
トランプ大統領が、今回の日米による為替介入について、こんな趣旨のことを話していました。
「日本は円が弱くて困っていた。少し助けを求めてきたので、アメリカは日本のために動いた。」
いや、もうね。恩着せがましいというか、絶対嘘だろうと、Q太郎は思いました。
どう考えても、今回アメリカが動いたのは、日本を助けるためではないからです。アメリカが困るからです。
日本が単独で大規模な円買い介入を続ければ、その裏側では、日本が持っているドル資産に売却圧力がかかります。その中心にあるのが、米国債です。
日本に米国債を大量に売られれば、米国債の価格が下がり、金利には上昇圧力がかかる。
しかも、アメリカは中間選挙を控えています。
住宅ローン金利がさらに上がり、家を買えない人が増える。企業の借り入れも重くなる。そんな展開を、トランプ政権が歓迎するはずはありません。
そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。
今回は「トランプ大統領は、本当に日本のために為替介入したのか」を深掘りしていきます。
今日は大きく三つ話します。
一つ目は、トランプ大統領の言葉への違和感。
二つ目は、なぜ日本の円買い介入が、アメリカの金利に関係するのか。
三つ目は、中間選挙を控えたアメリカが、本当に守りたかったものです。
最後に、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
それでは一つ目、トランプ大統領の言葉への違和感です。
・日本のためにやった
今回の日米による協調介入について、トランプ大統領は、日本が弱い円に困り、助けを求めてきたので応じた、という趣旨の説明をしています。
言葉だけを聞けば、アメリカが日本を救ってくれたように見えます。
実際、円安に困っているのは日本です。正確に言えば、投資をしていない人たちが困るのですね。投資をしていたり、円安ホクホクな人たちや企業はあまり困りません。そういうのとは無縁な大多数の人たちが困るわけです。実際、新NISAで投資している人も、せいぜい国民の2割程度ですしね。
円安が進めば、輸入する原油や食料品、原材料の価格が上がります。海外旅行だけの話ではありません。電気代、ガソリン代、スーパーの値札まで、じわじわと生活を圧迫します。
そこへアメリカが協力して、ドルを売り、円を買った。
表面だけを見れば、確かに「日本を助けた」という説明になります。
ただ、国と国との関係で、一方的な親切というものが、どれほどあるのでしょうか。
個人の友人関係なら、困っている人を見て、見返りを求めず助けることがあります。
しかし、国家が何千億円、何兆円という市場を動かすときに、「友達だから助けました」で終わるとは、Q太郎には思えません。
しかもトランプ大統領自身、今回の介入はアメリカにも経済的な利益があると認めています。
ここが大事なんですね。
日本のためにやったと言いながら、アメリカにも利益がある。下手すれば、アメリカのほうが利益がある。それを「恩を売る」という形に変えようとする、トランプ氏のずうずうしさ。
それなら見るべきなのは、表向きの友情ではなく、アメリカが何を失いたくなかったのかです。
・円を買うためのドルはどこから出るのか
二つ目は、日本の円買い介入と米国債の関係です。
為替介入という言葉は難しそうですが、今回の操作は単純です。
日本政府が、持っているドルを売って、円を買います。以上です。
市場に大量のドルを出し、その代わりに円を買う。するとドルの値段が下がり、円の値段が上がります。
では、そのドルはどこから出てくるのか。
日本は、これまで積み上げてきた外貨準備を持っています。ただし、その資産がすべて現金のドル札で置かれているわけではありません。
かなりの部分が、米国債などの証券で運用されています。
だったら、どうなるか。円安が止まらず、日本だけで何度も大規模な介入を続けることになれば、やがて持っているドルは枯渇し、次は米国債を売らないといけなくなります。
円を買うためのドルは、無限には出てきません。
どこかで、保有しているドル資産を現金化する必要が出てくる。当然、アメリカにとっては、これが一番まずい状況なわけです。
米国債が大量に売られると、債券価格は下がります。そして、債券価格が下がると、利回りは上がります。
つまり、債券が売られるほど、アメリカの市場金利には上昇圧力がかかるわけです。
日本が円安を止めるために米国債を売る。
その結果、アメリカの金利が上がる。
日本国内の問題に見えた円安が、アメリカ国内の住宅ローンや企業融資へ戻ってくる。アメリカ国民大激怒なわけで、その怒りの矛さきはトランプ大統領に向くわけです。
今回、アメリカが急に円安阻止へ前のめりになった理由を考えるとき、Q太郎はここを外せないと思っています。
・選挙前に金利を上げたくない
そして三つ目は、中間選挙です。
アメリカでは、長期金利の上昇が大きな問題になっています。
長期金利が上がれば、住宅ローン金利も上がりやすくなります。
アメリカの住宅ローンは、日本より長い期間、金利を固定するものが多い。そのため、これから家を買おうとする人にとって、長期金利の上昇は毎月の支払いに直結します。
家の価格が高い。物価も高い。そのうえ住宅ローン金利まで高い。
有権者から見れば、中央銀行や債券市場の難しい話ではありません。
家が買えない。
毎月の支払いが重い。
暮らしが前より苦しい。
最後は、この感覚で政権を評価します。
政治家にとって、選挙前の金利上昇は、数字だけの問題ではありません。暮らしに刺さる問題です。
そんな時期に、日本が円安を止めるため、米国債を売る可能性が高まる。
アメリカというか、トランプ大統領から見れば、かなり困る展開です。
だから、協調介入に加わる。
アメリカ側も円買いに加われば、日本だけがドル資産を取り崩すより、負担を分けられます。さらに、日米がそろって動く姿を見せれば、市場へのけん制も強くなります。
日本に何度も単独介入させない。
日本が持つ米国債に、過度な売り圧力がかからないようにする。
米国債市場を守り、長期金利の上昇を抑えたい。
そして、その先にある住宅ローンと中間選挙を守りたい。
Q太郎には、今回の協調介入が、そんなふうにつながって見えます。「ディール」とか言ってるトランプ大統領が、日本のために動くなんてありえないとは思っています。同盟国の日本に、高関税をかけようとした張本人です。それなのに恩着せがましく「日本のため」とか言う。
話は少しそれますが、政治家の言う「あなたのため」は、通販番組の「お客様だけの特別価格」に少し似ています。
もちろん、買う側にも利益はあります。
でも、売る側に利益がないわけではありません。
むしろ、売る側に利益があるから、その提案が出てきます。
国家間の協力も同じです。
日本は円安を止めたい。アメリカは金利上昇を避けたい。
利害が一致したから、協力した。
それ自体は悪いことではありません。
ただ、その取引を終えたあと、一方が「あなたのためにやってあげた」と言い始めたら、話は別です。恩を売っているわけで、親切の請求書が、あとから届くかもしれませんからね。トランプ大統領があとから、「あのとき助けてやっただろ」とか言い出すわけです。それで要求を突き付けてくるわけです。
・Q太郎の見立て
今回の介入について、確認できる事実と、政権内部の本当の動機は分けて考える必要があります。
日米が協調して為替市場に介入した。
トランプ大統領が、日本を助けたという趣旨の発言をした。
日本が円買い介入を続ければ、ドル資産の取り崩しが必要になり、米国債への売り圧力が強まる可能性がある。
アメリカは中間選挙を控え、住宅ローン金利のさらなる上昇を避けたい局面にある。
この局面で、トランプ大統領は、日本に米国債を売らせないことで、アメリカ自身を助けたとも言えます。
円安で苦しむ日本と、金利上昇を恐れるアメリカ。
二つの国の利害が、たまたま同じ方向を向いた。
今回の共同介入は、友情の物語というより、お互いの財布を守るための共同作業だった。Q太郎は、そう見ています。
そして、トランプ大統領は、その共同作業を「日本のためにやってあげた」という物語に変えた。
ここには、いかにもトランプ大統領らしい、ディールのずうずうしい作法が見えます。
相手にも利益があり、自分にも利益がある。
それでも、自分が相手へ恩を売った形にする。
後日、別の交渉で、「あのとき助けただろう」と使えるからです。
そして国家間の「ありがとう」は、個人同士のありがとうより、ずっと高くつくことがあります。
・まとめ
今のところ、Q太郎はこう考えています。
アメリカは、日本のためだけに円安阻止へ動いたのではありません。
日本の単独介入が長引き、米国債への売り圧力が強まれば、アメリカの長期金利にはさらに上昇圧力がかかります。
中間選挙を控えたトランプ政権にとって、住宅ローン金利まで上がる展開は避けたい。
だからアメリカ、というか中間選挙を控えたトランプ大統領が動いた。
日本を助けたのではない。日本に米国債を売らせないことで、アメリカ自身を助けた。庶民の生活に直結する金利上昇は絶対に避けたい局面です。
今回、Q太郎が残したいのは、この見方です。
皆さんは、トランプ大統領の「日本を助けた」という言葉を、どう受け取りましたか。
素直な同盟国への支援だと思いますか。それとも、アメリカ自身の利益を守るための取引だと思いますか。よければコメントで教えてください。全部読ませていただいています。
数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。
ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
