円安で米国株買って大丈夫?
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
円安が進んで160円以上が当たり前みたいな感じになってきましたが、今回はこのような状況で米国株を買って大丈夫なのかという話です。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
円安で米国株買って大丈夫?
このようなご質問をいただきました。
「いつも動画をありがとうございます。
とうとう1ドル160円を超えての円安になりました。
さらに円安が進みそうな気もする一方、そろそろピークのような気もします。
日銀の金融引き締めや、トランプの大統領就任で一気に円高になる可能性も捨てきれず、いまの状況で米国株を買っていくのが怖いです。
また米国株の方もそろそろピークな感じがするので、そうなると 円高+株安のダブルパンチを受けてしまう可能性も高くなります。
いまの状況で米国株を買って大丈夫なのでしょうか。それとも大統領選が終わるまで様子見したほうがいいでしょうか。Q太郎さんのご意見をお聞かせいただければ幸いです。」
とのことです。
いま円安が進みすぎて、米国株を買うにしても、たいした額が買えないという問題も出てきていますね。
そんな状況で米国株をさらに買い進めていっていいのかという話です。
結論から言えば、為替がどうなるかなどわかるわけがないので、どう転んでもいいようにしておかなくてはなりません。
為替リスク
まずこの「為替がどうなるかなどわかるわけがない」ということをわかっておいたほうがいいでしょう。
為替というのは市場の需要と供給の問題だけでなく、政治要因や地政学要因まで入ってくるため、とくに短期だと読みようがないわけです。
仮に日銀が「国民が円安円安うるさいから、毎月1%ずつ利上げしていきます」とかやけくそになって言い出して、本当に実行し始めたら円高に進むとは思います。
もしくはトランプが大統領になったとたん、「高金利はもうやめて、金融緩和しまくるぞ」みたいなことを言い出して実行してしまうと、ドルは安くなっていきます。
もしくは中国が台湾へ攻め入って、それに日本が巻き込まれてしまったら、「日本円大丈夫か」ということで資金が海外に逃げて、さらに円安へと進んでいくでしょう。
北朝鮮がミサイル打ち込んできても同じことが起こりますし、ロシアが何かのはずみで攻めてくるかもしれません。
これは市場の需要と供給の問題ではなく、政治的な問題や地政学的な問題で、一瞬で状況が変わってしまうのですね。世界はこのようなイベントがいろいろと突然差し込まれてくるのですから、読みようがないわけです。
ドル円の動きですが、昨年(2022年)の1月のことを思い出していただければわかるとは思いますが、一時1ドル120円後半まで円高が進みましたね。これはそのさらに前の年の12月に、日銀がイールドカーブコントロールを修正したことがきっかけです。これで1ドル150円台から一気に120円後半まで円高が進んでいったのです。
ところがその後、またもや円安が進んでいきます。イールドカーブコントロールの修正を昨年の7月と10月にも行ったのですが、市場はそれを気にもせずに円安が進行していきます。
昔の日本は貿易黒字国でしたが、リーマンショック以降はアメリカの金融緩和によって円高に苦しめられ、生産拠点を海外へ移していった結果、貿易赤字になる年がどんどん増えていきました。
とくにロシアのウクライナ侵攻以降はかなり顕著で、エネルギーや食糧などの輸入価格が上がったことで貿易赤字が膨らんでいきます。
また日本がかつて得意だった家電製品や半導体も輸入超過になっており、いまは自動車だのみみたいな感じになっています。
そんな構造的な円売りドル買いがじわじわ効いてきているため、昨年の7月と10月にイールドカーブコントロールの修正をしても、市場があまり反応しなかったのですね。
そのため、このままの状況だと長期的には円安傾向は崩れにくいとは思いますが、ただ世の中なにが起こるかはわからないので、「ぜんぶドルでいい」というわけにもいきません。
日本で暮らす以上、日々の支払いもありますし、日本円での貯金は必要になります。
バケツ戦略
どれぐらい日本円が必要かという話ですが、ここで何度も取り上げているバケツ戦略を基本にすればいいとは思います。
短期バケツ・中期バケツ・長期バケツの3つを用意し、短期バケツには直近一年分の生活費、中期バケツには子供の学費や家のローンなど今後直近で使うまとまったお金、長期バケツで株式を買うという形ですね。
すでに退職やFIREをしている方は、4%ルールの本の著者がやっているように、中期バケツには5年分の生活費を入れておいてもいいでしょう。
それでこの短期バケツと中期バケツの条件は、「自国通貨で元本が保証されている」ことです。
とくに短期バケツは、一年分の生活費を現金で持っておくことですね。
海外債券を無リスク資産としていいのかという質問が以前ありましたが、海外債券は為替リスクがある以上、元本保証はされません。そのため、これは長期バケツに入れるものになります。
中期バケツに入れていいのは、日本の場合だと定期預金や日本国債ぐらいで、どちらも利率が低くて海外と比べるとあまりうまみはありませんね。あくまで増やすというよりは、まとまったお金をストックしておく、ちょっと増えたらいいなぐらいの感覚でやったほうがいいとは思います。
どちらにしろ短期・中期バケツは直近で使うお金なので、変動の激しい株式や外貨での運用はやめたほうがいいでしょう。子供が大学に入るタイミングで株価大暴落とかしたら、子供が進学をあきらめないといけなくなる可能性もありますしね。
株式投資はあくまで長期バケツでおこなったほうがいいでしょう。長期バケツはあなたの退職後を支えるお金なので、日々の生活費や支払い、生活防衛資金とは完全に分けて考えたほうがいいとは思います。
逆に言えば、短期バケツ・中期バケツを充実させてしまえば、直近の生活リスクはかなり軽減されるので、残りはぜんぶ長期バケツに放り込んでもいいことになります。
それで長期バケツで何を買うかは個人個人でいろいろアイディアがあるとは思いますが、短期バケツ・中期バケツが日本円で充実していれば、米国株が好きだったら長期バケツは米国株だらけでもいいとは思います。
Q太郎も、いまは日本株持っていませんしね。詳しくはこちらの「日本株全部売りました」の動画を参照してください。
要は、大量に届く郵便物が嫌というのが一番の理由なので、これが改善されないかぎり今後も買うことはないとは思います。郵便物に「弊社はSDGsに力を入れています」とか書かれても、「まずその郵便物をやめてください」としか思いません。
そんなわけで、生活の安全確保のため、まずは直近で使うお金である短期・中期バケツを日本円で準備しておくのがいいでしょう。
そうすれば長期バケツで多少のリスクをおかしても、生活自体が立ちいかなくなるというリスクは避けられるとは思います。
とにかく生活の維持が第一で、投資はあくまで余ったお金、余裕資金でおこなうものなので、投資はあくまで余ったお金でおこなうがいいでしょう。
円安でも買い進めるか
それで短期・中期バケツがスタンバイされている状態で、長期バケツで円安の時期に米国株を買っていいかどうかという話ですが、先程も述べたとおり、これはもう自由にしていいとは思います。
まず最優先は生活を守ることなので、それさえ満たしてしまえば、あとは自分がどうしたいかです。仮に失敗したとしても、すぐにどうこうなることはないでしょう。
一時的に円高になることはあっても、このまま日本は長期的に円安が続いていくと思うのであれば買ってもいいですし、短期取引や中期取引がしたいので、直近の日銀の動きやアメリカの大統領選が怖いというのであればしばらく様子見でいいとは思います。
ここで重要なのは投資のスパンと目的ですね。長期投資であれば、株式自体の値上がりがあるので、仮に円高に進んだとしても、為替リスクを吸収できる可能性はあります。もちろん個別株でした0になる可能性もありますが、VTIとかVOOとかのインデックス系ETFならそのリスクも低くなるでしょう。
中期・短期だとリスクは高くなりますで、大統領選が終わってからとか、自分が気になるイベントのあとに買ったほうが、自分自身への納得があるとは思います。株を決算前に買わないのと同じですね。イベントで一気に上下しますので、イベント前に買うとばくちになる可能性は高いです。ばくちをしたければ、イベント前に買うのもありと言えばありです。ここは自分がどういう投資スタイルなのかを理解しておくことが重要です。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・為替は市場の需給だけでなく、イベントでも大きく変化する。読めるわけがないと思っておいたほうがいい。
・まず自分や家族の生活が最優先。生活防衛資金は自国通貨でキープ。外貨は自国通貨から見た場合、元本保証されないので、生活防衛資金にはならない。
・生活防衛ができていれば、あとは長期バケツで自由に投資をすればいい。
・どのスパンで投資するかを意識する。
・長期投資なら、株価上昇が為替分を吸収してくれる可能性は大きいので、淡々と積み立てればいい。
・短期・中期の投資なら、気になるイベント後に投資したほうがバクチになりにくい。
となります。
円安の状況で投資していいかどうかは、短期・中期投資だと基本的には結果論にしかなりません。運が良ければもうかりますし、そうでなければもうかりません。ぶっちゃけ上がるか下がるかの2択のばくちになります。半か丁かですね。
長期投資だったら仮に円高に進んでも、株価の値上がりがそれを吸収してくれる可能性が高いので、淡々と積み立てればいいでしょう。
基本的には為替は読めないものと割り切って、生活防衛資金や子供の学費など、直近で使うお金を自国通貨で確保したのちは、自分の方針で余剰資金を投資していくのがいいとは思います。