維持できません

じゃあどうするかといえば、税金をさらに取ります。今後は貧乏人からも絞れるだけ絞り取ることになるでしょう。

すでにインボイス制度で、1000万円以下の、前途ある若くて貧しいフリーランスからも搾り取ることが予定されています。

こうやってちょっとでも貧乏人から搾り取ることによって、国家は維持されます。

文通費100万円で毎日おいしい料理を食べたり、良い生活をするためには国民の犠牲が必要なのです(Q太郎の個人的見解)。

日本は内需大国でしたが、少子化によりそれも終わりに近づいてきています。

企業の内部留保

企業の内部留保額が過去最高を更新し続けていますが、企業側としては、

人口が減って、経済が縮小していく日本で、これ以上設備投資しても意味ないやん

という、ある意味合理的な判断から内部留保しています。

人件費にまわせ」という話ですが、企業の税が軽減されるのは、現状は賃金アップした年だけで、翌年からもとに戻ります。

人件費というのは固定費としてずっと続いていくものなので、ずっと税軽減という話でないと企業側はやりたがりません。「一年だけちょっと税金が安くなってもなあ」という感じです。

賃金アップしたら翌年からもずっと減税で、さらに賃金アップすればさらに減税というシステムの方が、企業はやる気だすのではないかと思います。現状だとメリットがありませんし、企業も慈善活動をやっているわけではありません。企業が内部留保しなくていいような美味しい条件を国が提示する必要があります。

 

まとめとQ太郎の見解

とりあえず、これまでの岸田総理の「新しい資本主義」とやらをまとめてみると、

・金融所得税増税
・自社株買いの規制
・四半期開示の義務化を廃止
・株主還元の規制

が挙げられています。

投資できるような環境じゃなくなりますね。これ全部実現したら、日本に投資することにメリットありませんしね。株主還元の規制とかあったら、配当金が少なくなります

高配当銘柄の高配当がなくなったら、ただたんに株価の安いボロ株になります。高配当銘柄は、成長しない代わりに、高配当で買い支えてもらっているようなものですしね。

このような岸田総理ですが、調査するメディアによってまちまちですが、だいたい支持率は50%ぐらいありますね。Q太郎的にはけっこう支持率高いと感じます。

また自民党も支持率がだいたい40%ありますね。

思ったより反対する人が少ないのは、そもそも日本で投資している人たちは少数派なのです。株か投資信託に投資している人は、だいたい国民の2割ぐらいと言われています。

今年の参議院選挙までは、その少数派の2割の票も逃さないために、金融所得税増税の話は出さないとは思いますが、参院選が終わったらすぐに着手しそうですね。

ただ、また自民党が勝つとQ太郎は思います。

そして日本はじわじわと衰退する道を進んでいくとは思います。

しかし、ここは民主主義国家です。

大多数の国民がそういう道を歩むことを決めたのであれば、それが日本の決意ということになります。

それが嫌な人は海外に出るなり、自分にとって有利な道をさがすなりするしかないでしょう。じつに悲しいことですが。

若い人は海外で働く道も模索しておいたほうがいいかもしれませんね。

実際に海外に出なくても、リモートで海外の仕事を受けることによって、海外の賃金をもらうという方法もあります。

もしくは米国株やETFを買ったりなど、海外に投資して資金だけでも海外移住しておくのがいいかもしれません。

日本の株式市場は、正直言えば短期でうねりを取るバクチ場と化しています。

短期取引が得意な人には、そのボラティリティの高さからおいしい市場かもしれませんが、長期投資中心のQ太郎には向きません。今後も米国市場中心になるとは思います。