こんなご質問をいただきました。
「高金利の定期預金を複利で運用するのと、個人向け国債の変動10年では、どちらがお得だと思いますか」
とのことです。ありがとうございます。
銀行の広告を見ると、高い金利が大きな文字で書かれています。
こちらの定期預金は年何パーセント。
国債は年何パーセント。
さらに定期預金には複利という言葉もあります。なんか複利って書いていると増える感じがあるので、それなら、定期預金のほうが増えるのではないかと思います。
反対に、これから金利が上がるなら、半年ごとに金利が変わる国債のほうがよいのではないかとも思います。
結局のところ、未来の状況次第なのですが、ただし、未来が分からないことと、契約内容を確認しなくてよいことはまったく別です。入り口はちゃんと確認しておきましょう。未来予測よりこっちのほうが重要です。
とくに銀行の広告は、結構誤解させるような表現が多いのですね。
年利3%とかデカデカと書いていても、実際は最初の一ヶ月だけで、「それ以降は1%になります」とか、すごい小さな字で下のほうに書いていたりします。「読まないお前が悪い」という話ですね。
そもそも高い金利が何年間続くのか。
複利と言っていますが、本当に複利なのか。
途中で解約すると、利息はどうなるのか。
これらは、未来を予想しなくても、入り口で確認できます。
未来の金利を一生懸命予測しながら、現在の商品説明を読み違えていたら、比較は最初からずれてしまいます。文句を言っても、「読まなかったおまえが悪い」という話です。
そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。
今回は「高金利の定期預金と個人向け国債、どちらが得なのか」を深掘りしていきます。
・三つの話
今日は大きく三つ話します。
一つ目、高金利の定期預金で、最初に確認したい表示と条件。
二つ目、個人向け国債の変動10年について、誤解しやすい仕組み。
三つ目、未来の勝者が分からない中で、何を基準に選ぶのかです。
最後に、安全なお金の置き場所を選ぶとき、Q太郎は何を重視するのか。Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
今回は、通常の円定期預金と個人向け国債の比較です。外貨預金や、特殊な条件を持つ仕組預金は含めません。
・一つ目・高金利はいつまで続くのか
それでは一つ目、高金利の定期預金で、最初に確認したい表示と条件です。
まず、年率と預入期間を分けてください。
ここからの数字は、説明のための仮定です。
年率四パーセント、三カ月ものの定期預金があるとします。
百万円を預けたら、四万円もらえるのでしょうか。
違います。
年率は、一年間に換算した金利です。
三カ月だけ預けるなら、概算の税引前利息は、百万円に四パーセントを掛け、さらに十二分の三を掛けた一万円です。
実際の利息は日数や端数処理などによって変わり、通常は税金も差し引かれます。
銀行のポスターにデカデカと書かれた「年率四パーセント」だけを見て、三カ月で四パーセント増えるとは考えないでください。そこまで世の中はあまくありません。重要なのは、その下あたりに書かれている、やたらとちっこい文字のほうです。
そして、この定期を四回繰り返せば、一年間その金利で運用できるとも限りません。
初回の三カ月だけ特別金利で、満期後は、その時点の通常金利になる商品もあります。そういうのも、ちっこい文字で書かれているはずです。
「新規口座だけ」とか、「新しく入金したお金だけ」とか、「預けられる金額に上限がある」など、条件が付く場合もあります。というか、多くの場合は条件がついています。
同じキャンペーンを何度でも利用できるとは限らないのですし、キャンペーン期間が終わったあとの金利がどうなるかもちゃんと確認しておかないといけないのですね。
次に、定期預金だから複利とは限りません。ここも注意してください。
銀行によって違いますし、同じ銀行でも商品や預入期間によって違います。
元本だけに利息が付く単利型。
所定の周期で利息を組み入れ、その利息にも利息が付く複利型。
満期に元本と税引後利息を合わせ、次の定期へ預け直す元利継続型。
これらを区別する必要があります。
自動継続と書いてあっても、実際は元本だけを継続し、利息は普通預金へ入る場合もあります。
自動で続くことと、利息まで再投資されることは同じではありません。ここは注意してください。
さらに、元本と利息をまとめて継続できても、最初の高金利まで引き継げるとは限りません。
高金利、複利、自動継続。
この三つの言葉が宣伝に並んでいても、その高金利で何年も複利運用できるという意味ではないのですね。
特別金利の条件が、投資信託や外貨商品との同時購入というのもありますし、定期預金の利息だけを見ることもできません。
別の商品購入で払う手数料や、価格変動のリスクまで含めて、一つの取引です。
入り口の高い金利だけを切り取り、国債と比べないことが大切です。というか、金利がやたらと高い場合は、怪しんだほうがいいですね。下のほうにある、ちっこい文字のほうを読んでください。
・二つ目・変動10年も未来の金利は分からない
二つ目、個人向け国債の変動10年について、誤解しやすい仕組みです。
変動10年は、半年ごとに適用金利が変わります。
所定の十年固定利付国債の入札結果をもとにした基準金利へ、0.66を掛けて決まります。
年率0.05パーセントの最低金利保証もあります。
ここで注意したいのは、日銀の政策金利へ直接連動する商品ではないことです。
日銀が利上げするたび、必ず受取利息が増えるわけではありません。
長期金利には、将来の利上げ予想などが先に反映される場合もあります。
正確には、基準となる長期金利の変化を、半年ごとの見直しで取り込む商品です。
今年の九月募集分の変動10年は、初回の適用金利が、税引前年率で1.95パーセントです。
これは十年間保証される金利ではありません。
今後上がることもあれば、下がることもあります。
定期預金の高金利がいつまで続くかを確認するのと同じように、国債の初回金利を、十年分の確定利回りとして計算してはいけません。
また、変動10年は、半年ごとに利息を受け取ります。
その利息が自動的に元本へ組み入れられる商品ではありません。
しかし、受け取った利息を預金などで運用すれば、利息からさらに収益を得ることはできます。自分で投資信託などを買って、複利運用するのですね。投資信託は100円から1円単位で買えますしね。
もしくは1万円以上もらえているのなら、それでまた国債を買うというのもいいでしょう。国債は1万円以上なら1円単位で買えますしね。
そんな感じで、べつに国債だからと言って、複利がないわけではないですし、定期預金だからといって、本当に複利があるかどうかもまた別の話です。定期預金は説明書をちゃんと読んだほうがいいと思います。
再投資するまでの待ち時間や、そのとき使える金利、課税される時期も違いますので、厳密な比較には商品ごとの計算が必要です。
もう一つ重要なのが、中途解約の条件です。これもちゃんと確認してください。
国債のほうは、原則として、発行から一年間は中途換金できません。
一年経過後は換金できますが、直前二回分の税引前利子相当額が差し引かれます。
通常の課税を前提にすれば、おおむね直近一年分の税引後利息に相当する金額です。
そのため、発行から一年経過した最初の換金可能時点ですぐ換金すると、それまでの利息は調整額でほぼ相殺されます。ようするに元本がそのまま戻ってくるに近い感じですね。
元本が守られることと、利息が十分に残ることは別の話です。
こういう定期預金や国債は、普通預金のように、いつでも気楽に引き出せる商品ではないのですね。
・三つ目・勝者ではなく使う時期を考える
三つ目、未来の勝者が分からない中で、何を基準に選ぶのかです。
比較する定期預金の金利が、最初の三カ月だけなのか。
一年間固定なのか。
五年間固定なのか。
それによって、国債との比較結果は変わります。
さらに変動10年の金利が、その後どのように動くかでも変わります。
金利が上がれば、固定金利の定期預金では、その上昇を契約中に取り込めません。
反対に金利が下がれば、以前の高い金利を固定しておいたことが有利になります。
ただし金利が上がったという事実だけで、国債の勝ちが決まるわけでもありません。
定期預金の金利が最初から十分高ければ、国債金利が少し上がっても、期間全体の利息で追いつかない場合があります。
見るべきなのは、最後の金利だけでなく、同じ期間に実際に受け取れる利息です。
満期後の再運用も含めれば、定期預金側も未来の金利から逃れられません。
来年も同じ高金利の商品が見つかるかは、まだ分かりません。
ですから、未来の勝者を当てるより先に、このお金をいつ使うかを考えます。バケツ戦略でいうと、中期バケツの期間をどう考えるかですね。
一年後に支払いが決まっているお金なら、一年定期を満期まで持つ場合と、国債を一年で換金する場合では、換金の調整額が大きな違いになります。バケツ戦略については、これまでいくつか動画を出しているので、それも参考にしてください。
いつ使うか分からず、急に必要になる可能性があるお金なら、普通預金など、すぐ使える置き場所も必要です。これが短期バケツですね。生活防衛資金は普通預金で確保しておいたほうがいいでしょう。
長く使う予定のないお金で、金利の変化へ追従させたいなら、変動10年が候補になります。
使う時期までの利息を確定させたいなら、その期間に合った固定金利の定期預金が候補になります。
自分がどうしたいかですね。
定期預金は途中解約すると、原則として所定の中途解約利率へ変わります。満期の金利を受け取れるつもりで、途中で使う計画を立てないことです。
安全性の確認も、金利とは別に必要です。
銀行が潰れた場合、預金保険の対象となる円定期預金などの補償額は、一人当たり、一つの金融機関で合算して元本一千万円までです。あと、破綻日までの利息などは保護されます。
ただ口座を分けても、同じ銀行なら合算して一千万円です。ここは注意してください。勘違いして、口座を分けて一千万円ずつ預けている人がいたりしますが、意味が無いです。別の銀行に預けたほうがいいでしょう。
あと個人向け国債は預金保険ではなく、日本国が元利払いを行う仕組みです。
数字の大小だけでなく、どう守られ、どう取り出せるお金なのかまで確認してから選ぶのがいいでしょう。
・まとめ
最後に、安全なお金の置き場所を選ぶとき、Q太郎は何を重視するのか。Q太郎なりの見立てを置いて終わります。
高金利の定期預金と、個人向け国債の変動10年。
どちらがお得かという質問には、条件をそろえなければ答えられません。
条件をそろえても、未来の金利が分からない以上、最終的な勝者までは分かりません。
ただ、未来が分からないからこそ、現在確認できることを曖昧にしないほうがよいと思います。こちらは今確認できることなので、ちゃんと確認してください。
年率と預入期間を分ける。
特別金利の適用期間を読む。
単利か複利か、継続するのは元本だけかを確認する。
そして、自分が使う時点で、利息をどこまで受け取れるのかを見る。
未来の金利を予想するより、まず契約書に書かれていることを理解するほうが先です。
Q太郎がこの二つのどちらを選ぶかと言えば、変動十年です。というか、実際に買っています。定期預金はちょっとだけです。
以前も言いましたが、こういう債券や定期預金は、中期バケツの運用です。中期バケツで重要なのは元本保証なので、元本が保証されていれば、正直どちらでもいいわけです。
ウォーレン・バフェット氏も「ルール1:絶対に損をしないこと。ルール2:ルール1を絶対に忘れないこと」と言っていますし、そもそも債券関係は守りの資産です。ゴールキーパーは点を取られないのが仕事であって、点を取ることが仕事ではありません。
Q太郎は、安全資産にまで、将来一番得する商品を当てる役割を背負わせなくてよいと思っています。だから正直どっちでもいいですし、どっちかだったら国債のほうが安全性が高いとは思います。
必要なときに、予定したお金を使える。
条件を理解して、安心して置いておける。
自分で管理できる。
その役割を果たしたなら、あとから別の商品が少し多く増えていても、別にいいんじゃないかとは思います。
投資を始めたばかりのときは利益を増やすことが中心になりますけど、ある程度経験を積んでくると、いかにリスクを減らすかにメンタルがシフトするのですね。
それと以前、未来の自分は結果を見てから平気でダメ出ししてくる、という動画を出しましたので、そちらも参考にしていただければと思います。
未来の自分というクソ野郎は、結果がわかっているので、ひたすら文句を言ってきます。
国債の金利が上がれば、国債にしておけばよかったと言います。
金利が下がれば、定期で固定しておけばよかったと言います。
しかし現在の自分には、その答えは見えません。
現在できるのは、未来の正解を保証することではなく、自分のお金の使い道に合う条件を選ぶことです。
Q太郎の見立てでは、未来の金利は読めませんが、現在の契約条件は読めます。
読めない未来を当てる前に、読める条件を確認する。
それが、今回の質問への一番大事な答えだと思います。
皆さんは、高金利の表示を見たあとで、適用期間や継続条件を知り、思っていた内容と違った経験がありますか。定期預金と国債を、どのような目的で使い分けているかも、よければコメントで教えてください。全部読ませていただいています。
数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。
ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
