ドル円は円高方向も、ヘッジファンドは円売りポジション【米国株投資】
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
一時落ち込んでいたS&P500ですが、週末にかけて上昇していきました。5日間で+1.37%ですね。
景気悪化での利下げが近いとの読みもありますが、やはり市場の強欲さというか、楽観主義がまだまだ支配的な感じがあります。ただ4000台の回復はならず、現在は3970.99となっています。
ドル円のほうは131円前後をうろついている状況ですね。金融不安から一時130円前後まで落ち込みましたが、利上げやさらなる悪材料がとくにないことからドルの買い戻しが進んでいます。
全体的な流れとしては円高傾向ですが、その一方でヘッジファンドは円売りポジションを9カ月ぶりの水準まで増やしています。今回はその話題です。
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トレンドは円高も、ヘッジファンドは円売り
さて、現在のドル円です。全体的なトレンドは円高になっています。現在はドルが上昇していますが、移動平均線でぶつかってまた円高方向へ行きそうな感じもあります。
そんななか、ブルームバーグに「ヘッジファンドが円のショートポジションをとっている」との記事がありました。
円のショートポジションとは、ようするに円を売って円安に賭けているということですね。
米商品先物取引委員会が公表した21日までの1週間の最新データによれば、レバレッジドファンドの売り越しは昨年6月以降で最も大きくなったとのことです。
昨年6月といえば、130円台を突破したときですね。
その後、ドル円は順調に円安方向へと進み、最大で1ドル150円あたりまで上っていきました。
今回も130円台なので、ヘッジファンド的にこのあたりが円売りポイントなのかもしれません。
スイス大手投資銀行UBSによる、おなじくスイス大手銀行であるクレディスイスの買収がおこなわれることになりましたが、金融不安はおさまっておらず、「安全資産」といわれる円を買う動きが進んでいました。
そんな状況でどうしてヘッジファンドが円売りを進めているのかですが、ゴールドマン・サックス・インターナショナルのカマクシャ・トリベディ氏は、
「米経済のファンダメンタルズは堅調だ。
特に米経済成長の回復力、FRBの強気が今後も続き、円が再び弱含む根拠ととらえている。そのため、我々は円高の広がりに抵抗していた。
極めて短期的に、円安への反転があると現時点で見ている」
と述べており、今後は円安方向へ進むのではないかと予想しています。
一方で、外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は、
「市場は不安定な状況が続いている。
週末に悪いニュースがないことが良いニュースということで、円売りに傾く場面があってもなかなか続かない。
米金利の上下動をにらみながらの動きになっている」
と述べており、現在円安方向へ進んでいるのは一時的だとしています。まだまだドルは弱含みだという読みですね。
NBCフィナンシャルマーケッツ・アジアのデービッド・ルー氏は、
「方向感が出づらくなっている。
月末かつ年度末で実需主導で市場参加者が少なくなっていることも、機械取引主導で上下する状況につながった。
一方で、米銀行不安も新たにネガティブな材料が出てきておらず、相場全体に一服感がある。
130円割れの後は、調整のドル買いが入りやすい」
と述べています。
まとめ
「今後の経済悪化からの利下げも手伝い、ドル売り・円買いの円高方向へのトレンドは変わらない」
という円高派がいる一方で、ヘッジファンドは、
「米経済は堅調でインフレはそう簡単におさまらない。
FRBも強気なので利上げは今後も続き、130円をタッチしたドル円は円安方向へ進む」
と、短期的な円安方向への動きを読んでの、円のショートポジションをとっています。
先程も登場した外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏ですが、現在の状況では円高・円安に対しては中立の立場をとっていますが、金利先物市場の利下げ織り込みは行き過ぎとの見方を示しており、
「今後の米経済指標などで揺り戻す動きが出て、6月に利下げをするという観測が9月に後退するだけでも、ドル高の原動力になりそうだ」
と述べており、今後の経済指標結果によっては円安方向へと進むとしています。
ただ、アメリカのペースが速すぎる利上げに今後銀行がついていけるのか、リセッション(景気後退)が訪れるのではないかとの懸念は払しょくされたわけではありません。
米国市場は金融不安にもかかわらず週末に株価が上がったことから、いまだ楽観主義的というか強欲状態になっているとは思います。「悪いニュースがこれ以上なければとりあえず買っとけ」といった感じですね。
投資する側にとっては、こういう楽観主義的な市場は強さがあって好ましいのですが、正直どこまで続くかわかりません。
破綻したシリコンバレーバンクについては、アメリカのファースト・シチズンズが買収し、全預金とローンを引き継ぐこととなりました。
大手銀行がどこも手を挙げなかった中での、中堅地銀のファースト・シチズンズが手を挙げてきたので、「ファースト・シチズンズにそんな力があるのか」みたいな不安もあります。
不安要素は依然多く、今後どう転ぶかは読みにくいところなので、時間分散しつつ、新NISAのはじまる来年まで十分なキャッシュを確保しておいたほうが安全とは思います。