親の『心配するな』を信じた末路。認知症で資産が氷漬けになる前にすべきこと【介護の経済学】

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以前出した動画「FIREと親の介護を両立させる生存戦略」に、こんなコメントをいただきました。

「私の母は、ただ単に心配するなと言うだけでした。貯金はそれなりにあるようなのですが、どこにどれだけあるかわからないと困ると再三言っても、迷惑はかけん、心配するな、の一点張り。結局そのまま認知症になって、せっかくの貯金は氷漬け状態です。おそらく数年は父の貯金でまかなえるでしょうが、そのうち私からも手出しが出るでしょうね。」

とのことです。ありがとうございます。

これ、めっちゃわかります。家族間のお金の相談って、案外難しいんですよね。

他人のお金の相談には、けっこう冷静にアドバイスできるのに、自分の親のこととなると、なぜかうまく話せない。お金の話をしようとすると、変な空気になったり、はぐらかされたり。多くのかたが、似たような壁にぶつかっているんじゃないかと思います。

正月やお盆に実家に帰ったとき、「そういえば、通帳とか保険とか、どうなってるの」と、ちょっと切り出してみただけで、急に空気が張り詰めた経験、あるかたも多いんじゃないでしょうか。子供としては、心配だから聞いているだけなのに、親からすると、まるで財産を狙われているかのように受け取られてしまう。この温度差こそが、今回のテーマの出発点になります。

そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に振り回されないための生存戦略を日々発信しています。

今回は「親子マネー会議は最後の親孝行」というテーマを深掘りしていきます。

・親の「心配するな」は「SOS」である

まず整理しておきたいのが、親が「心配するな」と言うときの、その言葉の意味です。

これ、順調だから言っているわけではないと思うんですね。むしろ「弱みを見せたくない」「子供に負担をかけたくない」という、強い自尊心の現れなんじゃないかと思います。

とくに高齢になるほど、自分でできることがどんどん少なくなっていくので、逆に弱みを見せたくなくなってくる。できないことが増えるほど、できないと認めたくなくなる、という逆説が働いているんですね。

Q太郎の父もそうなんですが、ミスを指摘すると、めちゃくちゃ怒り狂うか、めちゃくちゃ自己正当化に執着するかの、どちらかになります。本当にコミュニケーションが難しいんですね。悪気があるわけではなく、むしろ弱っている自分を認めたくないという気持ちの裏返しなんだと、頭では理解しているんですが、それでも会話としては、けっこう疲れる瞬間です。

とくにお金という、もっとデリケートな話題になったときに、素直に弱みを見せてもらうのが、どれだけ難しいかという話ですね。

ただ、この「心配するな」を鵜呑みにした結果、月に数十万円の介護費用を、子供のほうが持ち出すことになる、いわゆる「共倒れ」の現実が待っているかもしれません。今回のコメントをくださったかたのように、貯金があるのに場所がわからないまま認知症になってしまうと、そのお金は事実上、凍りついたまま使えなくなってしまいます。曖昧にしておくことは、結局のところ、あまりよろしくないと思うんですね。

・親の自尊心を解体する「聞き出しの技術」

ここからが、今回Q太郎が一番言いたいところなんですけど。

親に「いくらある?」と直接聞くのは、正直あまりおすすめできません。あれは尋問に近くて、親からすると、値踏みされているような気分になってしまうんですね。

そうではなくて、「お父さんが一番嫌なのは、不本意な施設に入れられることだよね。そうならないための作戦を、一緒に立てたい」というふうに、親自身のメリット・デメリットを前面に出す聞きかたのほうが、うまくいきやすいと思います。主語を「私が知りたい」ではなく「お父さんにメリットがある」「いまこの話をしないとデメリットになる」に変えるだけで、受け取られかたがずいぶん変わるんですね。

まあ、簡単ではないとは思いますし、Q太郎の父のように、「難しいことは考えたくない。最初から家族に全部丸投げしよう」と思っているケースだと難しいですが、これをやらないとどれだけのデメリットがあるかみたいな話はしておいたほうがいいとは思います。

それで、実際に「マネー会議」を開くとして、何を話せばいいのか。そして何を探り出せばいいのか。Q太郎は、大きく3つに絞るのがいいと思っています。

一つ目は、資産の「在りか」の特定です。ここで大事なのは、金額そのものを聞き出すことではありません。銀行名と、通帳がどこにあるかさえわかれば、それで十分なんですね。金額まで踏み込もうとすると、親の警戒心が一気に上がってしまいます。

まずは「資産がどこにあるか」だけを押さえる。今回のコメントをくださったかたのケースも、金額がわからないことより、そもそも「どこにあるか」がわからないことのほうが、致命的だったわけです。とにかくどこの銀行で資産を管理しているのか、通帳はどこにあるのか、それをはっきりさせておいたほうがいいでしょう。

二つ目は、「代理人カード」と「任意後見」の準備です。認知症になってからでは、手続きそのものができなくなってしまいます。だからこそ、元気なうちに、「お父さんお母さんが困らないために」という理由で設定してもらうよう、促しておく必要があります。これは子供のためではなく、あくまで親自身のための備えだ、という伝えかたが大事です。

銀行の窓口で「本人の意思確認ができません」と言われて手も足も出なくなる、というのは、介護の現場ではよく聞く話です。元気なうちにこのひと手間を済ませておくかどうかで、いざというときの動きやすさがまったく変わってきます。

三つ目は、「延命」と「施設」についての希望です。お金の話とセットで、「どう死にたいか」を聞いておくことが、結果的にお金の話そのものをスムーズにしてくれます。延命の意思確認については、また別の動画であらためて詳しく話したいと思っているんですが、この希望が固まっていると、資産をどう使うかという判断も、ずっとしやすくなるんですね。延命治療にどこまでお金をかけるか、在宅か施設かという希望が事前にわかっているだけで、いざというときに子供が「これでよかったのか」と迷う場面が、かなり減ります。

延命については親だけでなく、自分が対象になる場合も、どうするのかは考えておいたほうがいいですね。自分が延命したくなくても、家族が延命させてしまう可能性もありますしね。

・兄弟という「ステークホルダー」の巻き込み方

一人っ子でなければ、兄弟という、もう一人の関係者のことも考えておく必要があります。

「自分だけが親のお金の状況を知っている」という状態は、あとあと、遺産相続が泥沼化する火種になりやすいんですね。良かれと思って一人で抱え込んだことが、あとから「あいつだけが得をしたんじゃないか」という疑いにつながってしまう。とくに兄弟仲が悪いとかいう人は注意が必要です。

対策としては、普段から情報共有しておくこと。兄弟仲が悪い場合は、あえて司法書士のような第三者を同席させることも有効です。第三者が間に入ることで、自分が「親のお金を独り占めしようとしている悪役」に見られることを防げます。透明性を確保しておくことは、家族関係を守るための、地味だけれど大事な防衛術なんですね。

実際、相続の現場でこじれるのは、金額の大小よりも、「知らされていなかった」という不信感のほうが原因になることが多いようです。仲の良かった兄弟が、親の死後、通帳の使途をめぐって疑心暗鬼になってしまう、というのは、決して珍しい話ではありません。もはやお金の問題ではなく、プライドとかの問題でケンカになってしまうのですね。

そんな感じで、あらかじめ情報を共有しておくことは、お金を公平に分けるためというより、家族の信頼関係そのものを守るための手続きに近いと思います。

・まとめ

そんなわけでまとめると、お金の話をすることは、卑しいことでも、疑い深いことでもないと、Q太郎は思っています。むしろ、お互いの人生を尊重して、最後まで自立して生きてもらうための「愛」なんじゃないかと。

親の「心配するな」をSOSとして受け止め、尋問ではなく相手のメリット・デメリットを提示し、銀行と通帳のありかと、代理人の備えと、延命や施設への希望を話し合っておく。そして兄弟がいるなら、透明性を保って巻き込んでおく。自分だけで解決しようとしない。

ただ、これだけ整理しても、心理的な抵抗が大きい問題であることは変わりません。というか、いうほど簡単な話でないのは、Q太郎もよくわかっています。

とにかく急がず、一度の会話で全部を聞き出そうとせず、正月に一つ、お盆に一つというぐらいの気持ちで、少しずつ積み重ねていくぐらいがちょうどいいんじゃないかと思います。そんな感じで、少しずつ話しておくことが、結果的に家族みんなを守ることにつながるんじゃないかと。

でも本当に難しい問題ですね。親の性格にもかなり左右されますしね。

みなさんは、親御さんとお金の話、できていますか。それとも、うちも同じような壁にぶつかっていますか。よかったらコメントで教えてください。全部読ませていただいています。

数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。

ではまた、Q太郎でした。

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