6月CPIは9.1%!積極利上げでS&P500は年末3400予測も【米国株投資】
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
昨日発表された6月の米消費者物価指数(CPI)ですが、前年同月比9.1%という大きな数字が出ましたね。1981年以来のおよそ41年ぶりの大幅な伸びになっています。
インフレ退治のための積極的な利上げを予想してか、ドル高に弾みがついてきています。現在137円後半で、138円台に迫っていますね。動画公開後に138円突破している可能性は十分にあります。
株式のほうですが、Q太郎的には予想していたほど落ちなかったという感じです。S&P500のほうは、寄り付きに大きく落ちたものの、そのあとは上昇傾向でした。一時、前日の終値を突破する展開もありましたね。
そんなわけで今回はCPI増加による積極利上げと、米国株式市場の今後についてです。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
6月CPIと今後の米国株式市場
さて、米消費者物価指数CPIです。CPI自体についてはこちらを参照してください。
発表された6月のCPIは前年同月比9.1%と、大きな数字が出てしまいました。市場予想が8.8%だったので、それを超える結果となっています。
これまで3月は+8.5%、4月は+8.3%、5月は+8.6%と上昇傾向でしたが、6月で一気に9%台に上がった形です。全然インフレがおさまっていませんね。
内訳ですが、このようになっています。
前月比 前年同月比
食料品:+1.0%、+10.4%
エネルギー:+7.5%、+41.6%
ガソリン:+11.2%、+59.9%
賃貸:+0.7%、+5.5%
中古車:+1.6%、+7.1%
航空運賃:−1.8%、+34.1%
アパレル:+0.8%、+5.2%
ガソリンの伸びがやはりすごいですね。前月比で11.2%、前年同月比で59.9%のプラスになっています。アメリカの場合、移動に車が必要なところが多いので、これは家計への大きなダメージになりますね。
6月のCPIを受けて、次の利上げは0.75%どころか、1%になるのではないかという観測が出ています。インフレ退治は、米連邦準備理事会(FRB)の最優先課題になっていまっていますしね。
しかし利上げが行き過ぎると、当然そこで待っているのはリセッション(景気後退)懸念です。お金が借りにくくなりますし、返すお金を増えますので、経済が良くなる方向へは進まないでしょう。
利上げによって、逆イ―ドルがさらに拡大するという予測もあります。逆イールドとリセッションの関係については前回を参照してください。今後、3カ月物と10年債の逆イールドも、可能性として出てきています。
インフレの牽引要因は食料品とエネルギーですが、その2つを抜いたコアCPIのほうは前年同月比+5.9%となっています。
3月は+6.5%、4月は+6.2%、5月は+6.0%と減少傾向にあったので、食料品とエネルギー以外については、インフレは収まってきている状況ですね。ただ市場予想が5.7%だったので、それを超える伸びにはなっています。
中間選挙
さて、政府がというかバイデン政権がインフレ抑制に強く動き出す理由としては、やはり中間選挙が控えているというのがあります。
バイデン大統領の支持率は、昨年8月以降50%を下回り続けています。現在は40%をも下回る36%と、過去最低レベルになってしまっています。
この状態だと、11月の中間選挙で、民主党が上下両院の少なくともどちらか一方で、過半数議席を失う可能性が高まることになります。
物価高やガソリン高は、国民の目に見える形での不満要因になりますので、それがそのまま政権へのダメージになります。
とくに経済政策に対する支持率はわずか28%ほどと、経済オンチあつかいされているような状況です。
これを何とかするためにも、積極的な利上げに動く可能性はあります。
アメリカで有権者が関心を持っている問題は、1位は経済で28%です。生活に直結しているので当然の結果かと思います。ちなみにウクライナなどの戦争問題などはわずか4%です。ここに力を入れても支持率アップにはあまりつながらないことになります。
さらに「ガソリン価格高騰の責任がどこにあるか」のアンケートをマリスト大学がおこなったところ、
1位が「バイデン大統領の経済政策」の43%と、圧倒的にバイデン大統領のせいにされています。
2位は「石油会社」24%、「戦争・制裁」にいたっては3位の22%と、ウクライナ侵攻が大きな問題と思っている人はそれほど多くはありません。
かなりダントツで、バイデン大統領の愚策に問題があると思われています。
いまアメリカ国民の目は、ガソリン価格高騰やインフレに向いています。支持率回復のためには、インフレ対策にメスを入れていくという形になるでしょう。
ただバイデン大統領は、今回の6月CPIの結果を受けて、「これは古い情報だ。すでにガソリン価格は下落している」と述べています。実際、6月半ばからはガソリン価格は低下していますし、エネルギーセクターETFのVDEも下降トレンドになっていますね。
またコアCPIも下降傾向であることを指摘しています。
まとめとQ太郎の見解
ガソリン価格の値上がり鈍化が見られていることから、この7月がピークになるのではとの予測も市場関係者からは出ています。
ただ一方で、逆の意見もあります。
BMOキャピタルのエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「インフレは鈍化どころか、加速している。ガソリン価格は落ちているが、家賃を中心にインフレ圧力は長期化する可能性がある」というコメントを出しています。
何にしろ、予測に頼って強気で買いに行くよりは、結果を見てから動いたほうがいいとは思います。これから決算シーズンも控えていますので、無理のない投資をしていくのがいいでしょう。
現在のCPIを受けて、JPモルガンのチーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「7月に100bp、9月に75bpの利上げが実行されれば、年末にかけての成長見通しは恐らく悪化するだろう」と述べています。
またパイパー・サンドラーのストラテジスト、マイケル・カントロウィッツ氏は、年末までのS&P500の予想を4000から3400に引き下げています。現在3800ぐらいなので、あと11%ほど落ちることになります。
まあ、「いまさら11%ぐらいの下落なら」という感じもしますけどね。
なんにしろ決算シーズンもひかえているので、十分に時間分散をした投資をするのがいいとは思います。
7~8月の米国市場動向についてはこちらを参照してください。