日本が生きづらいのは「人生=仕事」だから? 【FIRE/老後】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、日本が生きづらいのは「人生=仕事」だからではないかというご質問です。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
日本が生きづらいのは「人生=仕事」だから?
こんなご質問をいただきました。
「いつも動画を拝見しています。もう60近いのでFIREという程ではありませんが、数年前に早期退職した者です。Q太郎さんの動画で言っていた日本は海外と比べて「労働は美徳」という考え方を持っていることには同意します。
私の勤めていた会社では、しなくてもいい残業をすることが当たり前の社風でした。
誰かが先に帰ろうとすると、まるでサボっているかのような空気が流れ、結局みんなが周りに合わせて居残る状態。
仕事の効率や成果よりも、「どれだけ長く会社にいるか」が評価されているように感じました。
こうした文化の中で過ごしていると、「自分の人生は何のためにあるのか?」という疑問がふと頭をよぎります。
ただ働いて、疲れて、また次の日を迎える。それを繰り返しているうちに、気づけば人生の選択肢がどんどん狭まっているような感覚になります。
このままでは、自分の時間も心の余裕も奪われてしまう。だからこそ、私は「仕事=人生」という固定観念から離れて、自分らしい生き方を模索し始めました。
考えてみたらお金も十分あるし、そもそも独り身なので生活費もほとんど使いません。会社でこれ以上働いても、自分の時間を犠牲にするだけで意味が無く感じました。
計算上は今の生活費で暮らしていった場合、あと40年は生きられます。年金ももうすぐ貰えますので、生活自体は全然問題ない状態です。
それならば、無理に会社にしがみつくよりも、自分の好きなことややりたいことに時間を使ったほうが、ずっと豊かな人生になるのではないかと思い始めて早期退職しました。
日本人が「労働は美徳」という考えで、仕事に対してやたらと真面目にしなければならない、しかしその反面、心の中では仕事をしたくない、このギャップの大きさが日本人を追い詰めているとQ太郎さんが動画でおっしゃっていましたが、海外のように店員がスマホで動画観ながらレジ打ちするような世の中になった方が良いようにも思えます。
日本が生きづらいのは「人生=仕事」と強くとらえすぎているからではないでしょうか?」
とのことです。
なんか以前に日本に帰って驚いたことという動画を上げたのですが、その中で「良くも悪くも若い人の仕事のやる気のなさが顕著」という話をしたところ、「日本人を侮辱するな」みたいな内容のものをいただきました。
侮辱したわけではなく、むしろ褒めているんですけど、あまり伝わらなかったようです。海外だとあくまで仕事というのはお金稼ぎの手段であって、自分の生活や健康を害してまでやるようなものではないのです。
海外だとおしゃべり当たり前で、動画観ながらスーパーのレジ打ちとか、ゲーム遊びながら客に対応とか、みんな気楽に働いているわけです。あくまで金稼ぐ手段でしかないので、仕事なんてその程度のものという割り切りがあるのですね。ヨーロッパもバカンスのために仕事をしている人は多いです。
「過労死」なんて言葉は日本にしかありませんし、英語圏でも「KAROSHI」と日本語のまま認識されるぐらいの言葉です。むこうの人からすると、「なんで仕事で死ぬの?意味が分からん」みたいな感じです。
そのため、若い人が仕事をまじめにやらないというのはある意味良い事だと思っていて、やっとそういう仕事至上主義的な価値観から抜け出せたのではないかとも思っています。その仕事が好きでやる分にはいいですが、たんにお金を稼ぐだけだったら世界標準のやり方で、そんなに真面目に働かなくてもいいとは思います。真面目にやっていない海外のほうが時給高かったりしますしね。
そんなわけで貶しているどころか褒めているわけで、そのあたりを理解していただければとは思います。すごい伝わりづらいとは思いますが、まあ褒めているのです。本当に褒めているんです。
ただやはり、仕事が嫌でもまじめにやってきた人たちには受け付けられない価値観だということもよくわかっています。ただそれは、心の強くない人にとっては精神を病む結果になりますし、知り合いで実際に精神を病んだ人もいますので、仕事に対するほどほどの価値観が広まっていけばとは思います。
日本ではまだ難しい気もしますが、少なくとも過労死なんて言葉がなくなる社会になったらいいとは思います。仕事が好きで頑張って亡くなったみたいなのはいいんですけど、過労死の場合、本人が嫌なのに会社のためとかそういう理由で無理に仕事を続けているケースですしね。
この「仕事は美徳」という日本の価値観ですが、言い換えれば質問者様のおっしゃっているように「人生=仕事」みたいな価値観があるからとは思います。
これはもう日本の小学校を見ればわかりますが、「将来何になりたいですか」という質問に対して、日本人の多くは職業で答えるのですね。「警察官になりたい」とか「お菓子屋さんになりたい」とか、こんな年齢で人生=仕事が刷り込まれてしまっているわけです。
「朝から晩までゲームを遊びたい」とか「朝から晩まで釣りしたい」とか「仮面ライダーになりたい」とか、そういう仕事を絡めない願望を提案することのほうが人生としては健全に思いますが、学校でこういうことを言うと「こいつ頭おかしい」みたいに教師から注意される気もします。
生物学者で有名な池田清彦氏は、「真面目に生きると損をする」みたいな感じの本をけっこうたくさん出版していますが、本のタイトルは忘れましたが、そもそも人類が働くことに価値観を置きだしたのは農耕文明が発達して以来で、人類の長い歴史の中のたかだか1万年程度という話をされていました。
さらに仕事=自己実現という考え方が起こったのは近代以降で、そう考えるとたかだか100年程度なのですね。もともと人類はそんなに働くことに重点を置いていなかったわけです。
それで日本の不幸というのは、「仕事を通じた自己実現」をみんなに求めさせてしまう風潮にあります。
大谷翔平がアメリカで頑張っていますが、なんか一つのことに打ち込んで頑張って、仕事で成功してみたいな価値観を他国に比べて日本人はやたらと好むわけです。「仕事を通じた自己実現」みたいな人生がいいみたいな価値観ですね。
「自己実現できない仕事を選ぶのはよくない」ということでフリーターも増えたりで、いわゆる自分探しが蔓延しだすわけです。たんに自分の時間を確保するために割り切ってフリーターをやっているのならいいのですが、自己実現とか自分に合う仕事を探すためにみたいな変な目的をもって、探し続けているみたいな状況は精神的にどうかなという気がします。
そういうことを続けていくと最終的に無敵な人みたいになって、自分が認められない世の中を恨んで大きな事件を起こしたりしかねません。
そんな感じで、なんかもうちょっと気楽に、海外のように仕事は金儲けの手段でしかないという価値観もひろがっていったほうがいいとは思います。しょせん仕事はその程度のものみたいな割り切りも必要で、そうじゃないと精神病む人が多くなります。
日本のコンビニやスーパーもスマホ見ながら客に対応して、定時になったらスペインみたいに仕事が途中でもぜんぶほっぽり出してさっさと帰るみたいなことができる明るい職場になった方が良いんじゃないかとは思いますね。スペインは2040年には日本を超えた長寿国になるともいわれていますしね。
そもそも日本人は、江戸時代は30代で家督をゆずって隠居みたいな生活でしたし、宵越しの金はもたないみたいな価値観もありました。「働かざるもの食うべからず」は明治以降の「富国強兵」政策から来ている価値観で、このあたりから仕事しないやつ=悪みたいにはなってきました。
いまでも東南アジアとか、半裸のおっさんが昼間から酒飲んでだらだらしていますし、仕事のある人に一族がたかるというのも当たり前ですし、旅行するときは観光地見るよりそういう現地の生活を見て違う価値観を自分の中に入れておくことは大切とは思います。日本にいるとその価値観が世界標準に見えてきたりしますしね。
スリランカとかもシェア文化があるので、お金なくても人からものをもらって全然生きていけるみたいな感じで、あげるほうも人に物を上げるとカルマが上がるみたいな感じで喜んであげているので、なんとでも生きていけるみたいな感じがあります。
そんな感じで、「人生=仕事」という価値観や、「仕事=自己実現」みたいな価値観から抜け出していくのがいいかなとは思います。やりたい人はいいのですが、嫌なのにやっていると精神病みますしね。
結果よりもいかに真面目かを重視する会社なら、まじめなふりをしつつ、ほどほどに手をぬいて仕事をしておけばいいとは思います。そもそも日本は簡単に首にできないので、仕事が嫌な人はほどほどでいいとは思います。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・「良くも悪くも若い人の仕事のやる気のなさが顕著」は褒め言葉。
・日本は「労働は美徳」という表面的な価値観と、心の中では仕事を嫌がっていることから、そのギャップが大きくて病みやすい。「過労死」も日本独特の文化。
・「将来何になりたいですか」という質問に対して、日本の小学生の多くは職業で答える。「人生=仕事」の価値観が小さい頃から刷り込まれている。
・日本の不幸は、「仕事を通じた自己実現」を求めてしまう風潮。実現できないと無敵の人になって世の中に牙をむくことも。
・「働くもの食うべからず」は明治以降の「富国強兵」政策から。「仕事をしない=悪」の価値観もこのころから(つまるところ国家に貢献しないのが悪ということですね)。
・海外のように仕事はお金稼ぎという割り切りや価値観を持ち、「人生=仕事」という価値観や、「仕事=自己実現」みたいな価値観から抜け出していった方が気楽に生きられるかと。
・会社がいかに真面目に仕事をするかを重視するなら、まじめなふりをしつつ、ほどほどに手をぬいて仕事をしておけばいい。法律上、そう簡単に首にすることはできない。
となります。そんな感じで、したい仕事ならまじめに頑張ればいいのですが、したくない仕事なのにまじめにすることを求められるなら、まじめにやってる演技をしつつ、実際仕事はそこまでしていないみたいな感じで適当に手を抜いていけばいいんじゃないかとは思います。そっちのほうが世界標準です。
そんな感じで、日本も「仕事を通じた自己実現」みたいな狂った風潮がなくなって、スマホ見ながらレジ打ちできるようなゆるい社会になってくれたら多くの人が生きやすくなるんじゃないかなとは思います。