米国株「ウォルマート」暴落!「アマゾン」「コストコ」も釣られ安―日本撤退の歴史についても【米国株投資】
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
米連邦公開市場委員会(FOMC)やGAFAM決算を控え、米国市場は方向性を欠いた動きになっています。
S&P500は前日比で+0.13%の微増。昨夜は上げたり下げたりと、ボックス相場のような動きで、迷いまくりの状況です。
引けにかけて落ちたと思ったら、ラストスパートで上がっていきましたね。年初来では-17.30%になっています。
NASDAQのほうは、GAFAM決算が控えていることから、こちらも方向が定まらない様子です。引けにかけてあげていきましたが、前日の終値にはまったくとどかず、前日比-0.43%、年初来では-25.58%になります。
セクターごとで見ると、あきらかにGAFAMが下げを食らっていますね。
逆に上げているセクターですが、原油先物が上昇したことで、6月から下げのきつかったエネルギー株が買われています。エクソンモービル、シェブロンが一気に3%ぐらい上げました。
それと前回動画にしたベライゾンとAT&Tは反発で盛り返しています。ベライゾンは前日比で+0.70%、AT&Tは+0.71%と似たような動きですね。
AT&Tについてはこちらを参照してください。
またベライゾンについてはこちらを参照してください。
今回は、通信業者大手のベライゾン、AT&Tの暴落に続いて、アメリカ最大というか世界最大の小売業者「ウォルマート」暴落の話題です。
超大企業がガンガンやられている状態ですね。
ここで重要なのは、ウォルマートの株価だけの問題ではなく、「消費者の買い控えが起こっている」ということですね。景気が悪くなっていることの兆しとも言えます。
それでは状況を見ていきましょう。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
ウォルマートの暴落
さて、ウォルマートの暴落についてです。
ウォルマートは言わずと知れた、世界最大級の小売業者です。
どれだけすごいかというと、売上高が50兆円以上あります。国家予算並みですね。ちなみに日本の税収合計は60兆円ぐらいです。
ウォルマートの日本撤退
ウォルマートは2002年に日本にも進出し、業績低迷していた西友と提携を結んで、その株を段階的に取得していきました。
2008年にはすべての株を取得し、西友を完全子会社化しました。
ウォルマートの得意技というのは、「ディスカウント戦略」ですね。
しかし日本にはドン・キホーテとか対抗馬いますし、そもそもディスカウント戦略は日本の小売りの得意技ですしね。
なんか日本に進出した大型小売店はだいたい上手くいっていませんね。カルフールやテスコも撤退していますしね。
いま残っているのはコストコぐらいでしょうか。ただそこまで勢力が大きいわけでもないですね。
それでウォルマートは完全子会社化した西友に、ディスカウント戦略をやらせまくっていたのですが、先ほどもいったように対抗馬が多すぎて効果があまりありませんでした。
10年ほど頑張りましたが、西友は業績低迷から抜け出せず、2018年にはウォルマートは日本撤退を発表しました。
西友の株式は、楽天とKKRに売却することとなりました。
実際、売却しやすいように、2015年あたりからどんどん西友の店舗を閉鎖していましたね。撤退発表の3年前からすでに準備がはじまっていたということです。
ちなみにウォルマートは完全撤退したわけではなくて、部分的に楽天とネットスーパーの共同運営をしています。
通期利益見通しの下方修正
さて、そんなウォルマートですが、昨日、通期利益見通しの下方修正をおこないました。
今年に入って2回目ですね。前回5月のときも見通しを引き下げて、11%ほどのズドンを食らってしまっています。
それでウォルマートは、インフレで消費者が大型商品の購入を控えて、食料雑貨を優先させているとのことで、2023年1月通期の調整後1株利益が11~13%減少する見込みとのことを発表しました。インフレもありますし、食料品はいくら売れても利益率が低いのですね。
1株利益が11~13%落ちるということは、株価もそれぐらい落ちるということになります。1株の利益が減っているのですから当たり前ですね。
それで今回ですが、時間外取引で10%ほどのズドンが発生しています。株価回復の兆しが見えてきたところで「またかよ」といったところですね。2度あることは何度もありそうな感じです。
ちなみにウォルマートの現在の配当金利回りは1.69%です。
ズドンした時間外取引価格の119ドルで計算すると、配当金利回りは1.88%に上がります。高配当株ではありませんね。
今週はコカ・コーラやP&G、マクドナルドなど消費財大手の決算が相次ぎます。小売り大手のウォルマートがやばいと、その商品であるコカ・コーラとかもひきずられる可能性はあります。
いまのところコカ・コーラは時間外取引で落ちてはいませんが、コストコがつられて時間外取引で3%ほど落ちていますね。おなじく小売業であるアマゾンも4%ほど落ちています。
やはりインフレになると、消費者との距離が近い小売業へのダメージが強くなりますね。
消費者の消費が少なくなるということは、景気後退へのシグナルにもなります。
2年債と10年債の逆イールドも解消されていませんし、リセッションシグナルが結構多いので、いまは時間分散で慎重な投資をしたほうがいいかなとは思います。
今週はFOMCや重要な決算が多いので、今後の米国市場の動きを決めることにもなります。博打をせずに、注意深く見守ってから動いてもじゅうぶんかなとは思います。