米国株・米国ETFの配当金・分配金にかかる為替損益と計算方法をわかりやすく解説
投資をエンタメする、QYLD全力太郎ことQ太郎です。
今回は「米国株・米国ETFの配当金・分配金にかかる為替損益の計算」についてです。
米国高配当投資をするには必須の知識なので、できるかぎりわかりやすく説明します。
とくに個人事業主の方は、少額だろうがやらないと、あとあと面倒なことになると思います。
計算自体はとくに複雑ではないので、覚えておいたほうがいいでしょう。損失は雑所得内で損益通算できますので、悪いことばかりではありません。
ただしQ太郎は税理士ではないので、税金の相談を受けることはできません。ご了承ください。
あくまで考え方と計算方法の説明です。
為替損益の発生
分配金の受け取り=ドル買付
米国株や米国ETFで分配金をドルで受け取っているばあい、それを使ってまた米国株や米国ETFを購入したとすると、為替損益が発生します。
これはなぜかというと、分配金をドルを受け取った時点で、「ドル買付」と見なされるからです。
たとえばSBI証券で、銀行で円をドルに換えたばあい、「ドル買付」となり、そのときの為替レートを記録しておかなくてはなりません。
それと同じことですね。
たとえば為替レートが113円のときに100ドルの分配金を受け取ったとします。
これは「113円でドルを買いつけた」ことになるのですね。
分配金の為替レートは、各証券会社が発行する電子書面の取引報告書に記載されていますので、それを参照してください。PDFとかで発行されているやつですね。
為替損益の計算
そのあとで、為替が115円のときに、100ドルの米国ETFを買ったとするとすると、「ドル売却」と見なされますので、
ここで為替差益が発生します。
113円のときに買ったドルを、115円で売りますから、
100ドル×(115-113)=200円
ですね。
これは雑所得になります。
給与所得が2000万円以下、かつ雑所得が20万円以下であれば確定申告はしなくてもいいのですが、そうでなければたとえ200円でも申告する必要があります。
とくに個人事業主は、どちらにしろ確定申告しなければならないので、為替損益の申告はしておくにこしたことはないでしょう。
損が出たばあいは、雑所得内で損益通算できますので、悪いことばかりではありません。
ただ、株の損失のように翌年に繰り越すことはできません。
その年の、雑所得内での損益通算のばあいだけです。
分配金を受け取った日は「確定日」ではない
分配金をドルで受け取ったばあい、
「分配金を受け取った日のうちに米国株を買えば、為替レートはおなじだから為替損益は発生しない」
という人がいますが、
これは無理というか、ほぼ不可能です。
なぜなら、分配金の取引報告書を見ればわかりますが、
分配金の「確定日」と、分配金の「支払日」には数日の違いがあるからです。
たとえば確定日が1月7日でも、口座に入ってくる支払日は1月13日です。
確定申告に利用するのは確定日のときの為替レートです。
というか、そもそも取引報告書に書かれている為替レートは確定日のものです。
つまり分配金を受け取った日ではないのですね。ここは注意してください。
取引報告書を自分で一度確認してみるといいかと思います。
そのため、分配金を受け取った日にすぐに米国株を買っても、確定日はその数日前なので、為替差損は発生するものだと思ってください。
そのため、確定申告には、確定日の為替レートで計算しなくてはなりません。取引報告書に確定日の為替レートが書いているので、それに従ってください。
平均取得レートの計算
つぎに、日にち違いで複数の分配金を受け取ったばあいの、為替レートについてです。
たとえば、
6月1日、1ドル110円のときに100ドル受け取って、
6月10日、1ドル112円のときに、また別の銘柄から50ドル受け取ったとします。
このばあいは、平均取得レートを計算します。
具体的には、
100ドル×110=11000円
50ドル×112=5600円
なので、ドル同士、円同士を足し算して
150ドル×?=16600円
になります。
あとは円をドルで割ればいいだけですね。
16600円÷150=110.67
110.67円が平均取得レートになります。
この150ドルの為替レートは110.67円ということですね。
このあと、たとえば1ドル115円のときに、150ドルのうち、70ドルをつかって米国ETFを買ったとしたら、
70×(115-110.67)=303.1
303.1円が為替差益になります。
そしてドルの残りは80ドル(平均取得レート110.67円)ですね。新たなドルは追加されていませんので、レートはおなじです。
このあと、さらに残りの80ドルを使って米国株を買い付ける場合や、もしくはまた分配金が入金されたばあい、先程説明したような計算をすればいいだけです。
ドルで米国株を買い付けたばあいは、「ドル売却」ですので為替損益の計算。使った分のドルは、ドル残高から引いておいてください。
分配金が入ってきたばあいは、「ドル買付」ですので、残っているドルと合算して平均取得レートの計算をします。
これをひたすら、一年分くりかえします。
けっこう面倒ですが、確定申告の条件を満たしている人は、面倒でもやる必要があります。
とくに個人事業主はやらなければいけません。
1つ1つ丁寧にやれば、なんとかなるでしょう。
米国株・ETFを売却したばあい
ついでに米国株を売却してドルで受け取ったばあいについても話しておきます。
たとえばQYLDを売却して、ドルを受け取ったばあい。これもさきほどの分配金と考え方はおなじです。
ドルが増えますので「ドル買付」になります。
先程と同じように、手持ちのドルと合算して平均為替レートを求めてください。米国株を売却したときの取引報告書に為替レートが書かれていますので、その数字を使えばいいでしょう。
外貨建てMMFを買ったばあい
あまったドルで外貨建てMMFを買う人もいるかと思いますので、その場合の処理についても述べます。
外貨建てMMFをドルで買ったばあいは、株を買うのとおなじように「ドル売却」になりますので、為替損益が発生します。
これもドルで株を買い付けたときと同じ方法で、為替損益を計算してください。
まとめとQ太郎の見解
計算は面倒ですし、1ステップずつやらなければならないです。まあ、Excelとか、表計算ソフトを使えばいいかと思います。
こういうの、勝手に計算してくれればいいんですけどね。
本当に面倒くさいですよね。
でもやらないと、あとあともっと面倒くさいことになります。
確定申告前に一気にやるより、日頃からちょこちょこ計算しておくのがいいですね。
そんなわけで、確定申告が必要な方は、頑張って確定申告してください。
不明な点は税理士と相談してください。Q太郎は税理士ではないのでお答えできません。