投資信託を取り崩すときの税金計算方法をわかりやすく解説ー配当金との違いについても【投資の基礎知識】

2022年4月15日一般ETF投資お役立ち情報

zeikin

QYLD全力太郎ことQ太郎です。

質問が増えてきたので、今回は投資信託やETFを取り崩すときの税金の計算方法について述べていきます。

分配金や配当金をもらうより、税金面では有利だということがわかるかと思います。

また配当控除や、総合課税での配当金の税金について述べていきます。

本当に基礎的なことなので、「そんなことわかるよ」という方は復習がてらに読んでいただければと思います。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから

 

分配金・配当金の税金計算

まず分配金・配当金で受け取る場合と、投資信託やETFを取り崩して受け取る場合の、税金の違いについて述べていきます。

分配金・配当金で受け取った場合、株価にかかわらず、受け取った金額すべてが利益と見なされます。

1万円を分配金で受け取った場合、税金は1万円の20.315%になります。

計算方法は、1万円×0.20315=2032円ぐらいですね。

20.315%の内訳ですが、所得税と復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。

この15.315%ですが、所得税が15%で、所得税の2.1%が復興特別所得税になります。

つまり

15×0.021=0.315

で、これと所得税の15を足して、15.315%になっているのですね。

復興特別所得税は東日本大震災の復興に使われる税金です。これがなくなれば15%になります。

それと住民税の5%ですが、確定申告をしなければ、申告不要が自動的に適応されて、社会保険料が上がったりすることはありません。

ただし配当金の確定申告をするときは、申告不要で申告しないと、社会保険料が上がることがあります。

再来年から申告不要は使えなくなりますので、確定申告をしたことによって社会保険料を多く払うことにもなり、結局税金が増えてしまうということになるかもしれません。

haitoukouzyo

それと日本株の場合は配当控除制度がありますので、日本株を運用したほうが税金面では有利です。人によっては、日本株で運用したほうが利益が大きいという人もいますね。

米国株・ETFの税金

一方、米国株の分配金は、日本株に比べると不利です。

まず米国で10%の外国税を取られて、さらに日本で20.315%を取られます。

具体的な計算方法ですが、1万円の配当金を受け取ったら、まずこれの10%を外国税として取られます。

10000×0.1=1000円

をまず取られますね。

残ったのは9000円ですから、さらにこれに対して日本で20.315%を取られます。

9000×0.20315=1828円

ぐらいになりますね。

外国税と合わせて2828円取られます。外国税額控除というのがありますが、年収400万円でも20%ぐらいしか戻ってこないので、年収の多い人でないとあまり戻ってきません。

外国税込みの税金を一気に計算する場合は、

配当金×0.282835

です。ようするに28.2835%取られているということですね。30%近く取られているわけです。

 

投資信託の取り崩し

次に投資信託での取り崩しにかかる税金です。

たとえば90万円が100万円になったとします。

ここで1万円を取り崩したとすれば、1万円全体に税金がかかるわけではなくて、

9000円が1万円になった

と考えるのですね。すると利益分は1000円ですから、これの20.315%ですので、

1000×0.20315=203円

ぐらいになります。

さきほどの配当金の1万円は、株価にかかわらず2032円、外国税有りだと2828円になります。かなり金額に違いがあるとは思います。

取り崩しの計算式ですが、90万円が100万円になった場合、11.11%の値上がりになります。

取り崩す金額が1万円の場合、元の金額の11.11%が1万円になるので、

?×1.1111=1万円

なので、

?=1万円/1.1111

になります。

?はおよそ9千円ですね。

すると利益は1万円ー9千円になるので、1000円になります。これに0.20315をかければいいのですね。

式をわかりやすくまとめると、

(1万円ー1万円/1.1111)X0.20315

になります。文字で書くと、

(取り崩し額ー取り崩し額/値上がり率)X0.20315

となります。

つまり引き算の部分が0、ようするに値上がり率が無限大にならない限りは、同額の配当金よりかならず税金が少なくなります。そのため、確定申告を考慮しなければ、かならず同額の配当金より税金は安くなるのです。

当然、元本割れしている場合は無税です。さらに損失として計上できますね。

収入状態によっては、配当金を総合課税にすることによって、取り崩しより有利になる場合もあります。これはケースバイケースなので、その都度計算して、比べるのがいいでしょう。

ただ再来年から住民税申告不要制度が無くなるので、社会保険料を多く取られたみたいなことにならないように気を付けた方がいいかと思います。

ただ社会保険料の計算ってわかりづらいのですよね。

 

まとめとQ太郎の見解

そんなわけでまとめとして、

・分配金・配当金は全額が利益と見なされる。

・米国株・ETFの場合は、まず外国税10%が取られ、残った金額の20.315%が日本で取られる。外国税は収入が多くないとあまり戻ってこない。

・外国税無しは20.315%、外国税込みは28.2835%が税金になる。

・日本株の場合、配当控除が受けられるので、税金的にかなり有利。外国税も無いため、日本株に自信があれば、日本株の配当を受け取った方が節税になる。

・投資信託の取り崩しは、取り崩した金額の中の利益にだけ税金がかかる。取り崩した金額全部にかかるわけではない。

計算式は、

(取り崩し額ー取り崩し額/値上がり率)X0.20315

となります。

分配金とおなじ金額だけ取り崩した場合、値上がり率が無限大になって、マイナス部分が0にならない限りは、かならず取り崩しのほうが税金が安くなります。

ただ確定申告をすることによって配当金が有利になる場合もあります。これはその時その時で違いますので、その都度計算が必要です。

再来年は住民税申告不要制度も廃止されるので、社会保険料アップの可能性もあるため、計算が面倒になってくるとは思いますね。