株式売買でのヘッジの使い方と注意点ー売りヘッジ・買いヘッジ【米国株投資の基礎】
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
「ヘッジのやり方」についてのご質問があったので、今回はポートフォリオを崩さずに下落相場で利益をあげる「売りヘッジ」(つなぎ売り)や、損出し時の損失を減らす「買いヘッジ」の基礎的な考え方と方法について述べていきます。
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売りヘッジの方法
さて、売りヘッジ(つなぎ売り)についてです。
たとえばいまAという株、もしくはETFを持っているとします。
それで、いまの相場状況が悪くて、短期的にAが下落するのではないかと予想したとき、一つの方法としては、「いったんA株を売却して、安くなったときに買い直す」というのが思いつく方法だとは思います。
しかし長期的にはA株は上がると思っているため、ポートフォリオを崩さずにキープしておきたいとも思っているとします。
それにいったん売却したとしても、いつ買い戻すかなどの問題もあります。
そこで空売りを使ってヘッジをかけます。
たとえばA株が現在1000円だったとして、これから下がると予測したのであれば、持っているA株自体は売らないまま、A株を空売りします。
それで例えばA株が900円になったとしたら、空売りした分を買い戻します。
そうすると、含み損分の100円が利益として入ってくるわけです。
基本的にはいつ買い戻すかは決めず、状況が良くなるまで空売りしたままにしておくというのも一つの方法です。
それで状況がよくなったら空売りを買い戻します。
配当落ち日の前に空売り
よく使われる方法としては、配当落ち日(権利確定日)の前に空売りをしておくという方法です。
配当落ち日を過ぎると株価が下がる傾向がありますので、落ちた後に買い戻すことで利益を得られます。
ただ注意してほしいのは、信用売りをした場合、売り手は配当金に相当する「配当落ち調整金」を支払わなければなりません。
そのため、少なくとも配当金以上の下落がないと利益が出ません。
ここは勘違いしやすいので注意してください。
PO銘柄の売りヘッジ
あまり使うことはないと思いますが、知識として知っておくといいでしょう。
未上場の株の販売を「IPO」といいますが、すでに上場している企業が資金調達のために新株を発行したりするのを「PO」と言います。「パブリック オファリング」のPOですね。
公募価格が決まっており、普通は通常より安く手に入れることができます。
しかし問題として、購入後、一定期間売却することができません。
IPOやPOは、公開後に大きく上がって、その後下がっていくみたいな動きをすることが多いので、一定期間売却できないと、短期的には損失になる場合もあります。
そこで、たとえば1000円で公開され、自分は1300円ぐらいで売却したいと考えているとします。
じっさい、公開されてからすぐに1300円に到達しました。目的は達成しましたが、まだ株を売却していい日数にはなっていません。
売却可能になったときに1300円以下になってしまう可能性もあります。
そこで1300円に到達したときに空売りをし、売却可能になったときに現渡し(持っている現物株を渡す)をします。
そうすると、売却可能になった時期の株価がいくらであろうと、1300円で売ったのとおなじことになります。
損出し時の買いヘッジ
逆に信用買いをつかった「買いヘッジ」についてです。
おもに使われるのは、損出しのときですね。同じ値段で買い戻すために信用買いを使います。
損出し自体についてはこちらを参照してください。
例えば含み損を抱えているA株を、損出しのために1000円で売却します。
損出しは、同日に買い戻すと評価額が平均化され、十分な損失を計上できなくなります。
そのため、買戻しは翌日以降になりますが、そのぶん値動きが出てしまいます。
そこで、売却と同時に、信用買いで同じ株を買い付けます。
そして翌日に、信用買いした株を現引き(現物株に変換)すれば、信用買いしたときの価格で買戻しができます。
注意点ですが、現物・信用にかかわらず、売りと買いを同時発注した場合、不正取引である「クロス取引」とされてしまいます。
楽天証券だとそもそも同時発注できないようになっているので、片方が約定してから、もう片方を注文する形になります。そのため、やはりどうしても価格差は出てしまいますので、そのあたりはあきらめるしかないでしょう。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・長期保有したい株が、短期的に下落すると思ったときには、「いったん売って買い戻す」という方法をとらなくても、空売りをすることでポートフォリオを崩さないで保有を続けられる(つなぎ売り)。
・売り手は、配当落ち日には、配当金に相当する「配当落ち調整金」を払わなければない。安易な「配当落ち日前に空売り」→「配当落ち日後に買戻し」には注意。
・PO銘柄の売却不可期間に目標額に到達したときに、空売りを使って、のちに現渡しをすれば利益を固定できる。
・損出しのときは、売却したあとで信用買いし、翌日以降に現引きをすると、差額を小さくできる。売買を同時におこなうと「クロス取引」になるので注意が必要。
となります。
そんなわけで使い方次第では便利な信用取引ですが、手数料とかもありますので、そのあたりも込み込みで考えたほうがいいでしょう。
個人的に、下がると予想してのつなぎ売りはあまり成功したことがないので、予想に自信があるとき以外はあまり使わない方がいいかなとは思います。