債権は安全なの?3つのリスクと危険性について【BND/AGG/TLT】

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QYLD全力太郎ことQ太郎です。

今回は、「債権は安全なのか、その3つのリスクと危険性」について、専門用語をなるべく使わず、できるかぎりわかりやすく解説していきます。

アメリカの利上げが控えていることもあり、今年に入って債券価格は落ちています。

Q太郎も、米国債券ETFのBNDに100万円、AGG、TLTに50万円ずつ、あと米国ストリップス債券に150万円投資しています。BNDについては以下の記事を参照してください。

ちなみに新興国債券「VWOB」も50万円分持っていましたが、これはすでに売却しました。VWOBについては以下の記事参照。

それではまず、債券と利上げの関係について、わかりやすく述べていきます。

 

債権と利上げ

利上げというのは、ようするにローンなどでお金を借りるときの金利が上がる状況ですね。

返すときの金額が増えれば、当然、人はお金を借りることに躊躇するでしょう。

そうやって世の中に出回るお金の量を減らし、経済がどんどん加速するのを防ぐことで、物価の上昇を防ぐことができます。

いわゆるインフレ対策ですね。

現在アメリカでは物価上昇が激しくなっているので、利上げをすることで、加熱しすぎた経済を引き締める必要があります。

とは言っても、現実問題、全員が全員、お金をたくさん持っているわけではありません

物価は上がるのに、景気や給料は上がらないという状態。

これをスタグフレーションと言います。

給料も景気も上がらずに、物価だけが上がっていくのですね。

まあ、最悪な状態です。

こんな景気の悪い状況で利上げをすると、お金が借りられないとか、高い金利で借金漬けになるとかで、生活に困る人が続出するという状況にもなりかねません。

そのため、利上げは現実の景気を見ながら、極めて慎重に行う必要があるのです。

アメリカが「利上げします」と言いながら、なかなか踏み切らなかったのも、そういう理由があるからです。

利上げと債券価格

次に利上げと債券価格の関係について見ていきましょう。

債券というのは、ようするに企業や政府にお金を貸して、そのかわりに利子を受け取ることができます。

債券は買ってホールドしておけば、政府や企業が潰れないかぎりは、償還日には最初に約束した金額がもらえます。

株の配当金のように、もらえたりもらえなかったり、減額したりということはありません。

そういう意味では、安全と言えば安全です。

買った瞬間に、いくらもらえるか、すべてが約束されているのですね。

ただ、債券は償還日前に、売ったり買ったりすることもできます

この取引は、価格変動はあります。

たとえば債券ETF「BND」は、分配金がだいたい2%ぐらいです。

それで金利が0.1%の場合、たとえばみなさんの使っている銀行の利息が0.1%だとすると、2%の債券を買った方がお得という話になります。

そのため、債券を欲しがる人が増えるということですね。

欲しがる人が多くなれば、債券の価格は上がります。

つまり、金利が下がると、債券の価格は上がるということです。

で、今回のパターンですが、 利上げ、つまり金利が上がる状況ですね。

例えば銀行に預けると6%もらえるとします。

「そんなもらえるわけない」

と若い人は思うかもしれませんが、 1990年代初頭のバブル時代では、定期預金で6%以上ありました。

ノーリスクで6%なんですね。すごい時代でしたね。

これだったら、BNDで2%の分配金をもらうより、6%の銀行に預けたほうが断然お得ですね。

こうなると、当然債券の価格は下がりますね。欲しがる人が少なくなってしまうので。

そのため、金利が上がると、債券価格は落ちることになります。

今回は利上げなので、債券価格が落ちる状況になっていますね。

 

債券の危険性について

次に、債券が危険かどうかについてです。

BND

これはBNDの6カ月チャートですが、去年、利上げの話が本格化してきてからは、ずっと右肩下がりの状況になっています。

ここで、債券をアセットアロケーションに組み込む戦略で、「オール・シーズンズ戦略」というポートフォリオで有名な、レイ・ダリオという人物がいます。米ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者ですね。

米国株30%、債券55%(20年超40%、7-10年15%)、ゴールドとコモディティを会わせて15%という割合だとリーマンショック級の下落があっても、このポートフォリオはほとんど下落しないのですね。

レイダリオ-min

実際に見てみると、こんな感じになります。VTI30%、TLT40%、IEF15%、GLD7.5%、GSG7.5%で組んだものです。恐ろしく安定的な右肩上がりです。最大下落幅が-12.48%、ばらつきは7.41%ですね。下落耐性を示すソルティノレシオは1.50とすばらしいパフォーマンスです。

さすがに景気のいいときはVTIに劣後しますが、このポートフォリオなら暴落を気にせず、安心してずっと持っておけますね。

ところがです、この債権が50%以上を占めるポートフォリオを作ったレイ・ダリオ自身が、近年では債券価格が上がり過ぎて、リスクのある状況だと認めています。

さらに昨年3月に「債権に投資するのはおろか」と熱いてのひら返しをかましてきました。

というのも債券価格が上がりすぎているため、分配金が少なくなっている状態なのですね。

アメリカのインフレ率が、4%ルールで設定された3%だとすると、3%を下回る分配金では投資する意味がないとしています。

せめてインフレと同等か、それ以上のものに投資した方がいいとのことですね。

さらに今年の1月5日に、「現金と債券を保有するのは愚か」と、再度債券保持のリスクを警告しています。

インフレ率以下の利回りである現金や債券というのは、ようはインフレ以下なので「毎年価値が減っていく」ということです。

そんな価値の減っていく債券や現金を大量にホールドしておくのは愚かな行為だと、ダリオ氏は警告を発しています。

ちなみにダリオ氏は近年、中国投資を増やしたり、ビットコインなど暗号資産に入れ込んだりなど、
どうかなと思う部分もQ太郎的にはあります。

しかし、たしかにインフレ率以下の資産と言うのは、毎年目減りするのは間違いありません。

現金や債券比率を減らし、別のアセットに変えるというのも、検討の余地はあるかと思います。

 

まとめとQ太郎の見解

そんなわけで、現時点での債券のリスクとしては、

・前から言われている債券価格が高止まりしているというバブル状態
・インフレ率以下の利回り
・これから来る利上げ

の3つによって、価格低下のリスクをつねに抱えている状態になっていますね。

BNDは年間分配金が2%ですから、2%以上下がった場合は、利益がすべて吹っ飛ぶことになります。

そのため、現在は積極的に買いに行きにくい状態だとは思います。

ただ、価格が低下して、分配金が高くなって妙味が出てきたときには、いい買い場になるかもしれません。

債券投資は、タイミングを見たほうがいいかもしれませんね。