日銀は緩和維持、円安・株高・物価高はさらに進む?【6月日銀金融政策決定会合】
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
日銀は16日の金融政策決定会合において、アベノミクスから受け継がれてきた異次元緩和の維持を決定しました。
会合前から維持するんじゃないかとの予想が多数だったことから、5月あたりからドル円の上昇トレンドはとまらず、一時は142円を突破しました。現在は141円台後半です。
米国の方はFOMCでいったん利上げを停止したものの、利上げ自体はストップさせていません。今後のFOMCで利上げをおこなった場合、さらに日米金利差が拡大して円安が進む可能性もあります。
今回は日銀の政策と、それにともなう円安やインフレ・物価高の進行、株式への影響について述べていきます。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
日銀金融政策決定会合での緩和維持
円安がさらに進む可能性
さて、16日の金融政策決定会合で、異次元緩和の維持が決定された件です。
前述したように、このこと自体は事前に予測されていたため、ドル円は先行して円安方向へと向かっていきました。
今月の13、14日に開かれたアメリカのFOMCですが、利上げをいったん停止するとしたものの、今後の追加利上げの可能性は高いとの予測が大多数となっています。
現在、アメリカのFF金利は5-5.25%になっていますが、市場予想では年末までに5.5-5.75%まで上がるとされており、0.25%ずつの利上げと考えれば、あと1~2回の利上げの可能性が示唆されています。
しかもパウエル議長は、利下げはインフレの顕著な鈍化のあとになるため、「利下げは2年ほど先になる可能性が高い」との見識も示しています。
そうなると、当然日本とアメリカの金利差がさらに開きますので、円安がさらに進む可能性もあるわけです。
現在の時点で142円前後だとすると、下手すると150円ぐらいまで行く可能性も示唆されています。
物価高もさらに進む可能性
今回の日銀の緩和維持は、我々の生活にも影響をあたえます。
アメリカやヨーロッパはインフレを抑えるために利上げをしていますが、日本はまったく真逆の方向へと進んでいます。
日本でも物価高が進んでいますが、これについての質問を投げかけられた日銀の植田総裁は、
「国民の大きな負担になっていることは強く認識している。
ただ物価高の要因は、海外の資源価格などの高騰である。
日本の金融政策で直接どうこうすることはなかなかできない」
と述べています。
これはある意味正しくて、日本は多くのものを輸入に頼っているため、物の値段は海外で決定されてしまいます。
日銀が金融緩和をやめたところで、海外の物価高が止まるわけではないのですね。
ただその一方で、円安が進むことによって、輸入品の価格が上がってしまうという問題があります。
これを防ぐには、やはり利上げして円高の方向へ誘導することで、間接的に輸入品の価格を下げるということをする必要があります。
日本での利上げが危険な理由
アメリカが利上げをできるのは、景気自体は良いからです。
成長力のある企業が多いので、給料もしっかり上がっており、消費も進んでいます。
一方の日本ですが、金融緩和によって成長力が伸びたかといえばまったくそんなことはなく、利益率の低いゾンビ企業が生き残るための養分を与え続けるだけの結果となっています。
どういうことかと言えば、低金利でお金が借りられるのをいいことに、1%以下の低金利でなければ採算が取れないような投資を繰り返すようなことが続いていたのですね。
たとえば5%で借りても、それを元に年間20%とかで儲けられれば黒字になります。
ところが日本の場合、1%以下で借りて、ちょっと利益が出ればいいやみたいな利益率の低い投資をしているわけです。
株式投資において、自己資本をいかに有効活用して利益を稼いだのかをあらわす「ROE」という指標があります。日本企業はこれが絶望的に低いです。
どれぐらい低いかといえば、日本の得意とする製造業で比べた場合でも、アメリカ企業の平均ROEは30近くあるのに対して、日本は5ぐらいです。
これはアメリカ企業がどんどん淘汰されて、強いものだけが生き残っているという状況に対して、日本は金融緩和ドーピングによって利益率の低い企業でも生き残ってしまえるという環境の差でもあります。
日本企業の生産性が低いのは、むしろ金融緩和のせいじゃないかという指摘もありますね。
「低利益率なぶん、ボラティリティが低いので安定性が高い」という意見もありますが、その安定性を支えてきたのが金融緩和ドーピングです。それがなければ低リスク・低リターンはなりたちません。
そんな状況で利上げをした場合、当然借りたお金の金利より利益が低かったら立ち回らなくなりますので、多くの企業が経営難になっていく可能性が高くなります。
さらに、利上げによって日本国債は下がりますので、日本国債を大量保有する金融機関は含み損を抱えることになります。
そうなると地銀が経営難に陥りますし、住宅ローンを組んでいる個人への影響も大きくなります。
そんなわけで、金融緩和継続をするのも地獄、やめるも地獄という、どうにもならない状況が続いていくとは思います。
日本の株高
現実でのインフレや、国民生活が苦しくなっている一方、株式市場は円安が進んだことで、株価が大きく上がっています。
日経平均株価は年初来で31.07%と、強気相場入りしていますね。
買い手のほとんどは外国人投資家です。「円安だし、バフェットが買ったし、とりあえず買っとくか」みたいな感じで現在3万3000円を突破しました。
筆者も日本株はちょっと買っています。昔、まだ1000株が単元株のころに140万円ぐらいで買った「味の素」など、いまは4倍ぐらいの578万9000円になっていて、440万円ぐらいの含み益が出ています。ただこれは優待目当てで買ったものなので売る気はありません。 一生置きっ放しになるとは思います。
以前アップした高配当日本株ポートフォリオもほとんど上がっており、日本株フィーバーみたいな状況です。
来年から新NISAが始まるので、さらに株価が上昇するとの意見もあります。
ただ先程も述べたように、外国人投資家による買いがほとんどなので、いつ手のひらを返されるかという怖さはありますね。
しかし現状のインフレへのリスクヘッジとして、日本株をちょっと持っておいてもいいとは思います。
日本株は100株単位で買うと高いですし、ポートフォリオの調整ができないので、一株から買えるミニ株サービスを利用するのが良いでしょう。
まとめ
日銀が今後金融政策を転換するかどうかはわかりませんが、短中期的には円安が進む可能性は高いとは思います。
これによって日本株のさらなる株高が進む可能性が高くなる一方、物価高騰と円安で輸入品の値段は高くなり、国民生活は苦しくなっていくような未来になる可能性も高くなります。
日本円だけを貯蓄しておくのも危険なので、ある程度の分散投資は必要になってくるでしょう。
来年から新NISAなので、制度をうまくつかいながら投資していくのがよいでしょう。