新NISAで個別株を買うのはアリ?デメリットは?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、新NISAで個別株を買うことについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
新NISAで個別株を買う
こんなご質問をいただきました。
「毎月20万円マネーマシンの取り崩し報告動画を毎月楽しみにしています。
そろそろ年末も近づいてきたため、来年の新NISAへの投資を計画しています。
私は今年、オルカンやS&P500を中心に購入しました。取り崩し投資はせず、老後まで売らない予定です。
それで来年からは配当狙いで、新NISAを使って日本の高配当株に個別投資し、ポートフォリオを組もうと考えています。日本高配当株のおすすめ20銘柄の動画を参考にさせていただいています(こちらの動画ですね)。
配当であれば取り崩さなくていいため、老後の管理も必要なくなり自分の投資スタイルに合っています。
ただ新NISAの情報はほとんどがオルカンやS&P500の投資信託の話題で、個別株について語られているものがあまり見当たりません。
Q太郎さんは郵便物の問題で日本株をもうすべて売ったとのことですが、仮にもう一度日本株をやるとしたら新NISAでどういう買い方をするでしょうか。参考にさせていただければ幸いです」
とのことです。
結論から言えば、仮に郵便物が無くなって日本株を再開するとしても、新NISAで個別株は買わないとは思います。買うとしても特定口座で購入してポートフォリオを組みますね。
理由はいくつかありますが、一番大きいのは損益通算ができないことです。ここが一番痛いですね。
新NISAの場合、利益に対して非課税であるかわりに、損失に対しても損失計上をすることができません。そのため、ある意味新NISAは絶対に損するものを買ってはいけないのですね。
たとえばA株が+4万円、B株が-10万円だったら、これを同時に売却すれば、特定口座だと―6万円になりますので、さらに他の利益にぶつけて相殺することに利用できます。確定申告をすれば、損失は3年間利用できますね。
しかし新NISAの場合は、おなじようにA株が+4万円、B株が-10万円だったら、これを同時に売却した場合、-6万円の損失は無かったものにされるので、普通に0円になるだけです。
「利益に対して無税だから、べつに損失どうでもよくね?」という考えもありますが、問題は個別株ポートフォリオというのは、入れ替えも必要なのですね。
ポートフォリオを組む場合、基本的には毎年見直しが必要になりますし、それぞれの株の決算も見ておかなければなりません。決算の悪い株があれば売却して入れ替えも検討する必要があります。
インデックス投資とは違いますので、場合によっては会社がつぶれて価値が0円になる可能性もあるのですね。それを早めに感知するためには、やはり決算を見ておく必要があります。個別株は放置していいものではありません。
たとえばJALですが、「つぶれない、大丈夫だろう」などと言われていて安全安心な株だと思っていたら、2010年に見事に会社更生法が適応されて、JAL株は完全に紙くずになりました。JAL株を持っていた人は、ガチで0円になったのですね。
知り合いにも買っていた人がいて、しかも株価が下がったときに「チャンス」とか言ってさらに買い増していたわけです。まあ、そんなわけで見事にやられたわけです。個別株は本当に容赦がないので決算を見ることは重要です。ダメな株はさっさと手放して、入れ替えた方がいいでしょう。個別株とインデックス投資は同じ感覚でやってしまうと失敗しやすいです。
とくに長期投資をするのであれば放置はしないほうがいいとは思います。最近だとアパレルのライトオンとかも経営不振と買収で、9月以降から株価は一気に半額近くの200円台までいきましたしね。この株、昔は1000円以上あったのですが、本当に諸行無常な世の中です。あと石油会社の昭和シェルとかもひどいことなってますね。昔ぶいぶい言わせていた商工ファンドも消えましたしね。
そんなわけで、インデックス投資とは違って、個別株は長期投資が成功する世界ではまったくないどころか、むしろ長期投資であるほど株価がガンガン下がっていって、最終的には0になる可能性もあるので、つねに見張っている必要があります。ほったらかし投資をやっていい世界でありません。
とくにポートフォリオを組む場合は、だめな銘柄をはじくなどして入れ替えも必要になってくるでしょう。インデックスが楽なのは、このあたりをぜんぶやってくれるからです。
それとポートフォリオを組む場合、リバランスも必要になってきます。ふつうには全部の株を同じ金額ぐらいにそろえる必要があります。どこかの株が突出したら売却、少ないものは買い足しなどして、年に一回ぐらいはそろえておく必要があるのですね。
こういう頻繁な売り買いをする投資は、基本的に買いっぱなしの新NISAとは相性が悪いです。年間に買える金額も240万円しかありませんので、売り買いなんかしたらすぐに枠が尽きてしまいます。
総合的に見て、個別株ポートフォリオは、新NISAとは相性最悪なので、やるのであれば特定口座でやって、損失もちゃんと利用できるようにしておいたほうがやりやすいかなとは思います。
そもそも240万円だけでポートフォリオを組むこと自体も困難ですしね。
あと配当ですが、日本株だったら配当控除もあるので、無理に新NISAでやる必要もないかなとも思います。新NISAでやることに、そこまで大きなメリットはないですね。
そんなわけで、もしQ太郎だったら新NISAで個別株ポートフォリオをやるとなると、いろいろと制約を受けてそもそも理想の形にすることができませんので、やるなら特定口座でやります。
新NISAはインデックスとか、入れ替え不要で、長期的には右肩上がりのものを買うのがいいでしょう。そもそも新NISAは長期投資のためのものなので、長期的に右肩上がりで入れ替え不要のものを選んだほうがいいですね。
新NISAで個別株を買うのがダメというわけではないですし、やりたい人はやったらいいとは思いますが、ただ新NISAの設計的には買ったら買いっぱなしというのがいいでしょう。
それと高配当株であれば、取り崩し投資でも使っているSBI証券の日本高配当投資信託とかも利用するといいでしょう。正直いまのところあまりパフォーマンスはよろしくないのですが、入れ替えをしなくていいという楽さはありますね。
まとめ
そんなわけでまとめると、新NISAで個別株を買うときのデメリットは、
・損益通算ができない。
・枠の制限があるので、銘柄入れ替え・リバランスなどの売り買いがしづらい。
・枠の制限があるのでポートフォリオが組みにくい。
・基本的に長期投資用に設計されているので、長期で置きっぱなしにできるものが良い(個別株は長期投資が成功する類の投資ではないので、見張っている必要があります)。
・日本株は配当控除も利用できる
となります。
そんなわけで、個別株の世界はJALみたいに「この会社はつぶれないだろう」というのがあっさりつぶれたりしますので、基本的には見張る必要があります。リバランスとかも含めると、特定口座でやった方が自由にやれていいとは思いますね。
個別株ポートフォリオをやること自体はかまいませんが、新NISAでやる必要性があるのかは微妙な点とは思います。枠を有効活用するためにも、ふつうに投資信託とかETFとか、置きっぱなしでいいやつを買ったほうが新NISA的にはいいとは思いますね。