【投資】「老後のお小遣い」が一番危ない|月3万円のために1000万円を賭ける人

【投資】「老後のお小遣い」が一番危ない|月3万円のために1000万円を賭ける人
【毎日17時更新中!】たまに午前中にも追加投稿します。「老後に毎月3万円くらい入れば十分」。そう聞くと、控えめで安全な投資に思えます。しかし、その月3万円を作るために差し出す元本が1000万円なら、話は小さくありません。今回は、毎月分配型投...

前回に続いて、今回は「老後のお小遣い」についてです。

毎月分配型投資信託や、ワンルームマンション投資でよくあるキーワードですね。

大もうけをしたいわけではない。

老後に、毎月3万円くらい入ってくればよい。

年金に少し足して、たまに外食をしたり、旅行へ行ったりできれば十分。

知り合いや営業マンからこんな話をされて、投資話を持ち込まれると、かなり堅実な話に聞こえます。

月3万円ですから、欲張っている感じもありません。

老後のお小遣いを少し作るだけです。

ところが、その月3万円を作るために、1000万円を金融商品へ入れるとします。

年間で受け取るお金は36万円です。

1000万円に対して、税引前で年3.6%になります。

手取りで毎月3万円を受け取りたいなら、税金を考慮すると、税引前では約4.5%が必要です。

ここに販売手数料や信託報酬が加わります。

老後のお小遣いという言葉だけを聞くと、小さくて安全な話に感じます。

しかし、受け取るお金は月3万円でも、動かしている元本は1000万円です。

そして金融機関にとっては、その1000万円が報酬を生む元になります。

投資家は、自分が毎月お小遣いをもらっていると思っています。

ただ、実際に安定してお小遣いを受け取っているのは、金融機関のほうかもしれません。

そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。

今回は「老後のお小遣いが一番危ない」を深掘りしていきます。

・三つの話

今日は大きく三つ話します。

一つ目、小さな受取額が、大きな元本を見えなくすること。

二つ目、毎月受け取るお金が、利益とは限らないこと。

三つ目、手数料と信託報酬は誰のお小遣いになるのかです。

最後に、「老後のお小遣い」という言葉を聞いたとき、何を見ればよいのか、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。

・一つ目・月3万円が1000万円を隠す

それでは一つ目、小さな受取額が、大きな元本を見えなくすることです。

人は、受け取る金額が小さいと、投資まで小さいと思ってしまいます。

毎月30万円の利益を狙うと言われたら、多くの人は警戒するでしょう。

そんなにうまい話があるのか。かなり危ない投資ではないかと思います。

しかし、「老後のお小遣いとして月3万円」と言われると、急に現実的で手堅い話へ変わります。

欲しい金額が控えめなので、その方法も控えめだと思ってしまうのですね。

ところが、1000万円から毎月3万円を受け取るなら、年間36万円、税引前で3.6%です。

預金の利息のように、元本がそのまま残り、そこへ毎年3.6%が確実に付くわけではありません。

投資ですから、価格は上がることもあれば、下がることもあります。

分配金が減ったり、支払われなくなったりする可能性もあります。

それでも販売するときには、「毎月3万円」という受取額が前へ出ます。

1000万円を失う可能性ではなく、3万円を受け取る生活が頭へ浮かびます。

毎月、少しよい外食ができる。

年に一度、旅行へ行ける。

孫へお小遣いを渡せる。

こうした具体的な使い道が見えると、1000万円という元本が背景へ下がります。

でも、投資で先に見るべきなのは、欲しい月3万円ではありません。

そのために、いくらを、どのような危険へさらしているかです。

「毎月3万円なら、まあいいか」ではなく、「1000万円をこの商品へ入れてよいのか」と考えなければなりません。

大もうけを狙う人だけが、大勝負をするわけではありません。

小さな欲望が、大きな投資を正当化することもあるのですね。

・二つ目・分配金は利益とは限らない

二つ目、毎月受け取るお金が、利益とは限らないことです。

老後のお小遣いを作る商品として、一時期、毎月分配型の投資信託が人気になりました。

名前のとおり、毎月決算を行い、分配金を支払う投資信託です。

毎月、口座へお金が入ってくるので、給料や年金のような安心感があるような気がします。

しかし、投資信託の分配金は、預金の利息とは仕組みが違います。

分配金を出せば、その分だけ投資信託の中にある資産が外へ出ます。

そのため、分配した分だけ基準価額は下がります。

ここは以前の動画でも話しましたが、配当や分配金は、何もないところから追加で生まれるお金ではありません。

投資信託でも、運用で十分な利益が出ていない状態で分配金を出せば、投資家が入れた元本の一部を払い戻すことがあります。いわゆる特別分配金ですね。

毎月3万円が振り込まれていても、その3万円が運用で生まれた利益とは限らないわけです。

自分が預けた1000万円を、少しずつ削って返してもらっているだけかもしれません。

金融庁が過去に示した調査では、毎月分配型投資信託の保有者のうち、「分配金として元本の一部が払い戻されることもある」と理解していた人は37%しかいませんでした。

逆に言えば、多くの人が、分配金を純粋な利益のように受け取っていた可能性があります。

これは、毎月お金が振り込まれる見た目が、あまりにも給料や利息に似ているからだと思います。

通帳には毎月3万円と記録されます。

しかし、その横に「今月、基準価額がいくら下がったか」「そのうち、いくらが自分の元本だったか」は、大きく表示されません。

入ってくるお金だけは見える。

減っている元本は見えにくい。

この見え方が、「老後のお小遣い」という物語と非常に相性がよかったのですね。

投資利益は、基本的には受け取った分配金と、現在の評価額を合わせたトータルリターンで見る必要があります。

毎月もらった金額ではなく、元本に対して、全体でどれだけ利益が出ているかですね。

そこを見なければ、お小遣いをもらっているのか、自分のお金を返してもらっているのか分かりません。

分配金を貰っていても、トータルリターンがマイナス続きだったら意味がないわけです。

・三つ目・金融機関のお小遣い

三つ目、実際にお小遣いを受け取っているのは誰かです。

投資信託には、主に購入するときの販売手数料と、保有中にかかる信託報酬があります。

販売手数料は、商品によって無料のものもあります。最近はインデックス投資の普及で無料のものが多くなったのですが、それでも購入手数料が存在する商品もあるので、ちゃんとチェックしておく必要があります。

仮に販売手数料が3.3%なら、1000万円を購入した時点で33万円です。

月3万円のお小遣いで考えれば、約11カ月分になります。

まだ一度も分配金を受け取っていない段階で、11カ月分に相当するお金が費用として出ていくわけです。

昔の毎月分配型は、3%どころか、平気で5%とか取っていたものもありましたね。

解約時にも手数料がかかったりしますので、昔は証券マンがこれを利用して、顧客に投資信託の乗り換えを定期的にすすめたりしていました。購入と解約で、ダブルで手数料が入るのですね。

さらに、信託報酬が仮に年1.5%なら、1000万円に対して単純計算で年間15万円です。

実際には基準価額などによって金額は変わりますが、信託報酬は保有しているあいだ、信託財産から日々差し引かれます。

利益が出たときだけ払う成功報酬ではありません。

運用がうまくいかず、投資家の資産が減っているときにも発生します。

投資家が受け取る分配金は、減額されたり、支払われなくなったりすることがあります。

しかし、商品が運用されているあいだ、金融機関側の報酬は商品の定めに従って差し引かれます。

投資家は、毎月3万円のお小遣いをもらうつもりで1000万円を預けます。

その横で金融機関は、1000万円を元に、毎日少しずつ信託報酬を受け取ります。

しかも投資家へ振り込まれる3万円は、自分の元本から出ている可能性があります。

一方、金融機関が受け取る手数料や信託報酬は、金融機関側の収入です。

これ、かなり皮肉な構図です。

投資家は、自分のお金を返してもらって喜ぶ。

金融機関は、元本がどうなろうが信託報酬を受け取れる。

老後のお小遣いをもらっているつもりで、金融機関へお小遣いを渡しているのですね。

最近は、毎月分配型という言葉を以前ほど見かけなくなりました。

新NISAでも、毎月分配型の投資信託は成長投資枠の対象から除外されています。最近は毎月分配型を購入できるプラチナNISAとかの話が出てきてますが、これを機に、また変な商品が登場しそうな気もします。

そんな感じで、「毎月分配型」という名前が目立たなくなっていますが、一方で、定期収入を強調し、複雑な仕組みや高い費用を見えにくくする商品は存在します。

毎月いくら受け取れるか。

高い分配率が続いているか。

そこだけを見ていると、商品名が変わっても、同じような仕組みに引っかかります。みんなで不動産みたいなあれですね。

見るべきなのは分配金の多さではなく、分配金を含めた全体の損益、トータルリターンです。

説明を聞いても自分で仕組みを説明できないなら、「老後のお小遣い」という言葉だけで、大きな元本を入れないほうがよいと思います。お小遣いという言い方が、なんか少額でリスクが少ない感じに聴こえてしまうのですね。

・まとめ・誰のお小遣いなのか

最後に、「老後のお小遣い」という言葉を聞いたとき、何を見ればよいのか、Q太郎なりの見立てを置きます。

お小遣いは小さくても、お小遣いを作る装置は小さくありません。

毎月3万円という言葉の後ろには、1000万円という元本があります。

その1000万円が値下がりする可能性があります。

その1000万円から、販売手数料や信託報酬が差し引かれます。

そして受け取る3万円も、利益ではなく、自分の元本かもしれません。

「毎月3万円もらえる」という説明を聞いたときに、まずやることは、3万円の使い道を考えることではありません。

まず、そのために、いくらを差し出すのか。

最初にいくら取られ、信託報酬をいくら払い続けるのか。リスクやトータルリターンはどうなのか。償還期限はいつなのか。インデックス投資の取り崩しで十分ではないか。そもそも信用できる投資商品なのか。

ここを見るべきです。

とくに償還期限が設けられている商品は、時期が来ると残った資産が返却されてしまいますので、またそのときに次の投資先を考えないといけません。

あとインデックス型の毎月分配だったら、自分で直接買って取り崩したほうが無駄な手数料がかからなくて済みますしね。

というか、老後のお小遣いが欲しいだけなら、自分の預金から毎月3万円ずつ取り崩す方法もあります。

1000万円を毎月3万円ずつ使えば、単純計算では27年以上かかります。60歳から取り崩しても90歳近くまでは持ちますね。そこにリスクを足す必要性はあるのか、という話にもなります。

もちろん、物価上昇や運用、ほかの生活費もありますので、これだけで老後設計はできません。

ただ、謎のお小遣い3万円のために、わざわざ複雑で高コストな商品を通す必要があるのかは考えたほうがよいでしょう。

金融商品を通せば、取り崩しが魔法の収入へ変わるわけではありません。自分で取り崩そうが、相手が取り崩そうがおなじことです。ただ手数料や信託報酬というお小遣いを受け取るのは相手です。

お小遣いという言葉は、子どものころから聞いている、やさしくて小さな言葉です。

だから、その言葉の後ろにある1000万円や、何年も続く費用が見えなくなります。

Q太郎は、「老後のお小遣いが入ります」と言われたら、最初にこう考えます。

そのお小遣いは、誰が、誰から、何のお金を受け取る話なのか。

自分がお小遣いをもらう商品だと思っていたら、金融機関へお小遣いを払い続ける商品だった。

そんなことにならないよう、受け取る3万円より、差し出す1000万円を先に見たほうがよいと思います。

皆さんは、「毎月いくら受け取れる」という説明の金融商品を勧められたことがありますか。また、分配金が自分の元本から出る場合があることを、最初から知っていたでしょうか。よろしければコメント欄で教えてください。全部読ませていただいています。

数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。

ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。

 

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