円安ヘッジならドルだけで十分?|ドル以外の外貨は必要か

円安ヘッジならドルだけで十分?|ドル以外の外貨は必要か
【毎日17時更新中!】たまに午前中にも追加投稿します。円安へ備えるための外貨と、高金利で利益を狙う通貨は、役割が違います。ドル、ユーロ、豪ドル、新興国通貨をどこまで持つべきか、「守り」と「攻め」を分けて考えます。この動画では、・通貨ヘッジは...

こんなご質問をいただきました。

「日本円だけを持つのは不安なので、外貨も持とうと思っています。米ドルだけでよいのでしょうか。それとも、ユーロや豪ドル、新興国の通貨などにも分散したほうがよいのでしょうか」

とのことです。ありがとうございます。

外貨預金の商品を見ると、いろいろな通貨が並んでいます。

米ドル、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドル、南アフリカランド、トルコリラ。

しかも、金利を見ると、新興国の通貨ほど魅力的に見えることがあります。外貨預金で利回り20%とかあったりしますしね。

日本円の預金金利と比べれば、まるで別世界です。いま上がっているとはいえ、せいぜい1%とかの世界です。

「どうせ外貨を持つなら、金利の高い通貨のほうが得なのではないか」

そう考えるのも自然だと思います。

ただ、ここには一つ、かなり大きな混同があります。

「円安へ備えるために外貨を持つ」ことと、「高金利通貨で利益を狙う」ことは、目的が同じではありません。

前者は資産を減らさないためのヘッジです。後者は投資、場合によっては投機です。これは資産を増やすための行動なのですね。

守るために外貨を持とうとしていたはずなのに、高い金利を見た瞬間、儲ける話へ変わっているわけです。。

サッカーでいえば、ゴールキーパーを選んでいたはずなのに、「この選手はシュートも得意らしい」と聞いて、なぜか得点力でキーパーを選び始めるようなものです。

「キャプテン翼」の若島津とか、飛び出していってシュートするような例外もありますが、基本的にゴールキーパーの仕事は、点を取ることではありません。

ゴールを守ることです。

そんなわけで、ようこそ、Q太郎のお金の哲学へ。お金に飲み込まれないための生存戦略を独自の視点で解説します。

今回は「ドル以外の外貨は必要なのか」を深掘りしていきます。

・三つの話

今日は大きく三つ話します。

一つ目、通貨ヘッジは何を守るものなのか。

二つ目、高金利通貨がヘッジにならない理由。

三つ目、円安への備えならドルだけで十分なのかです。

最後に、ゴールキーパーへ得点まで求める必要があるのか、Q太郎なりの見立てを置いて終わります。

・一つ目・ヘッジは儲けるためではない

それでは一つ目、通貨ヘッジは何を守るものなのかです。

日本で生活している人は、収入も預金も年金も、日本円に偏りやすくなります。

日々の買い物は円で行いますので、それ自体は自然なことです。

ただ、日本円の価値が外国通貨に対して下がると、海外から買っている物の値段が上がりやすくなります。

エネルギー、食料、原材料。輸入品だけでなく、それらを使って作る国内の商品にも影響します。

預金通帳に2,000万円と書かれていることは変わらなくても、その2,000万円で買える物が減っていく可能性があります。

そこで、資産の一部を外貨側へ置いておく。

円安・ドル高になれば、ドル資産の円換算額は増えます。円の購買力が弱くなったとき、ドル側がその一部を受け止めます。こうやって、資産全体の価値を落とさないようにするわけです。

ここで大切なのは、どちらが上がるかを当てることではありません。

円とドルを半分ずつ持っていたとして、円安になれば、「もっとドルを持っておけばよかった」と思います。

反対に円高になれば、「ドルなんて買わなければよかった」と思います。

どちらへ動いても、片方が邪魔に見えるのですね。

しかし、それで正常です。

火災保険へ入ったのに火事が起こらなかったからといって、家に火をつけて保険料の元を取る必要はありません。

保険が役に立たなかったことは、悪い結果ではないのです。

ヘッジも同じです。

片方で損をしているように見えるとき、もう片方では環境がよくなっています。

円高になってドルの円換算額が下がっても、円の購買力は上がっています。円安になって円の購買力が下がっても、ドル資産の円換算額は上がります。

両方を持つ目的は、利益を最大化することではありません。

為替がどちらへ動いても、生活と資産が一方向から大きな打撃を受けないようにすることです。

ゴールキーパーが、試合で1点も取らなかった。

それを見て、「今日は何も仕事をしなかった」とは言いません。

ゴールを守ったなら、それで仕事をしています。

・二つ目・高金利通貨という攻撃参加

二つ目、高金利通貨がヘッジにならない理由です。

以前も言ったことがありますが、Q太郎の知人に、高い金利につられて、みんな大好きトルコリラの外貨預金をしていた人がいます。

当時は、1リラが50円ほどだったと思います。

それでいまどれぐらいか見て見たら、1リラが3円少しです。

10分の1どころか、およそ15分の1になっています。

約94%の下落です。

もちろん、そのあいだに金利は受け取れます。

通帳を見ると、利息が増えています。毎月、毎年、数字が追加されるので、得をしているように感じます。

しかし円へ戻すときには、通貨そのものの値下がりが効いてきます。

前線で1点取っているあいだに、自分のゴールへ10点入れられているようなものです。ゴールキーパー、前へ出すぎなわけです。

そもそも、なぜ高い金利を出さなければならないのでしょうか。

通貨への信頼が高く、物価も安定し、誰もが安心して持ちたがるのであれば、極端に高い金利をつけて人を呼び込む必要はありません。

高いインフレ、通貨価値の下落、政策や政治への不安など、何らかのリスクがあるから高い金利が提示されます。

高金利は、危険のないご褒美ではありません。

その通貨を持つリスクへの対価です。

もちろん、新興国通貨で利益が出る時期もあります。

為替の動きと金利収入がうまくかみ合えば、儲かることもあるでしょう。

ただ、それはヘッジとは別の話です。これは「攻め」の話です。

値動きを取りに行き、金利を受け取り、利益を狙っているのですから、投資や投機として判断する必要があります。

「円だけでは不安だから、守りのために外貨を持つ」という目的へ、新興国通貨の高金利を混ぜると、役割が分からなくなります。

ゴールキーパーが突然ゴールを飛び出して、相手陣地へ走っていく。

シュートを決めれば大歓声です。

ただし、そのあいだ、自分のゴールには誰もいません。オーバーラップしてシュートするのは、ゴールキーパーの仕事じゃないわけです。

・三つ目・円とドルだけでよいのか

三つ目、円安への備えならドルだけで十分なのかです。

Q太郎は、日本円以外に通貨を持つのであれば、基本的にはドルだけで十分だと考えています。

以前紹介した『プア・ジャパン』の著者である橘玲さんも、円とドルを1対1で持つことで、通貨のリスクに備えるという考え方を示しています。

ここでいう1対1は、未来の為替を当てるための比率ではありません。

自分の資産が円だけへ偏ることを避け、円が弱くなったときに、反対側で受け止めるための単純な形です。逆相関のものを持つという話ですね。

ドルは現在も、世界の外貨準備で最大の割合を占める通貨です。

国際的な取引や金融市場でも広く使われています。

円安に備えるという目的だけなら、まずドルを持つことで、かなり直接的なヘッジになります。

では、ユーロ、豪ドル、スイスフランなども持ったほうが、さらに安全なのでしょうか。

ドルそのものの下落や、アメリカ固有の問題まで細かく備えたいのであれば、ほかの通貨や金を持つ考え方はあります。

ですから、ドル以外は絶対に不要だと断言する話ではありません。

ただ、通貨の種類を増やせば、自動的に守りが強くなるわけでもありません。

なぜその通貨を持つのか。どのような場面で資産を守るのか。どの程度持ち、いつ円へ戻すのか。

通貨が増えるほど、考えることも増えます。

自分でも役割を説明できない通貨を5種類持っているなら、分散したというより、管理対象を増やしただけかもしれません。

しかも外貨預金では、円から外貨へ替えるときと、外貨から円へ戻すときに為替手数料がかかります。

表示されている金利だけでなく、為替レート、手数料、預ける期間まで見なければなりません。

通貨をたくさん並べた資産表は、何となく国際分散をしているように見えます。

しかし、ヘッジはコレクションではありません。

目的に必要な守備範囲を持っていれば、それでよいのです。

Q太郎の場合は、日本で円を使って暮らしながら、円安による購買力の低下へ備える。

その目的なら、円とドルという単純な組み合わせで十分だと考えています。

・まとめ・ゴールキーパーに得点を求めない

最後に、ゴールキーパーへ得点まで求める必要があるのか、Q太郎なりの見立てを置きます。

ヘッジとは、儲けるためのものではありません。

守りの資産です。

ゴールキーパーが飛び出していって、シュートを決める必要はありません。

あくまでゴールを守ることが目的です。

ところが外貨を選ぶとき、多くの人は金利を見ます。

ドルより金利の高い通貨がある。せっかくなら、そちらを持ったほうが得ではないか。

この「せっかくなら」が、守りを攻撃へ変えます。

円安から資産を守るという目的だったはずが、高い利回りを得るという目的へ、知らないうちに入れ替わっているのですね。

投資として高金利通貨を買うのであれば、それは本人の判断です。

ただし、「これはヘッジだから安全だ」とは考えないほうがよいと思います。

高金利通貨を選んだ時点で、その資産はゴールを守る選手ではなく、得点を狙う選手へ変わっているかもしれません。

Q太郎は、ヘッジには退屈さが必要だと思います。むしろ退屈でいい。

大きく儲からない。持っていても話題にならない。片方が上がれば、もう片方が下がるので、いつも少し損をした気分になる。

それでよいのです。

どちらへ転んでも致命傷にならないことが、利益だからです。

ドル以外の通貨を持つことが悪いわけではありません。

ただ、その通貨は何から自分を守っているのか。それとも、高い金利を得るために買っているのか。

そこは分けて考えたほうがよいでしょう。

ゴールキーパーを選ぶときに、得点ランキングを見る必要はありません。

守ってほしいゴールが何なのか。

まずは、そこから決めればよいのだと思います。

皆さんは、円以外にどの通貨や資産を持っているでしょうか。また、高い金利につられて外貨を買い、為替差損に驚いた経験はありますか。よろしければコメント欄で教えてください。全部読ませていただいています。

数字を味方に。そして、誰の欲望でもない自分の人生を、自分の手で耕していきましょう。

ではまた、Q太郎でした。この動画を気に入っていただけましたら、高評価・チャンネル登録をよろしくお願いいたします。

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