米国株暴落でレバナス積立はあり?

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leva bouraku

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回は暴落局面でのレバナス積立はありかどうかについてです。

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米国株暴落でレバナス積立はあり?

こんなご質問をいただきました。

十分な防衛資金が貯まったので、 ①アメリカが持ち直すことを期待して、宝くじ気分で余裕資金の一部を2〜3年に分けてレバナス積立しようと考えているのですが、不況が予想される状況で通常レバナス、マルチアイ、Qレバナスでどのように違いが出るのか解説いただけると助かります。

とのことです。この質問以外にiDeCoについての質問があったのですが、テーマが違うので次回にまわさせていただきます。

それで「不況が予想される状況で通常レバナス、マルチアイ、Qレバナスでどのように違いが出るのか」についてですが、基本的に不況になればどうなろうと落ちます。どんな安全装置があろうと落ちる局面では落ちるようになっています。

それでマルチアイがあればそれが防げるかどうかという話ですが、こういうのはあくまで過去のデータを参照にパラメータをつくっていくので、そもそもの条件が変わってしまうと通用しなくなります。

いちおう解説しておくと、マルチアイというのは、複数のリスク関連指標を用いて市場局面を判定するというものでして、「複数のリスク関連指標」からマルチアイという愛称がついたものです。複数の目で市場を見張っておくということですね。

大和アセットマネジメント株式会社独自 のモデルで、VIX指数とかMOVE指数とかに独自の重みをつけて総合的に市場の状態を判断するというものですね。過去のデータを使うと一見下落時に耐性が働いてうまくいっているように見えますが、うまくいくようにパラメータいじってますので、当たり前といえば当たり前です。それが未来に適応されるかはまたべつの話です。

こういうのはFXとかでよくある「かならずもうかる自動売買システム」とおなじことでして、長期的にありえないのはわかるとは思います。なぜFXで自動売買システムがだめなのがわかっているのに、株式だとそういうのがうまくいくと思えるのかということにもなります。

この世界はAを入れたらBが出てくるような線形の世界ではなく、物事が複雑に絡み合っている非線形の世界です。天気予報とかもそうですが、予測するものの時間が長くなれば長くなるほど、初期値のちょっとした違いで結果が大きく変わってしまいます。

そのため、FXの自動売買で最初はうまくいっていても、時間とともに世の中の状況やパラメータ自体が変わってしまうので、だんだんうまくいかなくなってくるのですね。

そのため、こういう安全装置をつかって、バカ高い手数料を払うぐらいなら生でそのまま持っていた方がまだましかなとQ太郎は思います。

もしくは下落自体が怖いのであれば、そもそもレバレッジはやめて、最初からボラティリティの低いものを買うのも一つの手とは思います。

あとレバレッジは、下落局面で買う物ではなく、あくまで短中期の順張りで使うことが基本になります。上がるからレバレッジをかけるのであって、下がる局面でレバレッジをかけるのはリスクが高いとは思います。

それとこういう経済停滞した時には、リーマンショックのときもそうでしたが、落ちた後にだらだらと横ばいで進んでいくことになる場合があります。横ばいで上がり下がりを繰り返していると、レバレッジがかかっている状態だと、どんどん株価が下がっていってしまうのですね。

これまでのデータからすれば、長期的にレバナスを持っていれば大きな利益が期待できますが、ただアメリカの高関税や排外主義によって、これまでのような人や物の集まるアメリカから遠ざかってしまいますと、長期的にこれまでのようにテック分野で独走できるかどうかという問題も出てきます。

リーマンショックのときは金融業界の問題での株価下落であって、アメリカの自由主義や政治自体が変わったわけではないのですね。ベースの部分が変わらなかったのでその後の回復ができたというのもあります。

ところが今回は、ベースとなるアメリカ自体の制度が大きく変わろうとしてしまっているので、長期的にどういう影響が出てくるかが不明な点があります。

アメリカ自体がしっかりしていて、優秀な人材が世界から集まるといういままでの環境であれば金融危機でも立ち直れますが、そもそものそのベースが揺らいでしまって、自国の労働力で生産性の低い物をつくろうみたいな話になってくると、旧共産圏のような貧乏国家まっしぐらになる可能性もあります。

とくに歴史的にもこういうときの指導者はだいたい思い付きで物事をやってきて、例えば中国でも毛沢東が「すずめは害虫で米を食うからすずめを殺そう」みたいなことを思い付きでやって、結果、米の生産量が増えるどころか、虫が増えてよけいに大凶作になってしまったというのがあります。

カンボジアのポルポトなんかもかなり思い付きでいろいろやってとんでもないことになってますし、だいたいこの学問の裏付けのない思い付きでやって、ろくなことになったためしが歴史上ほとんどありません。

トランプ大統領のまわりでも、すでにイーロンマスク氏が「欧米間は関税0がいい」とか言い出してますし、さっそく亀裂が入ってしまったような状況です。今回のテスラ株下落で相当ダメージ受けてますし、欧州は反テスラの動きになっていますしね。テスラのブランドイメージが最悪になっており、1~3月の世界納車台数が13%減ってしまってます。その一方で中国の自動車メーカーBYDが売り上げ台数を増やしておいしい思いをしてますしね。

というか、マスク氏はいまさら文句をいうぐらいなら、最初から止めておけとしかいいようがないというか、自業自得なところもありますね。

そういうわけで、思い付きの政策を実行してうまくいくことは歴史的にもあまりないというか、むしろひどい状況を招いて悪化してしまうケースがほとんどなので、いまの状況であまり大胆に動かない方が良いかなとは思います。

落ちるナイフはつかむなという格言もありますしね。

まとめ

そんなわけでまとめると、

・マルチアイなどの市場監視システムはあくまで過去のパラメータからつくられたものなので、未来を保証するわけではない。

・非線形システム上では、時間が長くなればなるほど予測のずれはかなり大きくなる。

・FXの自動売買システムが信用できないのに、株式のこの手のものを信用するのは変かと。

・変な安全装置をつかって高い経費率を取られるぐらいなら、生で持っていた方が良い(とQ太郎は思う)。

・レバレッジは順張りに使う物。下落局面でレバをかけるのはリスキー。

・レバをかけたまま横ばいになると、どんどん株価は下がっていく。

・リーマンショック時と違い、ベースとなるアメリカ自体が変化しているので、長期的な影響は予測不能(優秀な人材が世界から集まるといういままでの環境であれば金融危機でも立ち直れますが、そうじゃなくなったら話がかなり変わってきます)。

・歴史的に指導者の思い付きを実行してろくなことになったためしがあまりない(毛沢東やポルポトとかそうですね)。

・落ちるナイフはつかまない。

となります。

これまで続けてきた積立投資自体は続けても良いとは思いますが、追加投資という話になると、現状は落ちるナイフ状態なので、レバレッジなら上昇の糸口が見えてからのほうがいいかなとは思います。下げ状況で、レバかけて加速させる必要がありませんしね。

そんなわけで、追加投資はもうちょっと落ち着いてからのほうがいいかなとは思います。もしくはリバウンド狙いの短期投資でやるとかそんな感じですね。あくまでQ太郎だったらそうするという話なので、このあたりは質問者様の環境や投資金額に合わせればいいとは思います。