FIREと親の介護を両立させる生存戦略。自分の人生を投げ出さないための資産棚卸しのススメ【介護の経済学】

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こんなコメントをいただきました。

「59歳で早期退職しました。黄金期を楽しむ為です。資産はインデックス投資で減らずに増えております。しかし、ここにきて老両親の介護問題が出てきてしまいました。これは計算外でした。短期の旅行は可能ですが、世界一周とか長期滞在の旅行ができなくなりました。介護問題は、いつまでという先が見えません。今は医療が良すぎてぽっくり逝くことができなくなりました。残念ですが、仕方ないので隙間時間を見つけて、チマチマと黄金期を楽しみます。」

とのことです。ありがとうございます。

読んでいて、「あ、これはリアルだな」と思いました。資産は順調に育っている。FIRE後の生活も軌道に乗っていた。それなのに、親の介護が突然やってきた。計算外でした、という一言が刺さります。Q太郎もリアルタイムで、いま父がそんな状況になってきています。

そして「医療が良すぎてぽっくり逝けない」。笑えるようで笑えない話ですよね。これ、多くの人が薄々わかっているのに、FIRE計画のどこにも組み込まれていない話なんです。

FIREって、自分の生活費とかしか計算していない人が多いですしね。予想外のことに対応できない。でも親の介護って、予想できる話ですしね。準備ができていないというほうが正しいかもしれません。とくに実家FIRE、いわゆる「こどおじFIRE」はこの問題に直撃しますね。

そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に振り回されないための生存戦略を日々発信しています。

今回は「介護の経済学」、親の老後と自分のFIREを両立させるお金と罪悪感の距離の取り方、を深掘りしていきます。

・FIREのあとに、隠しダンジョンが出現する

FIREを目指している人の計算式って、だいたいこういう形ですよね。「自分の生活費の25倍を貯めれば、4%ルールで永遠に取り崩せる」とかいう、暴落とか一切無視したふざけた内容のやつです。

リスク資産フルベットでこれをやると、タイミング次第で行きづまるので、安全バッファを作るためにバケツ戦略を組み合わせる必要がありますが、この計画に入れ忘れがちなコストが一つあります。親の介護です。

ドラクエで言うと、ラスボスを倒してエンドロールが流れたあとに、「実は隠しダンジョンがありました」と表示されるような感じです。「え、まだあるの?」ってなるやつですね。

基本的にQ太郎は、クリア後の追加要素は遊ばないことにしていますが、現実はそういうわけにもいきません。

59歳で早期退職した方のコメントにあったように、資産が順調に育っていても、介護が始まった瞬間に「世界一周はちょっと難しくなった」という現実が来る。これは珍しい話ではなくて、FIREを達成した世代がぶつかる問題です。

親が元気なうちはピンとこないんですが、70代後半から80代になってくると、急に介護の話が現実になってくる。しかも「いつまでか」がわからない。これが一番しんどいところです。というか、いまQ太郎が、しんどくなる入り口にいます。

・罪悪感という名の税金

介護の問題が厄介なのは、お金の問題だけじゃないんですね。罪悪感という問題が同時にやってきます。

「施設に入れるのはかわいそうだ」「自分でやらないと親不孝だ」「もっとそばにいてあげないと」という感情です。

とくに日本人は、施設とか老人ホームとかに対して、やたらと罪悪感を覚える。在宅介護あたりまえみたいな世界です。

Q太郎はこれを、罪悪感という名の税金と呼んでいます。

税金と同じで、払った分だけ手元のお金と時間が減ります。しかも、払っても誰も得しない場合がある。ここが厄介なんです。

この罪悪感に引きずられると、「介護のために仕事を辞めよう」「施設には入れたくないから自分でやろう」という判断になりやすい。気持ちはわかります。

でも、これが長期的には共倒れに直結するパターンなんですね。

自分のFIREプランが崩れて、親の介護クオリティも上がらない。家族だから言葉遣いも遠慮がないので、ケンカもしやすい。感情に流されての判断は、往々にして誰も救わない結果になります。

排泄の問題もありますし、認知症になると暴力をふるってくる場合もあります。テレビのCMみたいに、笑顔の子供や孫に囲まれるみたいな理想の世界はなかなかないわけです。

・介護はプロに外注するのが正解

では、どうするか。答えは単純で、介護はプロに任せる、です。

「手抜きじゃないか」と思う方もいるかもしれません。でも、Q太郎はこれを逆に考えています。介護をプロに任せることは、親の尊厳を守ることでもある、というわけです。

そもそも家族は「介護の素人」です。毎朝、十回ぐらい唱えたほうがいいです。介護の知識もろくにない。それで気持ちだけで介護しても、だいたいろくなことにならない。下手すればケンカになったりする。他人じゃない分、おたがいに遠慮がなくなる。

例えば、北斗の拳のアミバが自分の子供だった場合、介護をアミバにやってもらいたいかというと、そうじゃないわけです。なんか変な秘孔とか突かれて、腕とかバキバキに壊されそう。「ん?間違ったかな」とか言われそう。専門家には専門家の領域があるわけです。

介護も同じで、体の状態を管理して、適切なケアを日常的に提供するのはプロの仕事です。素人が感情だけで全部やろうとすると、本人も疲弊するし、ケアの質も下がる。これは介護される親にとっても、良い状況じゃない。ケンカが起こる場合もあります。

それで、子どもが介護のプロに任せることで、親と向き合う時間が「義務」ではなく「選んだ時間」になります。「今日は会いに行こう」という気持ちで会いに行ける。これが、親子関係を壊さないための防波堤になるんですね。

・親の資産の棚卸しを、今すぐやれ

ここで一つ、具体的な話をします。

親の介護費用は、誰が払うのか、という問題です。

基本的な答えは、親の資産で親の介護をまかなう、です。これが原則だとQ太郎は思います。子の資産に手をつけるのは、最後の手段でいいんです。相続税を考えても、まず親のお金を生きているうちに使うのが合理的。税金かからない。

でも、多くの人が親の資産を把握していない。通帳がどこにあるか、保険に何が入っているか、不動産はあるか、年金はいくらもらっているか。これを聞き出せていないまま介護が始まると、混乱します。

Q太郎の場合、幸い父はそこそこの年金があります。だから、介護のコストをある程度年金でまかなえる。これがなかったら、正直かなり厳しいと思います。親の年金収入が月10万あるのと、ほぼゼロなのとでは、子どもへの影響がまるで違います。

だから、親が元気なうちに、資産の棚卸しをやっておく必要がある。「不謹慎だ」と感じる人もいるかもしれませんが、これは相続の話じゃなくて、親の介護を親の力でちゃんと支えるための確認です。共同戦線を張るための情報収集、と考えてください。

介護保険制度も使い倒していいです。要介護認定を受ければ、訪問介護やデイサービスが1〜3割負担で使えます。知らないまま全額自費で抱え込んでいる人が多いんですが、制度は使うためにあります。

ちなみにQ太郎は、父に介護保険を使わせて、実家の玄関に手すりを作らせました。20万円までは介護保険でまかなえます。20万円を超えた分は全部実費になりますが、実際の支出は数万円で済みました。

要介護認定も、介護保険を利用するのも、自分で申請しないとだめなので、必要なら面倒でもやっておいたほうがいいでしょう。自動的に助けてくれたりとはしてくれません。ここが結構厄介なところですね。

・FIREプランに介護バッファを組み込む

それで、FIREプランの話に戻ります。

介護リスクを具体的に、どうFIREに組み込むかというと、親の介護期間と費用の概算をバッファとして計算に入れておくことです。

平均的な介護期間は5〜7年ほどと言われています。仮に月5万円の持ち出しが発生するとすると、7年で420万円です。親がこれを払えない場合は、この分を余裕として持っておくか、あるいはその分だけFIREのタイミングを遅らせるか。どちらかの判断が必要になります。もしくは生活保護を親に取らせることですね。

また、介護が始まったら、質問者さんのおっしゃったように、長期旅行が難しくなりますし、時間の使い方も変わります。FIREや早期退職で手に入れたはずの自由が、部分的に制約される期間が来る。これを最初から想定しておくと、実際に介護するときのショックが小さくなります。

・親孝行の再定義

最後に、「親孝行とは何か」という問いです。

一般的なイメージでは、親のそばにいて、できる限り自分の手でケアすることが孝行、という感じがあります。伝統的な、儒教的な価値観ですね。

でも、Q太郎は少し違う考えを持っています。親が子に望んでいることは、子が自分を犠牲にして介護することじゃなくて、子が最後まで自分の人生を楽しんでいることなんじゃないかと思うわけです。あなたが笑っていることが、親への最大の贈り物、という考え方です。

ただ、これはあくまで一般論のきれいごとです。

残念なことに、Q太郎の父に関して言うと、これが当てはまらないです。うちの父は依存心がなかなか強くて、家族の犠牲を厭わない自己チュウの人です。自分は面倒くさがりやなのに、とにかく命令大好き、人を働かせること大好きです。笑えるようで笑えない話なんですが。自分さえよければいい感じですね。

だから「親は子の犠牲を望まない」という綺麗な話が、全部の家庭に当てはまるわけではないとも思っています。それぞれの家庭の事情があります。

ただ、それでも言えることがあって、感情だけで判断しない、制度を使う、親の資産で親をまかなう、という軸は、どんな家庭でも守った方がいいです。そこを守りながら、自分のFIREを崩さないための設計をしていく。これが介護の経済学の基本だと思います。

そんな感じで今回は、FIRE後に必ずやってくる介護という、ゲームクリア後の追加ダンジョンについてお話ししました。制度や費用の詳細については、また別の回で深掘りしていきます。

・まとめ

そんなわけでまとめると、今回お伝えしたことは5つです。

一つ目。FIREの計算式に、親の介護コストは入っていない。これは盲点であり、達成後に必ずやってくる隠しダンジョンです。

二つ目。罪悪感という名の税金に引きずられて判断すると、共倒れになりやすい。感情と判断を切り分けることが大事です。

三つ目。介護はプロに任せる。それは手抜きではなく、親の尊厳を守り、親子関係を壊さないための投資です。

四つ目。親の資産で親の介護をまかなうのが原則です。そのために、親が元気なうちに資産の棚卸しをしておく。介護保険制度は使い倒す。すでにQ太郎は、父の20万円の枠をすべて使い倒しました。

五つ目。FIREプランには介護バッファを組み込む。時間の制約も最初から想定しておく。

そして、親孝行の再定義。あなたが自分の人生を投げ出すことではなく、あなたが最後まで笑っていることが、親への最大の贈り物だとQ太郎は思います。うちの父は例外ですが、一般家庭はそうじゃないことを願いたい。

皆さんは、FIREのプランに介護のことを織り込んでいましたか。それとも、考えないようにしていましたか。よかったらコメントで教えてください。

数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。

ではまた、Q太郎でした。

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