楽天証券 米国株式信用取引をわかりやすく解説ー手数料・ルール・メリット&デメリットも
QYLD全力太郎ことQ太郎です。
今回は7月から開始する楽天証券の信用取引についてです。
前回の動画で、Q太郎はITバブルのころに信用取引をしまくっていた話をしました。詳しくはこちらを参照してください。
今回、米国株人気から、楽天証券が米国株での信用取引も始めました。
申込み自体はすでに始まっています。日本株のほうですでに信用口座を開いている方も、米国株のほうでも信用口座を開かなければなります。
というのも、日本の信用取引とルールの違う部分もあるからです。これもあとで説明します。
そんなわけで今回は、米国株の信用取引についての基礎知識や、メリット&デメリットの話です。本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから。
米国株式の信用取引
さて、信用取引というのは、手持ちの現金が少なくても、「他人からお金や株を借りる」という方法で、低い資金で売買をおこなえるというものです。
株を買う時はお金を借りて、空売りするときは株を借りるということですね。
お金は借りた分の利子を払います。
株を借りた場合、貸している方は、貸している日数によって、その分の賃貸料をもらえるということですね。
わかりやすくいうと、CDやDVDをレンタルするか、それとも買うかという違いです。レンタルのほうが安いのは当然かと思います。いまCDやDVDを使っている人がどれだけいるかわかりませんが。
借りたということはいずれ返さなければなりません。楽天証券は原則「無期限」とのことですが、その間はずっと利子を払い続けることになります。
楽天証券はお金を借りる場合の年率は「基準金利+3.5%」、株を借りる場合は年率2.0%になっています。
これ以外にも事務管理費とかの手数料がかかるのですが、これらは当面無料とのことです。
委託保証金率
当然、何の担保も無しにお金や株を借りることはできません。
貸してる方も、借りパクされたら困りますしね。
そこで現在証券会社にある現金や株などを担保にして、現金や株を借りることになります。
これを委託保証金といいます。
それで借りる金額によって、どれだけ委託保証金が必要なのかを「委託保証金率」といいます。
日本の法律では「30%以上」と決まっています。
たとえば委託保証金率が30%なら、100万円を借りるのに、口座には30万円必要と言うことです。レバレッジでいうと3倍以上の取引ができるということですね。
それで楽天証券ですが、日本株のほうは30%なのですが、米国株の場合は50%になります。
つまりレバレッジは2倍までですね。100万円借りるのに口座には50万円必要です。
また楽天証券は最低委託保証金として、315,000円が要求されます。ドルの場合はその日の為替で日本円換算した額が315,000円以上ということになりますね。だいたい30万円ぐらいと覚えておけばいいでしょう。
追証
次に「追証」の話です。
たとえば50万円を担保に、100万円の株を買ったとします。
そのあとで株が75万円になったばあい、-25万円ですので、あなたの担保の50万円は25万円になるわけです。
そうなると100万円借りたのに、現在は25万円しか持っていないことになるので、委託保証金率は25%になります。
楽天証券では、外国株の信用取引のばあい、30%を下回ると、30%に回復するまでお金を追加する必要があります。これを「追証」といいます。
この場合は5万円の追証が必要になりますね。
レバレッジかけすぎて破産する人は、この追証が払いきれなくなるからですね。
強制ロスカット
楽天証券の米国株信用取引の特別ルールとして、「強制ロスカット」があります。
これは日本株のほうではないルールですね。
どういうことかというと、委託保証金率が10%を下回ったとき、証券会社側が強制的にロスカットをおこなって手じまいしてしまうというものです。
金額が足りなければ、あなたの保有する別の株も売却したりなど、とにかくあらゆる方法でお金を取りに来ます。
なぜ米国株の方だけにこのルールがあるかと言えば、米国市場にはストップ安・ストップ高がないからですね。一日の変動が大きいので、楽天証券のほうでロスカットがおこなわれるわけです。
売買手数料
売買手数料ですが、約定代金の0.33%と、けっこういいお値段です。
ただ上限が16.5ドルなので、取引量が大きければ問題にはならないかと思います。
信用取引のメリット・デメリット
それではメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
メリットその1は、やはり少ない資金で銘柄のバリエーションを増やしたり、レバレッジをかけたりできることです。
とくに分散投資で十分な資金がない場合には重宝しますね。
ただ委託保証金率は50%なので、せいぜい2倍までですけどね。
メリットその2は、売りから入れることです。
相場と言うのは上昇だけでなく、下落もあります。そんな場合でも利益を取りにいけるのは、信用取引の醍醐味ですね。
メリットその3は、ヘッジがかけられるということですね。
空売りが使えますので、たとえば保有している銘柄がそろそろ落ちると思えば、銘柄を保有したまま空売りを仕掛けて下落リスクをヘッジしておくことができます。
下落相場のだまし上げ対策として使ったりもできますね。
一獲千金の印象の強い信用取引ですが、使い方次第では防御にも使えます。
ただヘッジをかけたあとに上がり続けたら、利益と損失が相殺されてなにも利益が出ないということもありますので、けっきょくは相場を読む力が必要になります。
デメリット
デメリットその1ですが、投資リスクが上がるということです。
リスクと言うのは、この場合は変動幅、つまりボラティリティですね。
2倍の取引をするのですから、ボラティリティも2倍になります。
もうかると損するの度合いが2倍なるということにもなります。
デメリットその2は、「空売りは青天井」です。
買いのばあい、100万円の株が最悪0円なっても、最悪100万円しかそんしませんが、100万円を空売りしたばあい、100万円以上あがっていくと、損失もそのままどんどん上がっていきます。
株価に上限はありませんから、損失にも上限はないということですね。
ただ強制ロスカットが入りますので、損失はおさえられるとは思います。
デメリットその3は、ヘッジをかけても上手くいくとはかぎらない。
保有銘柄に対して売りでヘッジをかけたあとに上がり続けたら、利益と損失が相殺されてなにも利益が出ないということもあります。けっきょくは相場を読む力が必要になります。
配当金・分配金について
これ以外にも覚えて欲しいのは、信用売りは配当金を支払う必要があるということです。
当たり前と言えば当たり前ですが、配当金が支払われると株価はその分落ちます。
信用売りからすればその分利益が出るので、配当金分を証券会社に支払わなければなりません。いわゆる「配当落ち調整金」ですね。その日になれば勝手に口座から配当金分の金額が引き落とされますので注意してください。
信用買いの人は、逆に証券会社から配当落ち調整金を受け取ることができます。ただし現地源泉税をの10%と、日本での15.315%の税金が取られます。
またこれは配当金相当額を受け取っているだけで配当金では無いので、雑所得あつかいになります。場合によっては確定申告が必要なので注意してください。
現引き・現渡について
また現引、現渡というものもあります。
信用買いで買った株を「現物が欲しくなった」というときに、それ相当の金額を払うことで現物に変えることができます。ガチホしたくなったときに使う物ですね。
逆に「現渡」ですが、信用売りをした銘柄を、保有している現物株を渡すことで清算することです。売りのヘッジに失敗した時とかに使いますね。
これらも上手く使っていくといいでしょう。
まとめとQ太郎の見解
まとめると、楽天証券の信用取引の年率は、
信用買いは「基準金利+3.5%」、信用売りは「年率2.0%」になります。
委託保証金率は50%、最低委託保証金は31万5000円です。
委託保証金率が30%を下回ると追証が発生します。また10%を下回ると強制ロスカットになります。
取引手数料は0.33%、上限は16.5ドルです。
以上は現時点での予定なので、あとで変更になる可能はあります。実際の取引時には楽天証券のサイトを参照してください。
信用取引のメリットは、
・少ない資金で幅広い取引ができる。
・売りから入れる。
・ヘッジをかけられる。
デメリットは、
・売買リスクが大きくなる。
・信用売りの損失は青天井。
・ヘッジをかけても上手くいくとはかぎらない。
そんなわけで、信用取引を便利と考えて使うのか、リスクが大きくなるだけと考えて使わないのか、すべてはあなた次第ということです。
上手い人はすごく稼げますが、現時点で含み損の人は、その損失がさらに2倍になる可能性もあることを考えておいたほうがいいでしょう。