【新NISA】取り崩しを再投資するデメリットについて

新NISA取り崩し

saitoushi

QYLD全力太郎ことQ太郎です。

前回、新NISAでの一括投資からの即毎月定率取り崩し運用についてお話しました。

今回はそのときに質問の多かった、「新NISAで取り崩ししたお金をさらに再投資するのはどうなのか」ということについてです。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

 

取り崩し投資の再投資

さて、取り崩し投資の再投資についてです。

ここでいう取り崩し投資というのは、一括投資からの即毎月定率取り崩しのことです。疑似的に分配金を受け取る形になります。

現在、Q太郎は新NISAで年初一括投資からの即毎月定率取り崩しをおこなって、疑似的に分配金を受け取っています。

具体的にはニッセイNSADAQ100を毎月1%で取り崩す疑似QYLDや、オルカンを0.3%で取り崩す0.3%ルールのようなやつですね。老後でのインデックス取り崩し運用を前倒しにしてやっている感じです。

ニッセイNASDAQ100
疑似QYLD(毎月1%取り崩し)

eMAXIS Slim S&P500
疑似XYLD(毎月1%取り崩し)

eMAXIS Slimオルカン
0.3%ルール(毎月0.3%取り崩し)

楽天VYM
疑似JEPI(毎月0.7%)

それでこの一括即取り崩し投資を新NISA口座でやったばあい、取り崩した分、枠があいてしまってむだになるという話をしました。

そこで空いた分を翌年また再投資するということもできますが、結論からいいますと、もし「再投資のために」取り崩すのであれば、取り崩さない方がいいでしょう。

再投資のデメリット

ここで再投資のデメリットを見ていきます。

デメリットとして一番大きいのは、そもそも実際の再投資がおこなわれるのは少なくとも新NISA口座を最速で埋め終わった6年目以降になるからです。

それまでは既存の枠を埋める行為でしかないので、本当に枠が空くのは全部埋めたあとなのですね。だから少なくとも5年投資したあとになります。5年以上という時間のロスですね。

これだけ長い期間があると株価もだいぶ上がっている可能性が高いため、空いた枠を埋めるための資金は、枠を開けたときよりも多く必要になります。

たとえば投資信託を1口1000円のときに10口取り崩したとします。金額としては1万円ですね。話を単純化するために、これで1万円分の枠が空いたことにします。

それで新NISA枠を埋め終わった5年後、1万円分の枠が空いています。

ただしそのときは基準価額が2倍に上がってしまって、1口2000円になってしまいました。

こうなると、1万円払って買えるのは5口だけです。

つまり10口分取り崩して1万円を得て、5年後にその一万円を使って5口を買うという行為になります。

言い方を変えれば、5000円で買えたものを、わざわざ1万円で買うという行為ですね。ここでは5000円の損失が発生していることになります。

仮に取り崩さなかった場合、1万円は2万円になっていました。1万円の利益です。

取り崩したことによって、1万円を得るという機会損失と、純粋に5000円のものを1万円で買うという5千円の損失で、潜在的には1万円を取り崩したことで1万5千円損したことになります。

基本的にインデックス投資は右肩上がりのものに投資するため、取り崩してあとで買うということは、基本的には高値掴みをさせられることになります。

そのため、再投資が目的であれば、取り崩さずにそのまま運用を続けたほうが合理的といえるでしょう。

再投資で得するばあい

それでは、再投資で得する場合はあるのかということについても述べていきます。

これは将来的に現在よりも株価や基準価額が低くなったときですね。

たとえば1口1000円のときに10口売却します。さきほどと同じように話を単純化するため、これで1万円ぶんの枠が空いたとします。

それで枠をぜんぶ埋めきった6年目に大暴落が起こって、1口500円と半額になってしまったばあい、1万円で2倍の20口買うことができます。

そのまま取り崩さずに持っていた場合は5000円の損失なので、5000円得したことになります。

しかしそもそも、すでに積み上げていた投資信託も半額なので、うれしいかどうかでいうと微妙なところとは思います。成長投資枠で1200万円近く埋めていたら-数百万円とかいうレベルですしね。そんな状況で数千円や数万円得したからなんだといわれればどうなんだろうという気もします。

そんなわけで、将来のズドンを見越しての取り崩しにもあまり意味はないかなとは思います。

取り崩しの意義

けっきょく取り崩しの意義とはなにかといえば、一番は使うためですね。

再投資をするために取り崩すのであれば、さきほども述べたように取り崩すことで、機会損失も含めてけっこう損してしまうので、取り崩さないにかぎります。

取り崩すというのは結局のところ、老後に金融資産からお金を使わなければならないなど、そういう状況における生活費などの支出をまかなうためにやるのが一番かなとは思います。どうしても使わなければならないときですね。

もう一つは、価格変動のボラティリティを抑えるためというものです。

たとえば毎月1%取り崩すということは、単純計算で毎月ボラティリティを1%抑える行為にもなるので、価格の上昇や下降をマイルドにする役割を果たしてくれます。

上昇しているときも取り崩して口数を削っていくため増えにくくなりますが、逆に下降時には資産をちょっとずつ逃がす効果もあるので、全体的には変動がゆるやかになります。

現在やっている疑似QYLDのように、NASDAQ100みたいなボラティリティが大きいものをマイルドにしたいときには有効かなとは思います。

ただ資産をふくらますという意味では、上昇を犠牲にしているので、まだ若い方は普通になにもせずに放置しているのがいいとは思います。

 

まとめ

そんなわけでまとめると、新NISAにおける取り崩しの再投資におけるデメリットは、

・実質的に再投資枠つかえるのは、1200万円の枠を埋めきった翌年以降から。少なくとも5年経ったのちになる。

・右肩上がりの銘柄の場合、将来的に高い金額で買わされることになる。

・取り崩さなかった場合に得られた金額分、機会損失にもなる。

逆にメリットとしては、

・将来的にズドンした場合、ちょっとお得に買い戻せる(資産全体が減ってるので、あまりお得感はないかも)。

・毎月取り崩すことで、ボラティリティを抑える効果がある(増えにくくはなる)。

となります。

そんなわけで資産をふくらませたい人は、なにもしないのが一番でしょう。

取り崩したお金を使いたい人や、もうからなくてもいいのでボラティリティを抑えたいという人は、取り崩し投資を考慮してみてもいいとは思います。低ボラ大好きなQ太郎の場合は後者の理由も大きいですね。

ただ時間が十分にある若い方はこういうことはせずに、普通に積み立てて何もせずに資産を増やしていったほうがいいでしょう。

それと今月の新NISAからの取り崩し分については、近々動画で報告する予定です。