【本要約】『バフェットとソロス 勝利の方程式 最強の投資家に共通する23の習慣』
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
以前に投資に関する本の紹介をしてほしいとのコメントがあったので、Q太郎のお気に入りの本を紹介するコーナーを新設しました。
紹介したい本はたくさんあるのですが、今回は投資初心者でも読みやすい本として、『バフェットとソロス 勝利の投資法 最強の投資家に共通する23の習慣』を紹介していきます。
世界でもっとも有名な投資家であるバフェット氏とソロス氏の、投資に対する共通点について述べている本です。勝てる投資家の共通点ですね。
読みやすい本なので、Q太郎は何かあるたびに読み返しています。とくに暴落時には読んだほうがいいでしょう。
Q太郎的にこの本は、第2章の「投資の七つの大罪」にすべてが集約されていると思います。投資でやってはいけない7つのことですね。
今回はここを、補足も加えながら重点的に話していきます。
というのも、本の中では「分散投資するな」みたいなことも言ってますので、本の額面どおりに受け取るととんでもないことになるとは思います。
なぜバフェットは「分散投資がよくない」と言ったのかの細かい部分についてはこの本には書いていないので、この記事で理由をしっかり理解していただきたいと思います。
そうでないと、「よーし、明日から集中投資だ!」みたいなことになって、とんでもない目に遭いかねませんので、気を付けてほしいところです。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
投資の7つの大罪
それではバフェット氏とソロス氏が教える「投資でやってはいけない七つのこと」です。
1 マーケット予測
その1、マーケットがどう動くかを予測すること(できると考えていること)です。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』という本がありますが、短期的な株価というのは、基本的に予測することができません。
どうしてかと言えば、状況というのは常に変わるからです。
今日の状況と明日の状況は違いますので、今日立てた予想というのは、明日には変わっているかもしれないのです。
たとえば明日核戦争があってアメリカがふっとべば、株式市場は駄々下がりになるでしょう。そもそも株をやっているばあいではないとは思いますが。
そんなわけで、今回のウクライナ情勢のように、世界情勢というのはつねに変わり続けます。
アナリストたちの意見がコロコロ変わるのも当たり前と言えば当たり前で、状況が変われば意見も変わるのは当然だと思ったほうがいいでしょう。
逆に予想に固執するほうが危ないです。
以前の状況であっていたことも、今の状況ではあっていないこともあるのです。
ソロス氏は予想をよく外すので、
「私の金銭面での成功は、私の将来の出来事を予測するのとは際立って対照的だ」
と自虐しているぐらいです。
一方のバフェット氏ですが、市場がどうなるかは、彼にとってはどうでもいいことなのです。
スーパーへ行って野菜を買うように、「安いから買おう」みたいなノリです。
ようするに企業価値より株価が安くなったときに、一気にガバッと買うのですね。その場合、下げは限定的、上値は無限大になります。
そんなわけでバフェット氏にとって、予想をする必要はないのです。彼の中で、安いか高いかの基準ができているからです。
そして安いときに買っているので、下落リスクもほとんどないのです。
一般の投資家はその逆で、株価が下がるとあせってしまいますね。
それは自分の中で、値段の基準ができていないからです。
バフェットのように、「この株価だったら買ってもいい」みたいな基準をつくっておくと、マーケットの動きに右往左往しなくてすむとは思います。
2 導師(グル)信仰
やってはいけないこと、その2。導師(グル)信仰。
自分で市場を予測することはできないけど、どこかに予測できる人がいるはずなので、その人の意見を聞けばいいという話ですね。
これら予測屋をこの本ではグルと呼んでいます。師匠ですね。
Q太郎の親戚が、米国株投資の「師匠」とやらに50万円持っていかれた話についてはこちらの記事を参照してください。
まず大前提として、本当にもうかるのなら、その方法を見知らぬ他人に教えるわけがありません。
FXの自動売買とかよく宣伝してますけど、本当にもうかるなら宣伝する必要はなく、勝手に自分でもうければいいのです。
それこそ100兆円ぐらいもうけて、日本人全員にベーシックインカムでも配ってくれればいいのです。
「ある男が鉛を純金に変える方法を発見したとして、それを年100ドルで教えてくれるわけがない」
という言葉どおり、本当にいくらでももうかる方法があるのだったら、それをたった100ドルで売るわけがないのは、考えればすぐにわかることです。100ドルぐらい自分で稼げばいいじゃないですか。
バフェット氏もソロス氏も、めったに市場について語らないのは、本当にもうかっているからです。
本当にもうかる方法を知っている人は、だまって購入して、だまって売り抜くだけです。
3 インサイダー情報
投資の大罪、その3は、インサイダー情報(特別な情報)こそが大金を稼ぐ手段だと思うことです。
バフェット氏の投資に関する情報ですが、誰でも手に入れることのできる企業の年次レポートです。インサイダーなど頼る必要はありません。
バフェットは
「インサイダー情報と100万ドルを持っていたとしても、一年以内に破産することだってある」
と言っています。
必要なのはインサイダー情報ではなくて、年間レポートから企業分析をきちんとできる知識ですね。
4 分散投資
投資の大罪その4は、分散投資です。
この章は、他のバフェット氏の本を読んでからでないと、額面通り受け取るは危険です。
まずバフェット氏は分配投資について、「小鳥が餌をついばむようなもの」みたいなことを言っています。
分散する分、利益も小さくなってしまうのです。
つまり、VTIやVOOのようなETFを買うより、ちゃんとした企業に集中投資すればそれ相応のリターンが得られるということです。
株の達人は、基本的にETFは買いません。何を買っていいのかわかっているので、わざわざ分散していらない株を買う必要がないのです。分散してしまうと、利益が薄くなってしまいます。それこそ「小鳥が餌をついばむようなもの」です。
ただし、これはきちんと企業分析ができて、それ相応に売買の経験が長い人がとることのできる戦略です。
我々とバフェット氏とでは、おなじことをやったとしても、リスクの大きさが違うのです。
たとえば羽生結弦選手にとって空中で4回転することは、それほどリスクの高い行為ではありません。
我々が同じことをやったらどうなるでしょうか。硬い氷のリンクに体を叩きつけて、大けがするとは思います。
羽生選手にとってリスクの高くない行為でも、我々にとってはリスクがあまりにも高いのです。
つまりバフェット氏にとっての集中投資は、羽生選手にとっての4回転とおなじことで、彼らにとってはリスクが少ないのです。
我々がおなじことをすると、大けがをします。
まったくおなじことをやっても、人によってリスクは同じではないのです。ここはきちんとわけて考えてください。
デイトレで1億円稼いだ人がいたとして、「じゃあ、まねしてデイトレしよう」とやってみても、大けがをする確率のほうが高いでしょう。それこそ、できもしない4回転ジャンプをしているようなものです。
同じ行為でも、人によってリスクは違うのです。
集中投資をしたければ、知識と経験をたくわえることがまず先です。
ちょっとずつ個別株を買って、ちょっとずつ練習していく感じですね。いきなり4回転ジャンプはできませんしね。
そのため、企業分析ができない、もしくは面倒くさくてしたくなければ、普通にVOOやVTIなどのETFを買った方がいいでしょう。
5 ハイリスク・ハイリターン
投資の大罪その5は、大きなリターンを取るためには、大きなリスクを取りにいく必要があるです。
成功している投資家ほど、リターンよりもリスクを避けることを優先します。
バフェットは株を買う時は、本来の企業価値より安値で買います。安値で買うことで、下値が限定的になるため、いわゆる「安全域」ができるからです。
ただし安くてもだめな企業を買ってはいけません。あくまで安くなった優良企業を買うことが重要です。
無限ナンピンをしてはいけないということですね。
6 システム信仰
投資の大罪その6は、システム信仰です。
FXの自動売買とか5%ルールとかテクニカル分析とか、何か投資に勝利の法則や方程式が存在すると思い込んでしまうことですね。
バフェットはこのことについて「人々は公式を求めている」といっています。
そして人々は公式を求め、それをコンピュータに打ち込み、金が逃げていくことを呆然と見守ることになります。
7 将来起こることがわかっている
投資の大罪その7は、将来何が起こるのかわかっているです。
これは投資の大罪その1をさらに悪くしたものですね。自分の予言を信じてしまっている状況です。投資初心者から抜け出して、自分で分析ができるようになったときにやりがちな間違いです。間違いというか慢心ですね。
まとめとQ太郎の見解
以上、まとめると、
1,マーケットの予測(マーケットが予測できると思い込んでいる)
2,グル信仰 (誰かすごい予想屋がいて、それを信じていれば投資に勝てるという考え)
3,インサイダー情報(普通の年次レポートで情報は十分得られます。重要なのは分析能力)
4,分散投資(ただし、バフェット氏と我々とでは知識も経験も違います。羽生選手が空中4回転するのと、我々がするのとでは、おなじことをしてもリスクがまったく違います。我々がやれば大けがをするので、個別株は少額ではじめて、十分な経験を積んでから大きくしていくのがいいでしょう)
5、ハイリスク・ハイリターン(大きなリターンを得るには、大きなリスクを取らなければならないという思い込み。一気に大きなリスクをとらなくても、ゆっくりお金持ちになることはできます。短期でなんとかしようとすると、けっきょく資産を大きく失って回り道になるだけです)。
6、システム信仰(FXの自動売買システムみたいに、「株やFXの必勝法」みたいなものが存在していると思い込んでいることですね。そんなものが存在しないのは、少し考えればわかると思います。本当にもうかるものがあれば、それを他人に教えはしないでしょう)
7、将来予測ができる(投資に慣れてきたときにやりがちな慢心ですね。基本的に読めないものだと思ったほうがいいでしょう。名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』がこの点について述べていますので、今後この本も紹介していこうと思います)
そんなわけで、Q太郎はことあるごとに、この7つの大罪の章を読み返しています。
バフェット氏のように、、自分の中で投資の基準ができあがると精神的に楽になるとは思いますね。
それとこの7つの大罪をひとことでまとめれば、「固執するな」ということですね。
投資において、固執が一番危険な考えです。
「こうすれば絶対勝てる」とか「予想ではこうだ」とか、そういう決め付けですね。
状況は常に変わってきますので、1年前に勝てた方法で、いま勝てるとはかぎりません。
つねに勉強や検証を続けて、知識をアップデートしていく必要があります。
いまは米国株が強いですが、今後どうなるかはわかりません。
かといって、いまの状況で他の国の下部を買うのもリスクが高いとは思います。
米国株と全世界株、どちらがいいかについては、またいずれ述べたいと思います。