QYLDのメリット・デメリット3選ーリスクも

QYLD高配当ETF

QYLD 3 merit

投資をエンタメする、QYLD全力太郎ことQ太郎です。

以前、QYLDの仕組みについての記事を書きましたが、QYLD自体のメリット・デメリットについてまとめてほしいとのご意見をいただきました。

そこで、VIGのときの記事のように、今回はQYLDのメリット・デメリット3選をお届けします。VIGについては以下の記事を参照してください。

まずはQYLDについて、ざっくりと簡単に説明します。

 

QYLDとは?

一般的な株式や、それをまとめたETFというのは、株の値上がりに対して株価が伸びていくものですし、分配金もそれぞれの株式から出た配当金によってまかなわれています。

これが一般的な株式やETFですね。

ちゃんと根拠というか、原資、リソースがあって、そこから分配金が支払われています。

それで、QYLDのばあいですが、これはQQQを利用して、カバードコール戦略によってオプションを販売し、その手数料ともいうべきオプションプレミアムを稼いで、それをみなさんに分配します。

仕組み自体は以前の記事を参照してください。ここでは説明しません。

それで考えてほしいことですが、QQQはあくまでただのオプション取引の材料でしかないのですね。

このQQQをS&P500に置きかえれば、XYLDという商品になります。やっていることはまったく同じです。

あくまでQQQはオプション取引に利用する材料でしかなく、QQQの生み出すものを享受しているわけではないのですね。

このように株式からの直接的な利益でなく、株式を利用して手数料で利益を稼ぐというのは、伝統的な株式投資からすると、邪道のたぐいになります。

「まともな投資」ではないのですね。

そもそも投資ともいえませんね。オプション手数料を稼いでるだけですから。

こういう、伝統的な投資からすれば邪道なたぐいになるのが、このカバードコール商品です。

そもそも投資では無く、オプション代稼ぎの「商売」なんですね。

そのため、この手の金融商品は、まっとうな投資をしている人からすると、嫌悪感を示すことも多いとは思います。

Q太郎も、若い人にはこの手の商品はすすめられません

VTIやVOOなどまっとうな投資をしてほしいと思っています。とても長期的に投資していいものではありません

そんな「投資」ともいえない手数料稼ぎの商品「QYLD」ですが、まずメリットを述べていきます。

 

QYLDのメリット3選

メリットその1 低ボラティリティ

メリットの1つ目は、「ボラティリティ(価格変動)が低い」ということです。

Q太郎は値動きの激しい、ボラティリティの高い投資をできるだけ避けたいと思っていますので、ボラティリティの高い米国エネルギーセクターETF「VDE」を売却しました。

また米国高配当ETF「SPYD」の売却を考えていたりします。

値段を見張ったりとかがちょっと疲れるのですね。

その点、あくまで短期~中期的にですが、QYLD自体はいまのところ、ボラティリティは低めです。

あくまで「いまのところは」ですが。

QYLD VTI

これはまっとうな投資である全米株式ETF「VTI」(青)と、ついでにボラティリティの低い米国債券ETF「BND」(黄)を、QYLD(赤)と比較したものです。ちなみに再投資有りのチャートです。

VTIが標準的な株式のボラティリティと考えればいいでしょう。

VTIのばらつきが14.25%に対して、QYLDは10.60%と、一般株式に比べれば押さえられたボラティリティになっています。

BNDは、さすがに守りのETFだけあって、ばらつきがたったの3.33%と、優秀さが極まっています。Q太郎も100万円分投資していますが、安心安全の債券ですね。とく株式暴落時にはお世話になるかと思います。

債権のリスクについては、こちらの記事も合わせて参照してください。

ついでに他のものを比較に出すと、VYMは11.04%、QQQは16.06%、SPYDに至っては18.86%になっています。だから怖いんですよね、SPYD。ズドンにおびえてホールドしつづけないといけないですし、正直なところ、ぜんぶVYMに置き換えてもいいような気がします。

そんなわけで、QYLDは、いまのQ太郎にはあつかいやすいボラティリティと言えます。

メリットその2 高配当

メリットその2は、やはり高配当という点ですね。

10%超の分配金はやはり魅力的です。

ただ分配金はどこからともなく湧いて出てくるわけではなく、当然、分配されるたびに基準価格は落ちていきます。

また足りない部分は元本を削って分配されるという、いわゆるたこ足配当がおこなわれています。

現在、株価自体は毎年切り下がっていますので、諸刃のつるぎのようなところはありますね。

メリットその3 間接的なオプション取引

メリットその3ですが、間接的にオプション取引ができるということです。

現在、日本からは米国株の信用取引や、オプション取引は困難な状態になっています。

信用取引については今後可能になる証券会社が増えてくるとは思います。SBI証券やauカブコム証券は、米国株の信用取引をおこなう予定のようです。

ただオプション取引は、日本株でもできるところはあまりありませんね。そんなオプション取引に、間接的にかかわれるのは魅力と言えるかもしれません。

株式市場全体がボラティリティの大きな相場になってくれば、オプション取引も活きてくるとは思います。この記事も参照してください。

ただこういうのはあくまで短期~中期的な話ですね。

次にデメリットです。むしろデメリットが重要です。

 

QYLDのデメリット3選

つぎはデメリット3選です。

デメリットその1 株価の切り下がり

まずデメリットその1、やはり株価が切り下がっていくことですね。

QYLD VTI 再投資無し

先程の比較チャートですが、再投資無しのチャートを見るとこんな感じになります(VTI(青)、BND(黄)、QYLD(赤))。

年間リターンを見てみると、QYLDは-1.74%と、毎年2%近く切り下がっていっています。

-2%のペースで元本が削られていくと、

10年後にはマイナス18%
20年後にはマイナス33%

になりますね。

これは株価の問題だけでなく、分配金の問題にもつながります。

それが次のデメリット、将来の分配金も減っていくことです。

デメリットその2 将来の分配金の低下

現在の約10%の分配金というのは、あくまで「元本」、つまり株価に対して約10%ですので、株価が切り下がってしまいますと、当然分配金も落ちてしまいます

たとえばQYLDに100万円投資をして、分配金が10万円もらえていたとすれば、毎年-2%切り下がっていったとすると、

10年後には約82万円に減っているので、分配金は8.2万円になります、

20年後には約67万円に減っているので、分配金は6.7万円になります。

つまりQYLDは、元本も分配金も減ってしまうことが約束されたETFなのです。

だからQ太郎はことあるごとに「長期投資には向かない」と言っていますが、その理由がこれです。

ノーフューチャーの投資なのです。

あくまで短期~中期。ノーフューチャーです。

だから若い人にはすすめられないのです。

たとえばVYMのばあい、元本部分は年間5%ぐらいの伸びがありますので、分配金利回りを3%だとすれば、

100万円を投資したとすると、分配金は3万円です。

これが10年後には約162万円になり、分配金はその3%で4.86万円、

20年後には約265万円になって、分配金はその3%でしたら7.95万円になります。

すさまじい数字ですね、複利の力はすごいですね。

100万円のころから考えれば8%近い分配金をもらい、さらに元本も2.7倍にもなっているという、すごいことになっています。

こういうのが未来への投資なのです。

だから若い人にはこういうまともなETFに投資してほしいのです。

QYLDは未来がないのです。ノーフューチャーです。

あくまでいまのための投資なのです。

デメリットその3 償還リスク

そしてデメリットその3、何度も言っていますが「償還リスク」です。

Q太郎はリーマンショックのころに毎月分配型の投資信託を買っていましたが、こういうタコ足商品はあらかじめ償還日が決められています。

いついつに終了します」と書いているのですね。

長く続けられないことはファンドマネージャー自身が一番よく知っています。

それで償還日にならないうちに運用状況が悪化したばあい、たとえば株価の低迷や、大口の資金が引き上げられて運用困難になったばあいなどですね。

そのばあい、早期償還がおこなわれます。

償還されると、口数に応じて総資産が分配されます。

QYLDは株価が切り下がっているため、将来的な償還リスクはつねに抱えています。

たとえばVTIやVYMなどは、多数の企業の株の集まりですので、すべての企業が絶滅しないかぎりは償還はおこなわれません。

しかしQYLDは、あくまでQQQを利用したカバードコールという「商売」なので、オプションが売れずに資金繰りが悪化すれば、店を閉めることになります。このように償還リスクをつねに抱えているのですね。「つねに」というのは、いつでも倒産する可能性があるということです。

 

まとめとQ太郎の見解

というわけでまとめると、メリットは

・低ボラティリティ
・高配当
・間接的なオプション取引が可能

デメリットは

・株価が切り下さげ
・それに伴う分配金減少
・QYLD自体が消滅する償還リスク

の3点になります。

とにかくQYLDは株価が切り下がっていきますし、それにともなって、当然分配金も減るでしょう。分配金10%は、あくまで「株価に対して」の10%ですしね。

VYMのように、将来大きく育つETFではないのです。

そんなわけでQ太郎は、株式市場のボラティリティが高い時期の、短期~中期の投資と割り切っています。やばいときは全力で逃げる気満々です。

とりあえず時間のじゅうぶんある若い方は、VTIやVOO、VIG、VYMなど、まともなインデックスに投資したほうがいいでしょう。

目先の小銭は追わないでください。

そしてもらえるその小銭は、毎年減ってくかもしれません

そもそも高配当投資は、資産拡大スピードが遅いので、若い方が将来のFIREをめざすのであれば、時間を味方につけて、VTIなどまともなもので資産自体を拡大したほうがいいでしょう。

20年の時間は、まともなものに投資すれば、資産を倍以上にできるのです。

QYLDは、未来に対しては不向きな投資先だとは思います。

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