米国株の売買・配当金受取を円貨決済にした理由【米国株投資】
新NISA一括投資→即毎月定率取り崩し運用中のQ太郎です。
今回は、米国株や米国ETFの売買や配当金受け取りをすべて円貨決済にしたほうがいいかどうかについてです。
本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
米国株配当金の円貨受け取り
さて、確定申告の時期ということもあり、こんな質問が寄せられました。情報共有もかねてご紹介します。
「初めまして。以前、Q太郎さんの為替損益の動画を拝見いたしました。
この為替損益計算の動画ですね。
ドルで受け取った配当金で米国株を買った場合、毎回為替損益の計算が発生すると動画で言っていたのでそのとおりにしているのですが、これがけっこう大変です。
とくに売買が激しいと、計算しなければならない数が多くなります。
もし配当金を円貨受け取りにすれば、確定申告で為替損益の計算をしなくてもすむのでしょうか。
また今後、米国株を買うときや売るときもぜんぶ円貨決済したほうがいいのでしょうか。
ドル転や円転の費用を考えると、ドルであつかったほうがお得だとは思いますが、手間を考えるとすべて円貨でやってしまったほうがいいとも思えてきました。
Q太郎さんがいまどうしているのか、教えていただければ助かります」
とのことです。
結論から言いますと、Q太郎はこれまでずっとドル受け取りをしていました。米国株を買うときも、配当金で受け取ったドルで米国株を買っていました。
ドル受け取りにした配当金で米国株を買った場合、ドル転の費用はかかりませんのでその分お得になります。
ただし、ドルをべつのものに変えた場合、為替損益がかならず発生します。そのため、その計算を毎回やるのがけっこう面倒なのですね。
そのため去年の暮れあたりから、すべて円貨決済に変えました。
分配金も、楽天証券だと円貨受け取りができますので、設定を変更して円貨受け取りにしました。
また米国株やETFを買うときも、これまではいったん日本円をドルに換えて、それから米国株を買うということをしてきましたが、いまは日本円で直接購入、売却時も日本円での受け取りにしています。
これで現在は、為替損益の計算という苦行から解放されたのですね。
為替損益
ここでよくある勘違いとして、「受け取ったドルで米国株を買っても為替損益が発生しない」というものです。
配当金で受け取ったドルで米国株を買ったら、為替損益が発生します。
重要なことなのでもう一度言います。配当金で受け取ったドルで米国株を買ったら、為替損益が発生します。
この為替損益は「雑所得」となり、場合によっては確定申告をしなければなりません。
これはかなり注意してください。とくに仮想通貨でこれをやってしまうと、あとで莫大な税金を請求されることがあります。というか、そういう事件がありました。
以前の為替損益の動画でこの質問が多かったので、どういうことかきちんと説明します。
まず1ドル100円のときに、配当金として100ドル受け取りました。これは「ドル購入」となります。日本円換算だと1万円になりますね。
そして1ドル120円になったときに、100ドルを使って米国株を買ったとします。
そうなると、100ドルが口座から消失しますので、「ドル売却」になります。1ドル120円なので、12000円で売ったことになるのですね。
10000円で買ったものが12000円で売れたのですから、為替損益は+2000円になります。これが雑所得になります。
ドルが別の形に変わった時点で、為替損益は発生するのです。
これはビットコインなどの仮想通貨でも同じことです。
ビットコインのケース
たとえばAさんがビットコインをつかって、他の仮想通貨を買うというケースを考えてみます。
1億円分のビットコインを購入して、それが半年で2億円になったとします。
Aさんはこの2億円のビットコインを使って、他の仮想通貨、たとえばモナコインを直接購入したとします。乗り換えというやつですね。
しかしこの場合、ビットコインで1億円の利益が出ていますので、その分の税金を払わなくてはなりません。先ほどのドルとおなじで、ビットコインが別の形に変わった時点で損益計算しないといけないのですね。
税金ですが、利益1億円だとだいたい半分ぐらい持っていかれますので、5000万円ぐらい納める必要がありますね。
しかし売った人は、このことを知らなかったとします。
で、翌年に2億円分のモナコインがズドンして2000万円になりました。
その人は、もともと1億円投資したものが2000万円になったから損失は-8000万円で、税金を払わなくてもいいと思うかもしれません。
ところが昨年ビットコインが2億円になったときに、それでモナコインを買っているので、清算されたビットコインの利益1億円分の税金はとられるわけです。
そのため、確定申告では、前年の税金である5000万円の税金を納めなければならないのです。
わかりやすくすると、2億円のビットコインでモナコインを買ったと考えるのではなく、
ビットコイン1億円→2億円で売却
その売却した2億円でモナコインを購入
と2段階になっているわけです。
だから正しくは、
前年の利益 1億円→2億円(+1億円。ビットコインの利益)
今年の利益 2億円→2000万円(-1億8000万円。モナコインの損失)
となります。
モナコインは損失が出ているので税金を払う必要はありませんが、問題は前年のビットコインです。1億円の利益が出ているので、税金として約5000万円払うことになります。
ところが手元にはモナコイン売却で得た2000万円しかありませんので、さあどうしましょうという話になるのですね。
これはビットコインをドル、モナコインを米国株に置き換えていただければ、なぜドルで受け取った配当で米国株を買うと為替損益が発生するのかが理解できるとは思います。
ちなみに仮想通貨は雑所得であり、雑所得の損失は翌年に繰り越せません。
つまりここで出した-1億8000万円の損失は翌年に利用できないのですね。
仮想通貨が税金的に不利なのもここにあります。株式だと損失は3年間繰り越せるのですけどね。
Q太郎が仮想通貨をあまり好きじゃないのも、税制的に不利だからです。一億円稼いでも半分とられますしね。
最近はみんな大好きブラックロック社からビットコインのETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト」ティッカーシンボル「IBIT」が登場したので、買うのであればこっちのほうがいいですね。日本でもそのうち買えるんじゃないかとは思います。
配当金の円貨受け取り
ここまでの話で、配当金のドルで米国株を買うということは、そのたびにドルを清算することになるので、為替損益が発生するということは理解していただけたかと思います。
そこで、ドル受け取りではなく、円貨受け取りにしてしまえば、当然ドルの売り買いはなくなりますので、為替損益の計算はしなくていいことになります。
楽天証券だと円貨受け取りに設定できますので、個人事業主など雑所得がちょっとでも発生したら確定申告しなければならない方は、円貨受け取りのほうが面倒がなくていいとは思います。Q太郎も去年の暮れからそうしています。
そのため、今年は為替損益を計算しなくて楽だなと思っていたのですが、やってくれました楽天証券、1ドル未満の小銭がぶち込まれていました。
なんでも前回支払った配当金の一部で不足分があったので、その不足分をご丁寧にドルで支払ってくれたのですね。これで為替損益計算確定です。
ちなみに「配当金を受け取ったときにすぐ外貨MMFを買えば為替損益が発生しない」という方もいますが、これはどうかと思います。
というのも、配当金を受け取ったときの取引報告書には配当金が発生した日にちと、確定申告用の為替レートが書かれています。「口座に入った日」ではなく、「配当金が支払われた日」なのですね。つまり利益が発生した日です。
そして外貨MMFの購入も休日などで営業日をまたいでしまったりなどする場合もあります。外貨MMFの取引報告書にも確定申告用為替レートがありますので、それを利用すればいいでしょう。
そういうのを昔まではちまちま計算していたのですが、さすがに年齢的にも面倒くさくなってきて、昨年の暮れあたりにやめたということです。
為替コスト
さて、ここで多くの人が「ドル受け取り、ドル払い」しているのは、為替手数料のコストダウンをしたからです。Q太郎もそうでした。
たとえば楽天証券だと、日本円で直接米国株を買い付けたばあい、0.495%の売買手数料に加えて、1ドルにつき25銭の為替手数料も必要になります。
たとえば100ドルの米国株を買った場合、日本円換算で15000円なので、売買手数料はだいたい75円になります。
これに、100ドル分の為替手数料があるので、25銭×100でだいたい25円。合わせて100円ぐらいですね。
ようするに15000円分の米国株を買うと、100円の手数料が取られるということです。そうなると手数料はだいたい0.66%ぐらいですね。
それで為替手数料ですが、これを自分で直接ドル転することによって、浮かせるという方法があります。
楽天証券やSBI証券だと、いまならリアルタイム為替取引で0円にすることができます。ただそれで変えたドルで米国株を買えば、当然為替損益が発生しますので注意が必要です。
会社勤めで給与所得の方は、雑所得含め20万円以下なら確定申告不要なのであまり気にしなくてもいいかもしれませんが、Q太郎のような個人事業主は注意が必要になりますね。
実際お得なのか
それでもう一つの問題として、「為替手数料0円は実際お得なのか」という問題です。
というのも、リアルタイム取引はタイミング次第で高くなったり安くなったりしますので、そのブレを考えると「べつに日本円で直接買っても大した違うはなくない?」ということです。
たとえば片道1ドル25銭とすると、1ドル150円だったばあい、この25銭というのは150円に対して0.16%です。
0.16%なんか、ドル転するときのタイミング次第ですぐに動いてしまう程度のブレです。
そのため頑張ってドル転して、そのドルで米国株を買ってとやっても、そのドル転からの米国株購入までの操作のラグで、直接日本円で買ったときよりも本当に安いのかみたいな疑問も湧き上がってきます。
日本円→米国株
日本円→ドル転→米国株(タイムラグ発生)
ドル転の時間を挟むので、そこから米国株買うまでの時間で0.16%ぐらい動くことあるんじゃね?苦労しているわりに、下手したら損することもあるんじゃね?みたいな疑問ですね。
そんなわけで、苦労するわりに本当に得かどうかが不明な点や、為替損益計算の面倒くささから、あえてドルをあつかう必要がないのではないかということで、Q太郎は米国株の購入も売却も、配当金の受け取りも、すべて円貨決済でおこなっています。
まとめ
そんなわけでまとめると、
・配当金で受け取ったドルで米国株を購入すると為替損益が発生する。場合によっては確定申告が必要(とくに個人事業主)。
・円貨決済をすれば為替損益の計算をしなくてすむ(だけど楽天証券は配当金の不足分をドルでぶち込んでくるので安心はできない)。
・日本円で直接米国株を購入すると、為替手数料は1ドル25銭。1ドル150円で計算すると、25銭は0.16%。わざわざドルに換えるのが得かどうかは、タイミング次第で変わってしまう可能性もある。
そんなわけで、コストを下げるためにわざわざ頑張ってドル転する必要があるのかが微妙なところだったりします。
ドル転から米国株購入までにラグが発生しますし、本当にコストが下がっているかどうかはタイミング次第ですしね。
そんなわけでQ太郎は為替損益の計算をしたくないと、わざわざドル転する必要があるのかの疑問からので円貨決済にしましたが、今年楽天証券にドルをぶち込まれてしまったので、外貨MMFを購入して為替損益の計算をしたいと思います。