消費者物価指数(CPI)って何?わかりやすく解説ーコアCPIについても
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
パウエル議長の「軟着陸は非常に困難」の発言で、リセッション(景気後退)の可能性をほのめかしたことで、米国市場はどっちつかずの状況になってきています。
S&P500は前日比で-0.13%。前日終値より下げての開始になったものの、その後は上昇。そこから上がったり下がったりの横這いで、最終的には前日終値とおなじぐらいの場所で落ち着きました。
NASDAQもだいたいおなじ動きですね。前日終値より下で始まってからの上げで、そのあとは下がってからの横這い。結果的に前日終値とだいたいおなじ値段の、前日比-0.15%です。
パウエル議長の「軟着陸は非常に困難」発言では、「リセッションを起こさせる気はないけど、連続利上げで起きちゃうかもしれない」というメッセージを送ったことにもなります。
ただこれらはぶっちゃけこれまでどおりの話なので、大きな失望にもつながらなかったというところでしょう。
この裏で、リセッションを見越してか、債券価格が上昇しています。
10年債利回りは3.4%を超えたあと、下落傾向になってきています。ただまだ3%以上ですね。
債券ファンド大手の米パシフィック・インベストメント・マネジメントは、インフレ圧力が持続するリスクがあることから、利回りが4%に達するという発言をしています。
今回はリクエストのあった、消費者物価指数(CPI)について、わかりやすく解説していきます。いま米国市場が荒れている原因でもありますね。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
CPIとは?
さて、いまの米国市場の混乱を招いているのは、今月発表された5月の消費物価指数(CPI)です。
前年同月比+8.6%と、40年ぶりの高水準となりました。
今回はこの消費者物価指数CPIについての話です。
CPIは「Consumer Price Index」の略です。日本語にすれば消費者物価指数ですね。
物価の動きをはかるインデックスとして使われています。
噛み砕いて言えば、我々が買っている食料品や、電気・ガスなどの公共料金、通信費などをまとめて一つの価格にして、わかりやすくしたものです。
1864年に、ドイツの経済学者であるラスパイレスが提案した指数ですね。
ある時点を基準にして、おなじものを買ったときに、高くなっているのか安くなっているのかというものを比較する指数ですね。
たとえば去年リンゴ1個100円で、今年1個105円だったら、前年より今年の方が高いというのはすぐわかるかと思います。
これを様々な項目に広げ、一つに指数にしたのがCPIですね。
CPIが上がっていれば、「生活費が高くなっている」ということでして、ようするに物価が上がっているということですね。
CPIが下がっていれば「生活費が安くなっているなー」ということで、ようするに物価が下がっているということです。
そのため前年同月と比べることになりますが、CPIが前年より高くなっているということは、物価が高くなっているわけで、インフレになっているということです。
逆に、CPIが前年同月より下がっているのであれば、物価が低くなっているのでデフレということですね。
コアCPIについて
もちろんCPIは毎月おなじわけではなく、品目によっては季節やそのときの天候によって違いがでてきます。
国ごとによって違いますが、日本の場合は天候に影響を受ける生鮮食品の価格ですね。スーパーの生鮮食品の価格はよく変わりますしね。
米国の場合は、食料品とエネルギー品目です。
そこで、このような季節や天候に左右される、価格変動の大きな品目をCPIから抜いたものを「コアCPI」といいます。
たとえば、アメリカの5月のCPIは前年同月比で+8.6%でしたが、ここから食料品とエネルギーを抜いたコアCPIだと前年同月比で+6.0%となっています。
それでCPIだけだと、3月は+8.5%、4月は+8.3%、5月は+8.6%と上昇傾向ですが、
食料品とエネルギーを抜いたコアCPIだと、3月は+6.5%、4月は+6.2%、5月は+6.0%と減速傾向にあります。
いまはウクライナ問題などで、やはり食料品とエネルギーが高騰してしまっているということですね。
この5月の+8.6%のCPIを品目別にみると、5月は食料品が+10.1%、ガソリンに至っては+48.7%と大きく上がっています。
これに連動して航空運賃は+37.8%になっています。
ちなみに家計の多くを占める住居費は+5.5%ですね。
米国株が大きく落ちた理由
それで今回、S&P500がガツンと落ちたことですが、CPIの3月が+8.5%、4月が+8.3%だったので、
「あれ? これ減ってるよね。インフレがピークアウトしてるんじゃね?」
と思ったので、5月の予想を先月と同じ+8.3%ぐらいにしたところ、現実は+8.6%だったわけです。
4月どころか、3月の8.5%を抜いてしまったのですね。
食料品とエネルギーを抜いたコアCPI自体は下がっていますが、やはりいまのインフレの問題は食料品とエネルギーになりますね。
これで来月どうなるのかといったところです。
CPIが今後もさらに上がっていくと、利上げが効いてないということで、さらなる利上げと言う話になり、株価にも大きく影響してきます。
そして利上げによって現実世界の経済もダメージを受けます。
お金が借りづらくなったことで経済が後退し、中小企業がバタバタと倒産したりとかが起こるかもしれません。
そういうわけで、今後CPIが利上げでしっかり下がってくれるのか、全然利上げが効いていないのか、それに注目していく必要があります。
利上げが効いていなければ、さらに利上げして、さらに株価が落ちるという話になりますね。
まとめとQ太郎の見解
ここまでをまとめると、
・消費者物価指数CPIは、物価の動きをはかるインデックス。
・CPIがプラスなら物価高(インフレ)、マイナスなら物価安(デフレ)。
・コアCPIは、CPIから季節や天候によって変動の激しい品目を抜いたもの。抜くものは国によって違い、日本の場合は生鮮食品、アメリカの場合は食料品とエネルギー。
・現在のアメリカはCPIが上がり過ぎで高インフレ状態。
・利上げによって、毎月CPIが下がっていくかに注目する必要がある。
・CPIが下がらないと利上げは継続。株式市場にダメージ。
・お金が借りにくくなり、現実の経済のほうにもじわじわとダメージ。
といったことが起こるので、来月以降もCPIに注目する必要があります。
ようするにCPIが下がっているかどうか、利上げが効いているのかどうかの確認ですね。
なぜCPIに注目しなければならないのか、CPIとコアCPIの違いについてなど、何となくわかっていただければ幸いです。