ドル高騰&決算シーズン&利上げで米国株下落リスクの7~8月ードル円は137円突破
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
ドル円は137円を突破しました。急速な利上げによって、ドルが高騰してしまっています。
ドルの急騰はアメリカの競争力を失わせることにもなりますので、米経済としてはあまりよろしくない方向に向かっているとも言えます。
ただ過去のチャートを見ると、急激なドル高ののちに、145円あたりからの急激な反転があるので、注意も必要です。
一本調子で上がってきたものは、反転するときは急速に反転することにもなりますしね。
それにあるていどドル高がすすむと、アメリカが手を打ってくる可能性もあるので、145円ラインには注意したほうがいいかと思います。
そんなわけで今回は、急激なドル高と利上げ、それによる企業業績の押し下げと、地獄の決算シーズンの到来、米国住宅事情と経済のリセッション懸念についての話題です。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
ドル高&決算シーズンでの米国株暴落
さて、7月中盤から8月前半にかけて、多くの主要企業の決算シーズンに突入します。
ドルの急騰以前に、リスクの取りづらい時期でもありますね。
Q太郎的には、決算前に株を買うのは、よっぽどの自信がないかぎりはただのバクチだと思っています。買うなら決算終わってからでもいいとは思います。決算次第ではびっくりするほど落ちますしね。
米国市場の動向
さて、S&P500とナスダックを見ていきましょう。
S&P500は昨夜の寄り付きから落ち込み、前日比-1.15%、年初来で-19.64%になりました。チャート的にもダブルトップが出来ていますね。また-20%ラインを下回ってしまうかもしれません。
みんな大好きNASDAQですが、こちらはさらに落ち込んで前日比-2.26%、年初来で-28.17%になりました。こちらもダブルトップの形が出ましたね。
Nasdaqのほうは、テスラやGAFAMなど、大型ハイテク株が売られた形になっています。
とくにテスラは前日比で-6.55%になっています。
Twitterもイーロン・マスク氏の買収撤回によって寄り付きから一気に落ちていき、最終的には前日比-11.40%と大きく落ち込んでしまいました。
マスク氏にだいぶ振り回されていますね。必要以上に売られているような感じです。というか、売り過ぎな気がしますね。そこまで売らんでもという感じです。
マスク氏のTwitter買収騒動についてはこちらを参照してください。
ちなみに昨日より、楽天証券の信用取引がはじまりました。今後は売りから入ることもできますね。ただ売りは青天井なので、リスクは高いので注意してください。とくに米国株はボラティリティが高いですしね。
楽天証券の信用取引についての詳細は、こちらを参照してください。
中国株も下落
大幅安は米国株だけでなく、米国に上場している中国株もダメージを受けています。
つい先日、中国政府がアリババグループやテンセントに対して、買収案件などいくつかの取引を報告していなかったことで、罰金を科せられました。中国政府からの締め付けが厳しくなってきていますね。
米国市場に上場しているアリババグループ株は前日比-9.4%と大きく落ち込みました。またテンセントも前日比-4.42%の下落ですね。
急激な金利上昇
米国の急激な金利上昇ですが、ジャンピエール米大統領報道官は昨日、「13日に発表される6月の米消費者物価指数CPIは非常に高い水準になる見通し」だと明らかにしています。
そうなると、次もまた0.75ポイントの利上げという話になり、それを株式が現時点でどこまで織り込んでいるかという話になってきます。
CPIについてはこちらを参照してください。
一方、この高金利でやばくなっている業界は、当然住宅市場です。
家を買うためのローンの金利が増えるので、当たり前といえば当たり前ですね。
米住宅市場では6月、6万件近くの住宅購入契約がキャンセルされました。契約に対する比率として15%に相当します。
日本は低金利政策を続けていますが、いま日本で金利を上げたら、地獄を見ることになるとは思います。国債の金利も増えますし、上げるにも上げようがない状況ですね。
それで現在の米国政府の方針ですが、レモンド米商務長官は昨日、
「ドル高は懸念していない。いまはインフレが大きな課題」
と述べました。しばらくは利上げの手を緩めることはないようですね。
利上げについての意見の相違
専門家の間では、利上げが急速過ぎてリセッション入りする派と、米国経済はまだ堅固なのでさらに利上げしても問題ない派で、意見が分かれています。
いくつかのニュースをまとめてみると、
カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、「金利をあまりに速く動かすと経済に大きな負荷をかける。利上げ開始後、わずか4ヶ月でリセッション懸念が出るのは異例だ」と警鐘を鳴らしています。
一方、米アトランタ連銀のボスティック総裁は「米経済は大幅な金利上昇に対処可能」として、今後の大幅利上げには賛成の立場をとっています。
また米セントルイス連銀のブラード総裁も、「景気を損なわずにインフレ率を2%に押し下げることができる」として、リセッションに陥るリスクは深刻ではないと述べています。
急速な利上げについては意見のわかれるところですが、政府が手を緩めることはないとは思います。
いまは株価よりインフレ退治が最優先になっていますしね。
コモディティの動き
またリセッションという話になると、石油やゴールドなど、年初来からブイブイ言わせていたコモディティの下落にもつながります。
エネルギーセクターETFのVDEは高値からすでに25%ほど落ち込んでいますね。
ゴールドETFのGLDMも下降トレンドで、一時期から13%ほど落ち込んでいます。
コモディティのほうが、株式よりも織り込みが早いとは思いますね。
まとめとQ太郎の見解
今後の米国市場ですが、やはり利上げとドル高で、企業業績が圧迫される展開になってくるかと思います。
政府もドル高容認で、利上げをゆるめる気はありません。
ただリセッション入りすれば、これまで一直線に円安に向かったぶん、バブル期のように一気に円高方向へ動く可能性もあるので注意が必要とは思います。
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は
「株式相場は今年・来年の業績見通しの引き下げをまだ織り込んでいない」
としており、今後業績見通しが下方修正されれば、さらなる下げの可能性も予測されます。
決算シーズンも到来しますし、いま決算の結果を見てから動いても十分かなとは思います。できれば9月ごろぐらいからぼちぼち動き始めるぐらいでいいんじゃないかなという気はします。