【VT vs VTI】全世界投資は全米投資に比べて本当に安全か?

一般ETFVT, VTI, 投資お役立ち情報

VT VTI

QYLD全力太郎ことQ太郎です。

米国市場は上がったり下がったりの、ボラティリティの高い相場が続いています。

SP500

S&P500は前日比で+1.99%と上げたものの、年初来ではまだ-15.40%です。それに前回高値が抵抗線になりそうなので、戻り売りにはかなり警戒が必要でしょう。

NASDAQ

みんな大好きNASDAQの方ですが、前日比で+2.33%、年初来では-25.45%と、こちらもまだまだ厳しい状況です。

金利が上がればグロースは下がりますので、利上げがまだ終わっていない以上、今後も厳しい展開が続きそうです。

そもそも現在は、ウクライナ問題、中国のゼロコロナ問題、米国の利上げなど、問題山積みで何も解決していません。

コロナショックの時のように、金融緩和で株価爆上げみたいな未来はありませんし、むしろ現在は金融引き締めの方向です。

ITバブルやリーマンショックのときのように、上がったり下がったりしながら、何年もかけてだらだら落ちていく展開はじゅうぶんにありえますので、十分にキャッシュポジションを確保して、時間分散して投資したほうがいいかなとは思います。

こういう状況なので、米国以外への投資として、インド投資はどうなのかという話を前回しました。詳しくはこちらを参照してください。

それで以前から言っていた「全世界投資VS全米投資」の話です。

ETFで言えば全世界株ETFのVT vs 全米株ETFのVTIですね。今回はその話をしていきます。本動画をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから

 

全世界株投資とは?

さて、以前から言っていますが、投資と言うのはまともな投資先に投資することが一番重要です。

右肩下がりの銘柄に積み立て投資しても、報われるわけがありません。どんどん資産が減っていくだけです。

分散するにしても、まともな投資先に分散することが一番需要です。詳しくはこちらを参照してください。

それで全世界投資と全米投資ですが、たぶん多くの方は全世界をすすめているとは思います。

理屈はわかるのです。

今後米国一強時代が続くとはかぎらないので、全世界に投資しておけば面倒がなくて大丈夫じゃない?という話です。

面倒くさい人はこの方法でもいいかなとは思います。

ただこの投資の仕方は、どうしようもない国の株まで買わないといけなくなるので、リターン以上のリスクを抱える可能性が高くなることにもなります。

とくに長期投資だと、右肩上がりでない国の株を買ってしまうと、将来的にはパフォーマンスを悪くするだけの結果になります。

現在のところ、将来性のない国としては、人口・GDP増加のない国や、政治リスクの高い国ですね。

こういう国の株は、上がったり下がったりなので、下がったところで買って、上がったところで売るということをしなければなりません。

たとえば日本やヨーロッパ諸国などは人口減少がありますので、Q太郎的には将来性がないと思っています。

また中国も日本のようにバブルが崩壊し、だらだらと低成長になっていく可能性もあります。政治リスクもありますし、大きく儲かるか損するかの博打をやっているようなものですね。

そういう投資が好きな人はやればいいとは思いますが、Q太郎的には避けたいところです。

また新興国は人口増加している国があるとはいえ、トルコリラのように通貨安のリスクや、政治が不安定で、そもそも株式市場がまともに機能していないということも考えられます。

そう考えると、まともな投資先として、現在のところは2050年まで人口・GDP増加が見込める米国ぐらいしかないんじゃないかなとは思います。

インドも将来的には期待できるかもしれませんが、いますぐどうこうという話ではないわけです。

そうなると、バフェットやソロスように、「だめなものは排除して、まともなものを買う」ということを考えるのであれば、下手に全世界投資をするよりも、米国投資をしたほうが、リスクは少ないですし、リターンは多くなる可能性が高いです。

ポートフォリオにだめな銘柄を入れると、投資効率は悪くなり、リスクだけが増大しますしね。

投資というのは人間感情に逆らい、きわめて合理的な選択をする必要があります。

人間感情にしたがってしまうと、高いところで乗り遅れないように買ってしまい、安い所で怖くなって売ってしまうということをしがちです。

「全世界を買っておけば安全」というのは、人間感情的には理解できますが、本当にそうなのでしょうかということです。

それで感情にとらわれないように、全世界株ETFのVTと、全米株ETFのVTIを比較してみましょう。

 

VTとVTIの比較

VT VTI

赤がVTI、青がVTですね。

ぱっと見てVTIのほうがリターンが大きいのはわかりますが、考えなければいけないのはそれぞれのリスクです。

リスクはボラティリティの高さですね。

VTIのばらつきは15.31%、VTのばらつきは15.94%で、じつはVTのほうがリスクが高いのです。

それにもかかわらず、年間リターンですが、VTIは14.30%あるのに対して、VTは10.45%しかありません。

シャープレシオ

大きなボラティリティを許容するというのは、それなりのリターンがあるからです。

レバレッジ商品の大きなリスクを引き受けてでも投資したい人というのは、それ以上のリターンがあると思っているからです。

一方、リターンも大してないのに、大きなボラティリティを受け入れるというのは、投資としては意味のわからない行動です。

そのようなリスクとリターンを評価するものとして、シャープレシオという指標があります。

これは簡単にいうと、リターンをリスクで割ったものです。

分子のリターンのほうがリスクより大きければ1以上になりますし、リスクの方が大きければ1以下のになります。

ただこれは絶対値ではなく、切り取る期間によって変わります

またボラティリティの高い銘柄は十分な期間をとって計算しないと、正確な数字が出せません。

あくまで2つ以上の銘柄を比較するときに、どちらのほうが投資効率がいいのかということを調べるものですね。

それでVTとVTIを比較してみると、VTIのシャープレシオは0.92と1に近い数字なのに対して、VTは0.68とあまり高くはありません。

引き受けなければならないリスクに対して、リターンが低いのですね。

つまりVTIに比べると、VTは現状低リターン、高リスクになっています。

リスクがVTIより高いのに、リターンはVTIより低いという状態ですね。

そのため、感情を完全に無視すれば、投資すべきなのはVTではなくてVTIになります。

引き受けるリスクに対して、リターンが見合っていないからですね。

VTの内訳

ここでVTの内容を見てみましょう。

VT

内容の半分は米国ですね。あとは新興国15%、欧州26%、太平洋諸国が13%といったところです。

この状況でVTIよりパフォーマンスが悪いということは、他の国が足をひっぱっているとも言えます。

日本や欧州は将来的にも人口減少で成長が見込めないと思います。

新興国は不安定さがありますし、中国は人口減少に加えて政治リスクの博打要素が大きすぎるので、長期投資先としての安心感がQ太郎的にはあまりありません。

人口・GDPの増加」「まともに機能している株式市場」という部分を考えると、当面は米国ぐらいしかないのではないかと思います。

日本の株式市場も、まともに機能しているとは言いがたいですしね。日銀がETFを買ってゾンビ企業を支えたりしていますし。

短期的に新興国や欧州がうねりを取れることはあると思いますが、「長期投資」という面からすると、現状は厳しいのではないかと思います。

またアメリカが下がれば世界も下がりますし、アメリカが回復すれば後追いして世界が回復するので、結局アメリカでいいんじゃないという話になってしまいます。

VTの人気

ちなみに現在、SBI証券での米国ETFの買付1位はVTです。VTは2位ですね。

ただ、VTの総資産順位は77位、VTIは3位と、世界的な人気はやはりVTIのほうが圧倒的に高いです。

VTは日本人好みの投資ということにもなりますね。

ちなみにVTの経費率は、今年になって0.07%まで引き下げがおこなわれました。

ただVTIの経費率0.03%と比べると、まだ倍以上の違いがありますね。

 

まとめとQ太郎の見解

そんなわけでまとめると、

・現状、まともに長期投資できる国は米国ぐらい。あとは安い所で買って、高い所で売るといううねり取りの投資になる。そんな国もひっくるめて買うのは投資効率が悪く、無駄にリスクが高くなる。

・パフォーマンス的には、VTのほうがリスクが高く、リターンが低い。

・経費率もVTのほうが高い。

となり、米国投資のほうが安全かつ高リターンということになります。

多くの方が全世界をすすめているとは思いますが、ここではあくまで感情論を無視した話をしています。

感情論的には「全世界に投資をしたほうがリスクが少ない」と思いがちですが、現状はまったく逆で、世界に投資したほうがリスクが高くなるということは理解しておいたほうがいいかなとは思います。

でも過去はそうだったとしても、今後、米国がずっと強いとはかぎらないじゃん

という意見もあるとは思います。

これについては「そのとおりです」としか言いようがありません。

未来のことは誰にもわかりませんので、今後世界で何が起こるかはわかりません。

けっきょく自分がどういうシナリオで投資するかということですね。

折衷案としては、安全性を考えると、米国に投資しつつ、今後伸びそうな国をサテライトとして自分で買っていくという方法のほうが安全かなとは思います。

もしくはVTIに加え、先進国ETFのVEAと、新興国ETFのVWOを購入して、自分で比率を決めることですね。

それが面倒ならVTを買えばいいのではないかと思います。

Q太郎もVTは100万円分ぐらい持っていますし、オルカンも持っています。ただそれがメインになることはないかなとは思います。いらない国が多いのがちょっとどうかなという点ですね。ヨーロッパもいりませんしね。

とにかく投資は「リスクを低く、リターンを大きく」が重要なので、ボラティリティの高い物を買うのであれば、それ相応のリターンが必要になります。

現時点では、VTはそれを満たしているとはいいがたいです。

VTのリターンが少ないとしても、VTIに比べてリスクも低かったらまだメインに考えてもいいとは思うのですけどね。Q太郎的には、むだにリスクは取りたくないのです。

何にしろ、2050年までの長期投資は、いまのところ米国が安全かなとは思います。

あとは伸びてくる国をそのときそのときでトッピングすればいいんじゃないかと。

多くの方と逆の意見になっているとは思いますが、あくまでQ太郎の意見としてとらえ、投資は自分のシナリオですすめてください

全世界のほうが安心できると思えば、全世界でいいとは思います。

長期投資をするためには安心感も必要です。そうでないと、変なタイミングで全売りみたいなことになりますしね。

あくまで誰かが言ったからではなく、自分で考え、自分にとって心地よい投資をしてください。

あくまで人の意見は参考程度です。

投資は人によってさまざまだから面白いとは思います。