「暗号資産の保有者はサイコパスが多い」という研究結果について【ビットコイン/イーサリアム】

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angou shisan

新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。

今回はトロント大学とマイアミ大学の共同研究で、8月31日のブルームバーグの記事でも取り上げられた「暗号資産の保有者、サイコパス的特質を示す可能性が高い」についての話題です。

本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。

暗号資産ホルダーはサイコパスが多い

さて、トロント大学とマイアミ大学の学術論文で、「暗号資産保有者はナルシシズム、マキャベリズム、精神病質、サディズムといった「ダーク(ブルームバーグの記事では「暗鬱」と表現)」な特性を相対的に高いレベルで示す傾向がある」との研究結果が、科学誌プロス・ワンで発表されました。論文の方は「プロス・ワン」のサイトで読めます

なんか暗号資産ホルダーに恨みでもあるのかというぐらいにボロカスに言いまくっている感じもありますが、このことについて、ブルームバーグの8月31日の記事でとりあげられています。

それでブルームバーグの記事の書き出しの文章ですが、「暗号資産に夢中になっている友人は、実はサイコパス(精神病質者)ではないかと疑ったことがないだろうか。だとすれば、決して的外れな想像ではないかもしれない」となかなか刺激的な文章になっています。

この学術研究の調査方法ですが、2001人を対象にして心理テストを行っています。具体的には男性900人、女性1,101人、平均年齢48.54歳、学士号以上43.58%といったところです。ちょうどばらつくような感じでやっていますね。彼らが暗号資産を持っているかどうかについては「はい・いいえ」の自己申告でおこなっています。

この結果、30%の人が暗号資産を保有していました。割合としては結構多いですね。アメリカ自体がそれだけ暗号資産がポピュラーになっているとも言えます。また保有者の平均年齢も38.38歳と、サンプル群の平均年齢48.54歳から10歳も若くなっています。

ただアメリカでは75%の人が「暗号資産は安全ではなく信用できない」という調査結果もあるので、市民権を得ているというほどでもないとは思います。受け入れられる人と、受け入れられない人で、極端に分かれている感じですね。

サンプル群の3割の暗号資産保有者の傾向としては、保有していない7割と比べて男性が多く、教育水準や収入が高く、信仰心が強い傾向にあります。ただ白人・黒人・ヒスパニックなど、人種的な特性に強い相関は見られませんでした。

心理テストの結果

心理テストの結果ですが、全体の3割を占める暗号資産保有者は、

・カオスを求める性質
・パラノイア
・統合失調症的な特質
・独断主義
・被害者意識
・心理的リアクタンス

などの指標で、高スコアをたたき出していました。

心理的リアクタンスというのは、ようするに反発のことでしす。例えば人から何か言われたときに反発しやすい人たちのことにもなりますね。

基本的に人間は、自分の自由を制限されたくない生き物です。人から指示されたり命令されたりすると、たとえ正しいことでもやりたくないわけです。親が「宿題やりなさい」とか「片付けしない」とか言えば反発したくなりますし、とくに「いまやろうと思っていたのに」というタイミングだとやる気がそがれてしまうわけです。

これは自由意思でおこなおうとしていたことを、相手の指示や命令によって「他人の意思」でやることに置き換えられてしまったため、自由を制限されたと感じてしまってやる気をそがれるのですね。

そんなわけで人間は基本的に人からの指示や命令、アドバイスに対しては大なり小なり反発する傾向がありますが、暗号資産保有者はこの心理的リアクタンスが大きいとの結果が出ています。

これはその人のプライドの高さも関係してきますが、基本的に暗号資産は国家の管理を受けない資産であるため、自由の制限に対する反発の強い人たちに好まれる傾向があります。

まあ、でも実際のところ、国家の束縛云々よりも、「もうかりそうだから」という程度の理由で買ってる人は多そうですね。日本人で暗号資産を買っている人たちの大多数はこっちじゃないかとは思います。

政治的信条

それと暗号資産購入者の政治的傾向としては右派と左派が混在しており、わずかにリベラル寄りというだけで、どちらかが極端に多いというわけでもありません。バイデン大統領やトランプ氏の支持者かどうかについても混在しており、暗号資産保有者が特段トランプ氏を支持していたり、バイデン大統領を支持していたりというわけでもないようです。

ただ暗号資産所有者の「国家ナルシシズム」や「キリスト教ナショナリズム」「政治への信用」「政治的関心」に関しては正の相関があり、このあたりは愛国心やキリスト教主義の強いアメリカらしいとは思いました。暗号資産保有者だからといって、反国家というわけではないのですね。また全体的な傾向としては「非左派的政治的態度」になっており、右派にしろ左派にしろ愛国者が多いという感じです。日本だと、左派というと反ナショナリズムみたいな感じのとらえられ方をされてしまいますしね。

また暗号通貨所有者は、右派・左派のばらつきはありますが、それらの派閥の過激なグループを支持しやすい傾向にあります。右派は右派のほうに極端で、左派は左派のほうに極端みたいな感じですね。ポピュリズム的傾向も強く、陰謀論を信じやすい傾向も見られます。

それと社会への信念ですが、暗号資産保有者ほど政治参加の傾向が強くなります。その一方で、口論になる、他の人と意見が合わないときに対立を激化させる、政治的暴力に参加するなどの、問題のある対人関係や政治活動と正の相関関係が見られました。

メディアの使用に関しては、暗号資産保有者ほど新聞やニュースなど伝統的な主流メディアよりも、テレグラムやReddit、ブログなどでの情報収集に強い関心を示しています。日本でいうところの「ソースは2ちゃん」みたいな感じですね。TwitterことX、インスタ、Youtubeなどの主流SNSに関しては中程度の関心で、情報収集先がより先鋭化している形になっています。

 

結論

論文の結論としては、「暗号資産保有者ほど非規範的・不適応な特性を持つ傾向にあることを、研究結果が示唆している」としています。

具体的には「暗号通貨を購入した個人は、平均して陰謀論を信じ、過激派グループを支持し、ポピュリスト的な感情を共有する可能性が高いこと」、また「肯定的感情と否定的感情の両方のレベルが高く、非標準的な性格特性があること」を挙げています。

ようするに「極端な思考をする傾向にある」ということですね。

利用するメディアも非主流メディアが中心になる傾向が高く、日本で言うところのいわゆる「2ちゃん」とかが中心になっている感じです。「Qアノンとかの陰謀論を信じやすい傾向にある」のもこのあたりの問題とつながってきますね。ようは「偏ったところで偏った情報を収集してしまっている」ということです。自分に都合のいい偏った情報ですね。

ちなみにこの研究結果を受けて、ブルームバーグの記事では暗号資産トレーダーのクリス・ウィーラー氏のX投稿を載せており、「こんな研究しなくても、俺は自分がサイコパスだということをよく知っている」と述べています。「1日で100万ドル増えたかと思えば、すぐに100万ドル減るような世界では、正気ではやっていけない」とのことですね。

論文のしめくくりとしては、「我々は現在政治制度であれ金融市場であれ、既存の権威が攻撃されている時代に生きている」としており、これらが今後の「経済の不安定性」を引き起こす可能性があると示唆しています。

暗号資産はある意味、これまでの権威であった国家発行の通貨に対するアンチテーゼのようなものです。今後このような「権威を脅かす存在」が増えるにつれ、経済的な不安定性も増えていく可能性があります。

昔のように、単純に右肩上がりに株価が増えていく時代がこれからも続くかどうかはわかりませんが、どう転んでもいいように、バランスよく備えておくのがいいかなとは思います。