【注意!】QYLDのよくあるかんちがい3選【QYLD 2,300万円投資家がわかりやすく解説】

2022年3月17日QYLD高配当ETF

QYLD kanchigai

QYLD全力太郎ことQ太郎です。

今回はQYLDについて多かった質問や思い違いをまとめた「QYLDのよくあるかんちがい3選」です。さっそくいってみましょう!本記事をYouTube動画で観たい方はこちらのリンクから

 

QYLDのよくあるかんちがい3選

かんちがい1 10年ホールドすれば元が取れる

まず1つ目は、

QYLDは分配金10%なので、10年ホールドすれば、いくら株価が下落しても元が取れる

です。

これは何度も述べていますが、完全に間違いです。

QYLDの分配金は、あくまで「元本に対して」の10%です。

元本が下がれば、分配金も下がります

100万円のQYLDの分配金が10万円だったら、株価が50万円になれば、分配金は10%の5万円になります。

ここが一般の株やETFの分配金と大きく違うところです。株価がそのまま分配金にスケールされてしまうのです。

一般株の配当金は、企業の利益から出されたものなので、その価格は大きくは変化しません。

そのため、株価が大きく下落したとしても、配当金が大きく落ち込むわけではないのです。

「株価が落ちたときに、高配当銘柄を拾う」という高配当戦略が通用するのも、配当金がある程度固定されているからです。

そのため低い所で拾えば、配当金の利回りが高くなります。

たとえば株価が100円で配当金が5円なら、配当利回りは5%ですが、これが90円に落ちた場合、約5.6%に上がります

ところがQYLDは、そうはいかないのです。

株の集まりである一般のETFとQYLDは、おなじでありません。

QYLDはカバードコール商品という、金融派生商品です。

企業の成長や配当金によって利益を得ているのではなく、コールオプションを売ることによって、その利益を分配金にまわしています。

コールオプションの値段は、市場のボラティリティと株価で決定されます。

そのため、株価に応じて分配金もそのまま変化してしまうため、一般株のように低い所を拾って利回りを増やすという真似ができません

低いところは、低い所なりの分配金になってしまうのです。

そしてQYLDはナスダックが上昇基調のときも、年間-1.7%の右肩下がりが続いており、元本がどんどん切り下がっていっています。

仮にナスダックがずっと好調なばあいでも、100万円で10万円の分配金のあるQYLDは、

10年後には単純計算で82万円、分配金は8.2万円
20年後には67万円、分配金は6.7万円

どんどん減っていくことになります。

そしてQYLDは、QYLD自体が消滅する「償還リスク」を抱えています。

QYLDはあくまで金融派生商品のETFなので、一般ETFとは違うリスクを持っていることに気を付けたほうがいいかと思います。

VTIやVOO、VYMなどのような、一般ETFとおなじ感覚であつかわないほうがいいでしょう。金融派生商品のETFは、一般ETFに比べて抱えているリスクは多いです。

QYLDのメリット・デメリットについては、こちらの記事も参照してください。

かんちがい2 QYLDは「逆張り」の投資

次に「QYLDが底値になったら買いに向かう」という、いわゆる「逆張り」での購入ですが、これも勘違いです。

先程もいったように、QYLDは一般のETFと違います。価格が低くなると償還リスクが高まります。

またQYLDはカバード「コール」戦略をとっています。

ようするにコールオプションを販売して、その利益を分配金にしているのですね。

コールオプションというのは「買い」のオプションです。

たとえば100円の株があったとして、

5円払えば1カ月後に100円で売ってやる

と言われたとします。

この5円コールオプションの代金ですね。

それで1カ月後に120円とかになれば、100円で株を買い取ればいいですし、

90円とかに下がってしまえば、株を買い取らなくてもいいのです。損失は5円だけです。

このばあい、オプションの購入者は株が上がるほうに賭けたのですね。

つまりコールオプションというのは上がるから買うものなのです。

下がるのに賭けるのは「プット」といいます。

ギャンブルの、ルーレットの赤か黒かに賭けているようなものですね。

たとえば現在、ナスダックは下げ基調です。まだ利上げもおこなわれていません。

この状況であなたは、上がる方に賭ける「コール」オプションを購入しますか?

それとも下がるほうに賭ける「プット」オプションを購入しますか?

という話なのです。

当然、下げ基調のときは、コールオプションを買う人は少なくなります

というか、あなた自身がコールオプションを買いたいですかという話ですね。普通に考えて、買いたくないですよね。

そうなると、コールオプションは売れませんので、分配金は下がります

コールオプションは「上がる」から買うのです。上がらないもののコールオプションは、普通は買わないでしょう。

そのため、QYLDが分配金を捻出するためには、ナスダックが上がり基調でなければならないのです。

あくまでコールオプションを売って、その利益を配っていますので、多くの人にコールオプションを買ってもらわないといけないのです。

けっこう泥臭い話なのです。

下手に逆張り的に底で買ってしまうと、配るオプション代もなくて、早期償還でそのまま消滅という可能性もあります。

そのため安全性を考えると、ナスダックが上がり基調のときに買う「順張り」のほうが安全だとは思います。

かんちがい3 市場のボラティリティが上がれば、分配金も増える

かんちがいその3は、

株価が下がっても、市場のボラティリティが上がれば、分配金も増える

というものですが、これも2つの点でかんちがいしています。

まず先程の言ったとおり、QYLDの株価が下がれば、そもそも分配金が下がるのです。あくまで株価の大きさと分配金の大きさは比例するのです。

それから「市場のボラティリティが上がれば、分配金も増える」ですが、市場のボラティリティが上がれば、オプション代は高くなりますが、それイコール「分配金が増える」ではないのです。

先程も言った通り、これはコールオプションを売るという「商売」をしているのです。

市場のボラティリティが上がって、オプション代が高くなったとしても、そのコールオプションを買う人がいなければ、分配金を支払いようがないのです。

「オプション代が高い」=「分配金が多い」ではないのです。

すべては「コールオプションを買ってくれる人」によって、分配金が支えられているのです。

買う人がいなければ、分配金は配れません。

これはあくまで商売であって、泥臭い話なのです。

分配金はどこからか湧いて出てくるわけではないのです。

 

まとめとQ太郎の見解

そんなわけでまとめると、

・QYLDの分配金は、あくまで「株価」の大きさに比例する。

つまり株価が下がれば分配金も下がると考えてください。一般株のように、底で拾って利回りを増やすという戦略は使えません。底は底に応じた利回りになります。そして償還リスクも高まります。一般のETFと金融派生商品のETFは分けて考えてください。別物です。

QYLDは順張りの投資。

コールオプションですから、それが売れるのは上がり基調のときです。下がり基調のときに売れるのはプットオプションです。

あくまでオプションを売るという商売なので、下がっているときにコールオプションは売れにくくなります。

あくまで順張りの投資なのです。

・「オプション代が高くなる」=「分配金も高くなる」ではない。

下げてもボラティリティが高まれば、オプション代も高くなるから分配金も高くなるということですが、オプション代が高くなっても、そもそものオプションが売れなければ配る分配金はありません

あくまでお客様あってのカバードコール戦略なのです。

「じゃあ、なんでこれまで配ってこられたのか」

といえば、たこ足配当です。

元本切り崩して分配金を出しています。これによって毎月分配することができています。

ただ、たこ足配当にも限度はありますので、下げ基調や株価の低下が続くと償還リスクが上がります

償還されると、純資産が口数に応じて払い戻されます償還金というやつですね。

そのためQYLDは、長期投資には厳しいとは思います。

時間のある若い方は、VTIやVOOなどの、まともなETFに投資するのがいいかとQ太郎は思います。

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