【悲報】FIRE後は分配金・配当金より取り崩しが有利すぎる件について【QYLD 2,600万円投資家がわかりやすく解説】
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
以前、QYLDを超えるパフォーマンスの疑似QYLDの話をしましたが、今回はFIRE後で分配金・配当金が不利な理由を深堀りしていきます。
お金をもらえているので分配金や配当金のほうが有利な感じがしますが、結論から言えば、やはり投資信託を取り崩したほうが圧倒的に有利なのですね。
自分で取り崩すのが面倒な人は分配金・配当金という話になりますが、今回は手間や精神論的な部分は省いて、あくまでパフォーマンスとして切り崩しのほうが分配金より圧倒的に有利という話をしていきます。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
分配金か、取り崩しか
話を戻しまして、FIRE後は分配金よりも取り崩しが有利な理由ですが、まず税金が全然違います。
含み益・含み損のどちらでも、自分で取り崩したほうが有利です。
分配金でも株価は減る
まず前提条件として、取り崩そうが、分配金で払われようが、そのぶん株価は落ちます。
たとえば100万円のときに5万円の分配金が支払われれば、株価は95万円になります。
どこからともなく分配金や配当金が湧いてきているわけではありません。払った分は、しっかり株価に反映されます。
自分で取り崩すか、人に取り崩してもらうかの違いでしかありません。
QYLDで12月30日に、いつもより多い0.4994ドルの分配金が払われて、「やったー」とか喜んでいるかもしれませんが、29日のQYLDの終値が22.7ドルで、30日の終値は22.2ドルなので、きっちり株価は0.5ドル落ちているわけです。他人に取り崩してもらっているだけの話です。
そのため、分配金をもらうということは、ようするに株価を取り崩しているわけです。自分で切り崩しているか、他人に取り崩してもらっているかの違いでしかありません。
含み益時の分配金
そこでまず、含み益が出たときのことを考えます。
たとえば株価90万円が100万円になったとします。
ここから10万円の分配金、もしくは配当金が出たとしたら、株価は90万円になります。
手元にくる分配金・配当金ですけど、含み益・含み損にかかわらず、かならず税金が取られます。
まず外国税10%を払って9万円になり、ここから日本の税金である約20%を払うので、およそ7万2000円を受け取ることになります。
確定申告による外国税の還付についてですが、あなたの払った所得税の中から、収入全体に占める外国収入の割合だけ還付されます。
つまりFIRE後に収入がなければ、所得税は0なので1円も戻ってこないということです。
たとえば年収400万円のばあい、所得税は8万円ほどです。そして分配金の外国収入は10万円なので、年収に占める割合としては2.4%ほどでしょうか。
つまり払った所得税の8万円のうち、2.4%が戻ってきます。だいたい1920円ですね。じっさいに払った外国税は1万円なので、大半は戻ってきていません。
当然FIRE後は収入が無くなるので、所得税もありません。
1円も還付されないということです。あくまであなたが払った所得税の中から戻ってくるのです。
するとFIRE後に、外国税がまず不利になります。
それに加えて、さらに20%の税金を払わなければなりません。
確定申告すれば減ると思っている人がいますが、再来年には住民税の申告不要が使えなくなるため、下手に申告すると社会保険料を増やしてしまう結果になります。
そして外国の配当金は、日本のような配当金控除は使えません。
含み益時の取り崩し
次に自分で取り崩した場合、まず譲渡損益なので外国税が不要です。約20%を払えばいいだけです。
そして分配金のばあいは、全額に対して約20%がかかりますが、自分で切り崩したばあい、割合に応じて税金を払えばいいのです。
元本90万円が100万円になって、自分で10万円を切り崩したとします。
するとこの10万円は100万円のうちの10%なので、含み益の10万円のうちの10%に税金がかかります。10万円の10%は1万円なので、これに対して20%の税金ですね。すると税金は2000円になります。
比較するとこうなります。
分配金 10万円
外国税有り:7万2000円(2万8000円)
外国税無し:8万円(2万円)
取り崩し 10万円
9万8000円(2000円)
払っている税金にかなりの差がありますね。もう一度よく見てみてください。
仮に外国税がなかったとしても取り崩したほうの税金の差は10倍です。1万8000円も多く受け取れるのです。
含み損時の取り崩し
さらにいえば、含み損のときも分配金は税金がかかりますが、取り崩しは損失なので無税です。
たとえばさきほどの90万円が80万円になったとします。
分配金や配当金のばあい、10万円を受け取ったら税金を払う必要があります。
しかし10万円を取り崩せば、損失になって無税です。
さらに80万円の中の10万円なので、損失の10万円のうち8分の1の1万2500円を損益通算に利用できます。
比較するとこうなります。
分配金 10万円
外国税有り:7万2000円(2万8000円)
外国税無し:8万円(2万円)
切り崩し 10万円(損失)
10万円(0円、損益通算-1万2500円)
分配金のばあい、元本が損を出していても税金を払わなくてはいけないのですね。取り崩しは無税で切り抜けているところを、分配金のほうは2万円の税金を払っているわけです。
さらに他に利益があれば、切り崩しのほうの-1万2500円を利用して損益通算することができます。
そういうわけで、FIRE後の分配金というのは、外国税も含めて、じつはかなり不利という現実があります。
まとめとQ太郎の見解
まとめとして、90万円が100円になったときの受取金額は、
分配金 10万円
外国税有り:7万2000円(2万8000円)
外国税無し:8万円(2万円)
取り崩し 10万円
9万8000円(2000円)
分配金のほうが10倍もの税金を払うことになります。今後金融所得課税が増税されれば、この差はさらに大きくなるでしょう。
90万円が80万円になったときは
分配金 10万円
外国税有り:7万2000円(2万8000円)
外国税無し:8万円(2万円)
取り崩し 10万円(損失)
10万円(0円、損益通算-1万2500円)
含み益・含み損のどちらでも分配金・配当金は不利になります。
じゃあ、なんで分配金を受け取りたい人が多いかと言えば、自分で取り崩すのが面倒とか、精神的な負担がかかるという人ですね。
もしくは米ドルで受け取りたいという人です。投資信託を取り崩すと、受け取りは日本円ですしね。
投資信託は個別銘柄は売っていませんので、個別銘柄を買って配当金を受け取りたい人もそうですね。
楽天証券だと、定期解約機能があるので、毎月好きな割合で取り崩しをおこなうことができます。
たとえば4%ルールも、年初めに一括で4%取り崩すのではなく、毎月0.3%ずつ取り崩していくといったこともできます。こういう機能をうまく利用すれば、いいでしょう。
100万円を使って、毎月1%を取り崩す疑似QYLDの実験は今後も続けていきます。問題なさそうでしたら、QYLDの損出しついでに資金を一部移すかもしれません。