【持ち家vs賃貸】「老後も賃貸」の生存戦略ー「バケツ戦略」による対策

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rougo chintai

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

前回と前々回の2回にわたって、バケツ戦略による貯蓄・投資と取り崩しの話をしてきました。

今回はよくある論争「持ち家vs賃貸」の老後における解決方法を、バケツ戦略の観点から述べていきます。とくにテクノロジーは日進月歩なので、しっかり情報収集していくことで老後の住宅不安を消していくことができます。

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持ち家vs賃貸

さて、よくある「持ち家vs賃貸」論争というやつです。

持ち家がいいのか、賃貸がいいのかというやつですね。

結論からいえば、正直なところ、退職前というか50代前まではぶっちゃけ好きな方でいいとは思います。

賃貸と持ち家、お金としてはどっちが得かみたいな計算がありますが、正直そんなのは運とタイミング次第です。

トラブルが起こって計画どおりの支出になるともかぎりませんし、Q太郎的にはあまり意味があるものとは思えません。

持ち家のほうが得と考えても、災害で半壊しましたみたいなこともあります。

賃貸のほうが得といっても家賃が増えたり近所トラブル起こしたり、引っ越し費用がかかったりなど、何があるかはわかったものではありません。

とくに賃貸の場合、退去時に、退去費用をぼったくられる例も多くあります。とくに不動産知識がないとあれこれいわれて退去費用40万円とか、息を吐くように請求されたりします。

いくら家賃が安くても、あとあとぼったくられると、トータルで考えたらけっきょく高額な賃料を払っているのと同じことになります。

そんなわけで、どっちが得かは本当に状況しだい・運しだいです。お金で比較してどっちが安いみたいなのは、あくまで短期的な状況に限定して考えたほうがいいです。

長期だと状況がいくらでも変わりますので、お金で比べるのはあまり合理的な判断ではないとは思うのですね。そもそもそのとおりになるともかぎりませんし。

株式でいうと「S&P500とオルカンどっちがいいですか」みたいな話ですね。

30年後にどちらが上かなんていまの時点ではわかりませんし、いまは米国が強いけど30年後にはどうなっているかわかりませんし、投資家がどちらを好むかみたいな問題もありますしね。

マイホームを持つのが夢という方は、マイホームを買えばいいでしょう。それが人生の夢なのですから、かなえられるのであればかなえたほうがいいとは思います。

逆に、一つの場所に固定されたくないという方、マイホームなんか負債でしかない、物をあまり持ちたくないと思っている方は、賃貸でいいとは思います。

とくにミニマリストで、いろいろなところに住んでみたいという方は、賃貸のほうが生活スタイルに合っているでしょう。

ミニマリストなら荷物が少ないので、引っ越し費用も抑えられますしね。いわゆるアドレスホッパー的な生活です。

知り合いのミニマリスト的な生活をしている方は、トランクケース一つにぜんぶ詰め込んで、そのまま電車に乗って運んでしまえるので、引っ越し業者に頼ったことがないとのことです。

そんなわけで、賃貸か持ち家かは生活スタイルにもかなり影響されるので、お金としてどちらが得かみたいな話をしてもあまり意味がないのですね。お金で考えても、20年後とか30年後とかの長期だと予想外のことなんてバンバン起こるのが人生ですしね。

とにかくこんな数十年のロングスパンで、金銭的にどっちが得かなんて保証されるわけもありません。

50代以降の持ち家VS賃貸

ただし、ここからが本題なのですが、50代以降で、持ち家がいいか賃貸がいいかは、話が変わってきます。若い時のように「どっちでもいい」というわけにはいきません。

というのも、60代以降になれば家を借りるのが困難になるからです。50代でも借りにくくなりますね。

お金も借りにくくなるので、ローン組んでマイホーム購入というのも難しくなるでしょう。

賃貸にしろ、持ち家にしろ、選択肢が狭まってしまうのですね。

そのため老後プランについては、50代あたりからはあるていど決めておいたほうがいいでしょう。

とくに賃貸派は、住むところがなくなるというリスクに備えておかなければなりません。

賃貸は困難

「60代から借りにくくなる」というのは、貸す方の視点から見ればあたりまえで、高齢者だから家賃が払えなくなるとか、事故物件で貸しにくくなるとかいう問題以前に、なにかあったときの後片付けとか修復費用とかが全部大家がやらなければならないことになってしまうからです。

知人というか親戚で大家をやっている方がいるのですが、その方は絶対に高齢者には貸さないと言っています。

たとえば高齢者に貸して、室内で亡くなられてしまったばあい、「清掃や床とかの張替えに数百万円かかります」という状況になる場合もあります。

しかも身寄りがなくて、孤独死のように人知れず亡くなってしまう場合もあるので、発見したときは死後何か月も経っていたみたいなことになっていたりします。

すると、その身寄りのいない人の後片付けは誰がするのかといえば、当然大家さんです。とにかくいろいろ面倒を抱えるので、正直あまり貸したくないのですね。

「事故物件になるから」みたいなのはそんなに大きな問題ではなくて、事故物件でも住みたい人はいます。

ただ後片付けをやらされたり、修復の費用を払わされたりみたいな、急な出費や厄介ごとを抱えたくないわけです。そういうのがなければべつに高齢者でも貸していいのですが、この部分が本当にやっかいです。

これはみなさんが大家の立場になって、なんかあったら貯金が数百万単位で吹っ飛んだり、後片づけも大家がやれ、みたいなリスクを負ってまでして高齢者に貸したいかどうかを考えればわかるとは思います。

そんなわけで、面倒を抱えたくない大家が多いので、60代以降からの賃貸は難しくなります。

「賃貸はそういうリスクがあるから、やっぱり持ち家のほうがいいよね」と考える人もいるかもしれませんが、老後に関しては、やはり持ち家に多少分があるでしょう。

ただ持ち家は持ち家で、なにか災害があったり、リフォームしたりで、やはりお金はかかります。なんにしろリスクに備えるにはやはりあるていどの貯金が必要になります。

そこで、とくに賃貸派の人は、「バケツ戦略」における中期バケツをしっかり蓄える必要が出てくるでしょう。バケツ戦略については前回・前々回を参照してください。

簡単に説明すると、短期バケツには生活防衛資金、中期バケツには子供の学費や車・家の頭金など、数年後につかうまとまったお金、長期バケツにはインフレに備えたリスク資産を置いておくというものですね。

今回はこの老後における中期バケツに焦点を当てます。

賃貸に住み続ける

さて、ここで持ち家がなくて、60歳になってしまった場合を考えてみます。

まあ、先程も言ったように、貸してくれる大家を見つけるのはかなり困難です。

そこで方法としては、すでに賃貸に住んでいるのであれば、そこに住み続けるという方法ですね。

まずルールとして、高齢が理由で入居者を追い出すことはできません。

仮に退去を求められたとしても、入居者は拒否することができます。賃貸は借りている方にけっこう有利なので、あきらかな不利益などの正当な理由がないと追い出せないのですね。

たとえばペット不可の物件でペットを飼っていたらルール違反なので追い出されますが、年齢が理由というのは無理でしょう。

そこで、50代前ぐらいの借りやすい時期に、終の棲家になるような新築の賃貸物件を探して、そこに一生住み続けるという戦略が取れます。長期で住むことになるので、しっかりとした物件を選んだほうがいいでしょう。

ただ、人生なにがあるかわかりませんし、なにかしらの理由で住めなくなってしまう可能性もあるため、「一生住み続けられる」と過信しないほうがいいです。

そこで第2・第3のプランを練っておきます。

URを利用する

仮に賃貸に住み続けることができず、高齢になってから賃貸を探さなければならない場合、使えるものとしてはUR賃貸があります。テレビ宣伝でやってる、あの「URであーる」のあれですね。

「仲介手数料・保証人・更新手数料も無しっなし」でやっているあのURです。昔でいうところの公団ですね。

URは賃貸の年齢制限をもうけていないので、高齢者でも借りることができます。80歳だろうが90才だろうが、保証人なしで借りれてしまうのです。

できますが、条件があります。

当然、そこまで世の中はあまくありません。

条件は3つあって、そのどれか1つを満たせばOKです。

一つ目は、年金も含めた毎月の収入が、家賃の4倍以上あることです。URは初期費用が少ない分、家賃は高めに設定されているので、このあたりでけっこうハードルが高いですね。家賃7万円だったら月収28万円必要になります。もちろん投資信託の取り崩しで28万円以上あるというのは不可です。あくまで毎月の安定収入しかカウントしません。

この1つ目を満たすのは、年金の多い人以外はけっこうハードルが高いとは思います。

そこで2つ目ですが、「貯蓄額が、入居する部屋の家賃の100倍以上あること」です。たとえば家賃7万円だったら、700万円の貯金が必要です。当然、投資信託は含みません。銀行にある現金が700万円です。

投資信託を一時的に解約して見せ金にする方法もなくはないですが、利益が出ていると無駄に税金を払うことになってしまいますね。新NISA口座なら税金がかかりませんので、いったん新NISAの投資信託を売って、口座残高を見せた後にまた買いなおすということもできなくはありません。ただやはり面倒くさいです。

そこで第3の方法ですが、「家賃・共益費の12カ月分を、契約時にまとめて支払う」というものです。

たとえば家賃と共益費が合わせて8万円だったら、8万×12か月の96万円を仮契約後に一週間以内に一括で払えば、高齢だろうと無職だろうと契約させてくれます。

それで一年後からは毎月払う方法に切り替えられますので、この頭金だけ持っていればなんとかなりますね。ちなみに振込ではなく、現金を銀行でおろして、そのままUR営業センターに持っていくということもできます。そのほうが振込証明が不要なので、手続きが早いです。

そのため、60歳を超えて賃貸生活がしたければ、URも検討対象に入れておくといいでしょう。

ただURの問題点としては、先程も述べたように初期費用がないぶん、家賃は割高ですね。

それとやはりURは人気があるので、空室がなかなかないというのもあります。空室があったとしても、エレベーターなし団地の5階とか4階など、けっこう厳しいものがあったりします。

Q太郎は不動産物件見るのが好きで、URもたまにのぞいてますが、やはり余ってるのはほとんど4階や5階ばっかりですね。

いちおう「高齢者向け優良賃貸住宅」といって、おもに1階に住まわせてくれるのがありますが、競争率が高くてほとんど空いていません。いったんどこかに部屋を借りて、そこから「高齢者向け優良賃貸住宅」の空きをひたすら待つみたいな感じになるとは思います。

とにかくよい部屋は取りありになりますので、住みたいときに住めるというような甘いものではありません。URを利用するにしても、早め早めに計画をしておいたほうがいいでしょう。

ホテルを利用する

最近ミニマリスト界隈で流行っているホテル住まいですが、十分な貯えがあれば老後考慮してもいいでしょう。ホリエモンも家を持たずにホテル住まいをしていますね。長期に住むのであれば、ホテルに住民票を置くことも可能だったりします。

ホテルのサブスクサービスも増えてきているので、こういうのを利用すれば全国を渡り歩きながらお得にホテル住まいをすることができます。

ちなみに東急ホテルのサブスクサービス「ツギツギ」は一か月フルで泊まるコースだと29万9,800円になります。だいたい30万円ですね。全国140以上の施設が利用できるので、年間360万円を出せるのと、体力があれば、全国行脚を楽しむのもいいとは思います。

問題点としては、外食が増えてしまうことでしょう。

個人的には、外食が多くなるのは健康の意味でもあまりおすすめできませんが、金がうなるほどあるぜという方はそういう生き方もいいとは思います。

もしくはAirbnbを利用して、世界を渡り歩くというのもいいでしょう。Airbnbは長期で泊まると割引がきいたりしますので、こういうのもうまく利用していくといいとは思います。台所がある物件も多いので、外食だよりにならなくていいですね。

ただ、やはり現地でホテル借りるより割高な物件も多かったりしますので、そのあたりもしっかり調べておいたほうがいいでしょう。

Q太郎がプチ移住している台湾やニュージーランドの場合、Airbnbのほうがホテルより高かったりするのが多かったですしね。知人がニュージーランドに家族で住んでいて、Airbnbの物件をもう4年以上使っているのですが、週に900ニュージーランドドルかかるといっていました。日本円で約8万4000円ぐらいですから、一か月で約33万円ぐらいかかりますね。

あとAirbnbは個人間のやりとりになるので、トラブルがあったときにちょっと面倒というのもありますね。

家を買う

賃貸派がもう一つ考慮してほしいのは、家を買うことです。

ここで買う家は、都心とかじゃなくて、地方で数百万円程度で売りに出されているものですね。これをローンなしで購入します。

家を壊して更地にする費用を払いたくなくて、家ごとそのまま引き取ってほしいという売り手が多くなっているので、そういう物件はけっこう安く買えたりします。

中に家具とかがそのまま残っているケースもありますが、きれいに整理整頓されていれば、そのままゆずってもらってしまったほうがあとからいろいろ買わなくて済むというメリットもあります。

ただこの手の物件は、かならず内見が必要ですね。知り合いに専門家がいれば、いっしょについていってもらったほうがいいでしょう。雨漏りがひどくて、屋根全部張替えで高くつくケースもあります。

基本的に安物件は、DIYが好きな人向きとは思います。

あと、近所から異臭がするとか、近所にやべえやつが住んでいるとか、近所のヤンキーみたいなやつが大音量で音楽掛けているとか、夜中にバイク音が鳴り響いているとか、近所問題もあったりするので、下調べは本当にちゃんとしておいたほうがいいでしょう。

安いには安いなりの理由がありますしね。安い地域は治安も悪い場合があるので、結果的に高くつくことになりかねません。

とくにゴミ捨て場が汚い地域は、経験上、超高確率でやべえやつらが住んでいるので、ゴミ捨て場のチェックはかならずしておいたほうがいいとは思います。道路にたばこの吸い殻が当たり前に落ちているとかも注意が必要です。

最新テクノロジー

そして最後の方法としては、最新テクノロジーに頼るというものです。

有名どころでは3Dプリンターによる低価格のタイニーハウスですね。セレンディクス社の3Dプリンターハウスが一時期話題になっていましたが、水回り設備を完備した鉄骨造の50平米の1LDKが550万円で作れるようです。しかも施工時間がたったの2日なので、こういう建築物の法整備がされれば、これからの住宅業界に革命をもたらす存在になるとは思います。

あと地震や強風など豪雪などにも強く、断熱性も高いインスタントハウスです。LIFULLと名古屋工業大学大学院が共同開発しているものですね。

4時間ぐらいでつくれてしまって、値段も小型で約110万円、大型でも260万円程度と安く作れます。風速80メートルまで耐えられるらしく、かなり頑丈な作りになっていますね。

こういうのを増やしていけば、高齢化社会の住宅問題にも対処できるのではないかと思います。30年ローンで家を買うのではなく、車を買うように、気軽に家を買う感じですね。

ただ現在は法人相手にしか販売していないので、今後に期待したいとは思います。これ、一般にも開放すれば流行りそうな気はしますね。

ほかにもコンテナハウスとか、安価で手に入るタイニーハウスみたいなのも今後増えていくのではないかと思います。大金払って家を買う時代が終わり、気軽に家を買える時代がやってくるのではないかと期待しています。

ただ問題なのは、やはり日本の法律ですね。こういう新しい技術に法律がついていけていないので、法整備などにまだまだ時間がかかりそうな気はします。検索エンジンやドローンみたいに、法律のせいで技術が育たないみたいなことにならないでほしいとは思います。

こういう技術はまだ始まったばかりなのですが、あと10年後ぐらいにはスマホのように、このようなインスタントハウスが当たり前になる社会もいのではないかと思います。

そんなわけで、老後に賃貸派だとしても、最新テクノロジーによる安価な家を買うことができるようになるかもしれません。

 

まとめ

まとめると、

・50代前から終の棲家になる賃貸住宅に住み続ける(高齢を理由に追い出せないから)。

・URを利用。

・ホテルのサブスクサービスやAirbnbなどを利用。

・安い家をローンなしで購入。

・最新テクノロジーに期待。

となります。

何にしろ、URの家賃一年分一括払いや、家を買うときもローンなしで購入のように、老後も賃貸派の方はそれなりに資金を用意しておく必要があるでしょう。

ただこれから高齢化社会がやってきますし、2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者になってさらに深刻化しますので、社会制度もそれに合わせて変わっていくとは思います。

とくに高齢者に賃貸物件を貸し出せない問題も、これだけ高齢者人口が増えると、なにかしらの法整備がされるような気はします。

インスタントハウスなどのテクノロジーの進歩もありますし、いまの住宅事情は賃貸派の高齢者には不利でも、10年後にはどうなっているかはわかりません。

そんなわけで、中期バケツ・長期バケツに資金をたくわえつつも、法整備やテクノロジーの進化に期待しつつで、それほどおそれないでいいかなとは思います。おそれつつ、期待しつつですね。

Q太郎的にはインスタントハウスのようなテクノロジーの発展を、わくわくしながら見守っています。