
こんなコメントをいただきました。
「年収1400万円ほど。新NISAでインデックス投資をずっと続けていたら、円安と株高が重なって、資産が1億円を超えました。職場の人間関係も良好、嫌な上司もいない。それでも、FIREに踏み切れなくて怖い」
とのことです。ありがとうございます。
普通に考えたら、うらやましい話です。資産1億円、年収1400万円、しかも職場は平和。文句のつけどころがなさそうなわけです。
というか、なんでFIREの方向になるのか、Q太郎的には意味がわからない。これだけ恵まれているのに、なんで仕事を辞めたいんだろうか、と。Q太郎、そこにひっかかりを感じました。なんでFIREに踏み切るのかと。
・仕事満足度、世界最下位という数字
ここで1つ、気になる数字を持ってきました。ギャラップ社が行った調査によると、世界145カ国のうち、日本人の「仕事満足度」は最下位、わずか5%だったそうです。
145カ国中、最下位です。もう1回言いますが、最下位なんですね。
この数字だけ見ると、日本で働いているかたのほとんどが「今すぐ辞めたい」と思っていそうな気がしてきます。実際、最近は「働いたら負け」みたいな空気感すらありますし、FIREという言葉も、そういう空気の中でどんどん広まっているように思うんですね。
でも、今日Q太郎が話したいのは、その正反対の話です。この最下位5%とは無縁のはずなのに、なぜか辞めたくなっている、かたの話なんです。
そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に振り回されないための生存戦略を日々発信しています。今回は「仕事満足度世界最下位の国で、それでも辞めるべきではない人」というテーマを深掘りしていきます。
・不満の正体は「お金」だった
日本人が仕事に抱えている不満には、ちゃんと内訳がありまして。多い順に並べると、こうなります。
1位が「給料が低い」で、およそ半分のかたが挙げています。2位が「給料が上がらない」。3位が「キャリアアップの道筋が見えない」。4位が「評価基準が不明瞭」。そして5位にようやく「仕事内容がつまらない」が出てきます。
ここ、注目してほしいんですけど、1位から3位まで、ぜんぶお金と出世の話なんですよ。「働けど働けどわが暮らし楽にならざる」というやつが、そのまま数字になった感じです。
逆に「仕事内容そのものがつまらない」は5位で、割合も2割ほどしかありません。つまり日本人の多くは、仕事内容そのものが嫌なわけではなくて、給料と将来性に不満を感じている、ということなんですね。
たとえるなら、RPGでパーティ全体が「毒」の状態異常にかかっているようなものです。毒の正体は低賃金と昇給の停止。仕事内容そのものが「呪い」にかかっているわけではないんです。
・当てはまらないのに引っ張られる
さて、ここで最初の相談者のかたに戻ります。
年収1400万円ということは、給料は低くありません。ここまでキャリアアップしてきたということは、道筋も見えている。人間関係も良好で、仕事内容にも不満は書かれていませんでした。
先ほどの不満ランキング、1位から5位まで、見事に全部、当てはまらないんですよ。状態異常のアイコンが、1つもついていない状態です。
だとすると、不思議なんですね。なぜこの、かたは、それでも辞めたくなっているんでしょうか。
Q太郎の見立てはこうです。この、かたを引っ張っているのは、自分自身の不満ではなくて、「みんな辞めたがっている」という世の中の空気そのものなんじゃないか、ということなんですね。
想像してみてください。あなたが乗っている船だけは、どこも沈みかけていないとします。でも隣を見ると、次々に他の船が沈んでいって、みんな海に飛び込んでいる。そうすると、自分の船が無事だとわかっていても、なんとなく一緒に飛び込まなきゃいけない気がしてくる。そういう感覚に近いんじゃないかなと思うんですね。
これ、べつに、かたを責めているわけではないんです。人間は、そもそも周りに合わせるようにできている生き物なんですね。Q太郎も昔、同業者がみんな同じ投資商品を買っているのを見て、中身をよく調べもせずに「じゃあQ太郎も」と手を出しかけたことがあります。あとで冷静になって、まったく自分に合っていない商品だったと気づいて、慌てて引き返したんですけどね。
自分の船が沈んでいるかどうかは、隣の船を見てもわかりません。自分の船を見るしかないんです。今回の相談者のかたの船は、少なくとも数字の上では、ぜんぜん沈んでいないんですよ。
・4%ルールという理想論
相談の中には、もう一つ気になる言葉がありました。4%ルールで取り崩せば、理論上は毎年400万円ほど得られる、という計算です。
これ自体は間違っていません。ただ、Q太郎はドットコムバブルもリーマンショックも経験してきた身として言わせてもらうと、4%ルールというのは「だいたいそうなる可能性が高い」という理想論であって、「毎年かならずそうなる」という保証ではないんですね。
たとえば、ゲームの攻略サイトに「このボスは平均3回の攻撃で倒せます」と書いてあったとして、実際に挑んだら初回だけ運悪く10回攻撃を耐えられた、みたいなことは普通に起こります。平均は平均であって、自分の番でそうなる保証ではないんですよ。
株価が急落したタイミングで取り崩すしかない、という状況になると、資産はどんどん目減りしていきます。しかも収入源がその取り崩しだけだと、毎日、心が休まらないと思うんですね。給料という後ろ盾があれば「まあ、いいか」と待てることも、収入源がそれ一つだとそうはいきません。
たとえば、FIREした初年度にいきなり資産が3割目減りするような相場が来たとします。理論上の400万円は、いきなり280万円ぐらいまで下がる計算になるんですね。そうなったときに、給料という別の収入源がある、かたと、資産の取り崩しだけで暮らしている、かたとでは、同じ下落でも受け止め方がまったく違ってきます。会社員であれば「まあ、来年には戻るだろう」と静観できても、取り崩し生活だと、そこしか収入源がないぶん、下落のたびに損切りしたくなる誘惑が強くなるんですね。
無リスク資産をバケツのように分けて持っておく、いわゆるバケツ戦略のような備えが必要になるのも、こうした場面のためなんです。
・キャリアを脱ぎ捨てる前に
もう一つ、Q太郎が引っかかったのが、1400万円という年収です。
これは、単なる金額ではなくて、そこまで積み上げてきたキャリアの結晶でもあるんですね。もし本当にやりたいことがあって、そのために会社を辞めるなら、それはそれで全然ありだと思います。
ただ、明確にやりたいことがあるわけでもなく、なんとなく「FIREブームに乗り遅れたくない」という気持ちだけで飛び込んでしまうと、積み上げてきたキャリアを手放して、ただの低賃金労働に切り替えているだけになりかねません。
これ、ドラクエでたとえるなら、レベル80まで育てた勇者を突然引退させて、レベル1のスライムから育て直すようなものです。もちろん、新しい冒険がしたいという強い動機があるなら、それもいいと思うんですね。ただ「なんとなく飽きたから」で降りるには、ちょっと惜しいレベルなんですよ。
もし本当に会社員という働きかたそのものに疲れているなら、いきなり全部を辞めるのではなく、積み上げてきた専門性を活かして、フリーランスや業務委託というかたちで、同じ仕事をゆるく続ける道もあります。Q太郎自身も、実際そういうかたちで働いているんですね。ゼロから知らない業種に飛び込んで週2日のアルバイトをするより、これまでのキャリアの延長線上で働きかただけを変えるほうが、積み上げてきたものを無駄にしないで済みます。
・まとめ
そんなわけでまとめると、日本の仕事満足度は145カ国中最下位、5%です。ただしその不満の中身は、給料と将来性への不満がほとんどで、仕事内容そのものへの不満はそこまで大きくありません。
もし、あなたが今の仕事について、給料にも、昇給にも、キャリアの道筋にも、人間関係にも、これといった不満がないなら、辞める理由はそこまで強くないのかもしれません。世の中の「働いたら負け」という空気に、自分の船まで一緒に飛び込ませる必要はないんですね。
逆に言えば、辞めるべきかどうかを決めるのは、世間の不満ランキングではなく、あなた自身にどうしてもやりたいことがあるかどうか、ただそれだけなんです。
最初の相談者のかたに、いまQ太郎が答えるとしたら、こう言うと思います。1億円あるかどうかより先に、会社を辞めてまで本当にやりたいことがあるかどうか、それを自分に問いかけてみてください、と。
隣の船が何隻沈んでいようが、あなたの船が沈んでいないなら、慌てて飛び込む理由はどこにもありません。飛び込むとしたら、それは沈没から逃げるためではなくて、その先に行きたい場所があるときだけでいいんじゃないかなと思うんですね。
あなたなら、今の仕事に、先ほどの不満ランキングのうち、いくつ当てはまりますか。もしよかったら、コメントで教えてください。全部読ませていただいています。
数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。
ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
